第82話 2024年6月 カクヨムのコンテストと読者選考 ~読者選考は嫌だ、という人は意外と多いんだなぁって思った話~
公募――コンテストの話ですね。
以前、なろうとカクヨムの公募の比較なんかはやりました。
『第47話 2023年10月 相生、なろうコンを満喫中? ~公募に挑むには? なろう? カクヨム?~(1)』
https://kakuyomu.jp/works/16817330659541776427/episodes/16817330666005068404
『第48話 2023年10月 相生、なろうコンを満喫中? ~公募に挑むには? なろう? カクヨム?~(2)』
https://kakuyomu.jp/works/16817330659541776427/episodes/16817330666005352353
どちらも最大のコンテストは、なろうでは『ネトコン(旧なろうコン)』で、カクヨムでは『カクヨムコン』になりますね。
いずれも1万作品以上の応募がある。
本当にとんでもない数になります。
それだけの作品の中から、受賞作を選ぶんです。
大変な作業だと思います。
一般的には……「下読み」と呼ばれる作業が新人作家さんなどによって行われると言われています。その場合は、審査員とか、選考委員として名前が出ている有名作家さんではなく、新人作家さんですね。
……有名作家さんが選考に関わっているからといって、1万作品全部に目を通すとか、ありえない話ですよ。無理でしょ、そんなことは。
選考委員になっている方は、最終選考に関わるはずです(よう知らんけど)。
それで「下読み」とはいえ、そういう作業を行うのであれば、当然、賃金(のようなもの)は発生する訳です。無料で読めとか、絶対にないでしょ。それはありえない話だ。
もともとは新人作家の収入にもなるので……文筆業として頑張るのであればありがたい仕事だったとも言えますね。
つまり「下読み」にはコストがかかるんですよね。
そのコストを削減する方法が「読者選考」ということになります。
紙に印刷して公募に出していた時代とは違って、今はWEBに公開している作品にタグを設定したりして応募するんです。お手軽で簡単ですよね?
それで……「下読み」の仕事の代わりに、「読者選考」というものを取り入れる。正確には、代わり、ではないんでしょうけれど……。
応募期間中の星やポイント、フォローやブクマによって……一次選考や中間選考を行うということですね。
読者にとってもお気に入りの作品を書籍化へと近づける機会でもあります。推し活です。そういう意味では読者にとってもメリットはありますよね。
ただし、読者は対価を受け取らずに読み、星やポイントを入力するんです。
ほら、コスト削減ですよね?
新人作家に「下読み」を依頼する場合に発生する金銭を「読者選考」では削減することが可能なんです。
資本主義経済でのコスト削減は企業にとっては重要な活動です。特に、人件費というものは高くなりやすいので……そこを抑えられるのであれば、企業にとっては当然の選択肢になるかと思います。
カクヨムのコンテストではこの「読者選考」を取り入れているものが多く、なろうの公募にはそれが少ないということになります。
じゃあ、なろうの方がいいじゃん。
どこの誰とも分からない読者による「読者選考」なんてあいまいだし、フォロワーの多い人気作家が有利だし、ど素人の私だと不利になるだけ。「読者選考」なんてやらない方がいい。そんなコンテストには出さない。
そういう方も、意外と多いみたいです。カクヨム公式のディスコードでそういう書き込みがたくさんありましたね。
……それって、意味、あるんでしょうかね?
フォロワーが多い方が有利なのだと理解しているのであれば、フォロワーが多くなるように活動すればよいだけではないでしょうか?
そもそもフォロワーが多いWEB作家は、それだけ面白い作品を公開しているはずなんです。
コンテストで最終的に選ばれる作品は面白いものが当たり前です。
つまり、結局は面白い作品を書き続けるだけなのです。それがコンテストのタイミングかどうか、というだけなんじゃないでしょうか?
早めに人気が出ていた場合、ちょっと有利なだけですよ、たぶん。
そのポジションがほしいなら、早めに活動しましょうねって話ですね。
だったら、「なろう」の「読者選考」がない公募に出せばいい!
そういう考えも、アリ、なんだろうと思います。そもそも、タグでの公募ではなく、メールでテキストファイルを送る公募だってあるんです。そこでは「読者選考」なんてやってないですよ。
ただし、「読者選考」と要項に明記していない公募があったとして。
あくまでもその公募では一般に公開していない「内規」において、星やポイント数での「足切り」が存在していたら。
それ、実際には「読者選考」と同じなんですよね。大っぴらに口にしてないだけですよ。
そう考えたら、はっきりと「読者選考」があるよー、ってアピールしている公募の方が、対策ができるんじゃないですかね?
カクヨムなら「近況ノート」、なろうなら割烹で、「お願い、読んで!?」って訴えることだって可能なんですよ。作品以外の部分で、対策ができちゃうってことでもある。ついった利用者なら、そっちでの宣伝だってできる。
また、そのコンテストまでの自分自身の積み重ねが活かされるってことでもある。そういう意味ではWEB作家としての「総合力」で公募を戦えるって話ですよ。
……一次選考や中間選考で「対策」が可能な分、「読者選考あり」の方がよくないですかね?
はっきりいってしまえば、どれだけ面白い作品を書くか、という本質は変わらないんです。
だから、「読者選考」の、ある、なし、を問題視するのはあんまり意味がないんじゃないかな、とは思いますね。
コンテストの運営側としても……読者に支持されている作品は「売れる可能性」が高い訳です。
そういう意味でも「読者選考」は活用されていると思います。
あくまでも「小説は商品」なので。
……とはいえ、言いたくなる気持ちは分からないでもない。私はそう思わないんだけどね。別に「読者選考」があってもいいじゃん、くらいです。
でも、公募に出すんであれば……要項の「読者選考」にぐだぐだ言うんなら、その対策をするか、本質的に面白い小説を書くか、そっちに時間をかけるべきじゃないかな、と。
シンプルにそう思いますね。
それに「読者選考」には、おそらくPVそのものを増やしたいという意図もコンテスト運営側にはあるはずです。
WEBサイトは「広告収入」で保っているんですから、PVはとっても大事です。
そして、PVはカクヨムにおいて「リワード」につながっていきますよね?
そう考えたら、「読者選考」って、作者にも還元されてるんです、カクヨムでは。
もう「読者選考」に不満を言ってる場合じゃないんですよ、今の時代は。
……なろうがカクヨムのリワードのような、インセンティブを企んでるみたいだから、なろうの公募でもいずれは「読者選考」が増えるんじゃないかな?
そんな風に相生は考えています。
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