第21話


王宮にはいつでも愛憎妬みが渦巻いているのを、クレオは知っている。


「・・・・そろそろだな」

クレオは一人呟く。


シルビアは、ロレーヌという存在を許さないだろう。シルビアの部下がロレーヌを見張っているのをよく知っている。

ロレーヌの愛人の騎士の男も、最近頻繁に王宮に出入りしだしている。

脳裏には微笑むロレーヌ脳裏に浮かぶ。


このままではどちらにせよ、家の身分が低いロレーヌは消されていく。


クレオは部下を呼び、言い放つ。


「アロイ侯爵を呼び出してくれ」


そうアロイには責任をとってもらう。



それからしばらくたって、ロレーヌのもとにアロイ侯爵が訪ねてきた。

あんなにロレーヌのことを嫌がっていたのに、何のようだろう?


訪ねてきたアロイ侯爵は、ロレーヌの手を取ると言い放った。


「クレオ陛下の命令で、ロレーヌ、君のことを、俺の妻として迎えることになった。よろしく頼む」


「・・・・・はい?」

訳が分からず、ロレーヌは微笑みながら首を傾げた。


一体全体どうしたらそんなことになるのだろう?

アロイ侯爵の妻であるはずのロレーヌの妹はどうしたのか?

クレオ殿下は、やはりロレーヌと離縁することにしたのか?


考えてみても訳が分からないので、ロレーヌは首を傾げた。


「俺は君と婚姻はしたくはないが、妻と子供が人質にとられた。だから、仕方がなく、君と婚姻することになった」


「・・・・・・?」

やはりロレーヌには、訳が分からなかった。

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ロレーヌは微笑む 赤沼たぬき @duhiyutou

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