過去 十一 光
立ち
カーテンを
「先生。何か光ってます。」
其の上、辺りは薄暗く、近頃、日本に伝来した電気
気の
直ぐ、紅を窓から離れさせた。
道の人通りも通常並みである。
「先生、ご飯が冷めてしまいます。」
紅が、カーテンから顔を出した。
又、点滅した。怪しくなって、明継は
やはり、前の洋館から光が放たれている。
核心した。素早く人影が、
男……、其れも明継と同じくらいの背丈。
絶句する明継。
外の怪しい人影は、
通りに面した此の
「先生。今、何かが光りましたね……。」
近頃、導入された電気によっての事故なら、あの様な、
「
何分も動かずに待って、動けば幽霊写真の様になる
写真機が重く、撮影者の動き鈍くなるのが、難点だった。
「写真ですか。先生。」
倫敦に留学時、明継は其の最先端な発明に、関心を持った。
「はい。大通りとはいえ、
紅の方へ足を運ぶ明継に、階段を上がる重低音が耳に響く。直ぐ足を止めて静かにしたが、玄関辺りが騒がしい。
扉をノックする音がする。
光の件もあって違和感を感じ動けなくなる明継。人影が
紅に目で、音を立てるなと合図した。
胸で大きく深呼吸する明継は、玄関の方に向かった。
ドアに耳を当てて、
「
声色からは
「伊藤様ですか。急ぎの用で
円状の穴からは
「誰の使いだ……。」
今は取り込み中だと
「
佐波の名を出すのは、内々の用事以外考えられなかった。
しかし、佐波の使いなら宮廷製の仕立ての良い
『信頼できる
佐波の言葉を思い出す。
「すまないが、
「いいえ。其れは出来ません。主人に伊藤様と確認をとってから
開けなければ用件を知る事も出来ず、
紅に
「伊藤様ですね……。」
どうやら其の従者は、明継の顔を見知っている様だった。普通ならば
「此れを……。主人から
和紙に包まれた文を
内容を要約するとこうなる。
『急ぎの
明継は開いた口が
一方的に、礼儀正しく、帰る事を、明継に伝えると、其の使いは身を
直ぐに階段から、男の後ろ姿が見えなくなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます