待ってたわ 齧って舐めて 酩酊を 一滴たりとも 溢しちゃイヤよ

待ってたわ

かじってめて

酩酊めいてい

一滴たりとも

こぼしちゃイヤよ





「スリーズ・ア・ロ・ド・ヴィ」三部作。

これが最終章です。


 前話にてフォンダン砂糖ペーストを纏わせた女王様ダークチェリーの軸を持って、溶かしたチョコレートにちゃぷんと浸けます。

 上下にゆさゆさして、ボールに設置したバーのようなもので底をすうっとなびって、フィルムの上に置いて完成。

 このようにチョコレートに「具」を浸けて覆う作業を、「トランペ」「トランぺする」と言います。


 チョコレートの5%のカカオバターを加えると、パリッとした食感、さっと滑らかな口溶け、薄めのコーティング、の効果が得られます。

 チョコレートは「テンパリング」という温度調節をするんですが今回は触れず、またいつかの折に。


 完成と書きましたが、食べ頃はまだまだ先。 

 およそ10日〜2週間、そのまま常温で寝かせておくのです。

 昨年度はダークチェリーの当たり年で糖度も高く、例年の2割ほどサイズが大きかった為、例年より熟成が更に1週間かかりました。


 「熟成」とは? 

 寝かせている間にチョコレートの中では、時間をかけて変化が少しづつ、日々進んでいきます。

 半年以上キルシュに漬け込んだチェリーから、砂糖の浸透圧を利用して、キルシュとチェリーの水分が引き出されていくのです。


 今年で言うと……2週間目はまだ中のフォンダンが溶けきらず、でも水分は出てきている状態。

 チェリーの果肉、キリっとしたキルシュ、溶け残り砂糖の甘さ、が個々に味わえて、これはこれでフレッシュな力強さがあり悪くはないんですが。


 本来の完成形、は全部フォンダンが溶け切り、はかなり伸縮して、買ったお弁当の真ん中に入っている小梅みたいな大きさになり。

 マイルド極まりない、うっとりするような麗しいお味の、極上リキュールをたたえるボンボン・オ・ショコラとなるのです。

 チョコレートも、中身のハリっとした形のものが消え、液体のみになったので、うっすらひびが入るような儚げな状態に変わります。

 

 召し上がる時は、溢さないように食べる工夫が必要です。

 写真のように上部にちょこっと齧り付いて、盃を作るようにするのがおすすめです。

 この様子から生まれたのがこの短歌。

 読み方によっちゃあ、意味深お耽美おせくしぃ風味です。


 そしてもう一つ。

 チェリーの種がそのまま入っていますから、種を吐き出き出さないと危いので、その旨も召し上がる方にはアナウンスしなくてはなりません。

 しかしこれも短歌に盛り込むとですね……

 絶大な下ネタ効果を生むことに、途中でハッとしたのは秘密。

 だけど言っちゃう(笑)



近況にお写真載せました。


①作り始め準備。

チェリーはリキュール漬け込みから出して、半日網の上で乾かします。

ちっちゃい丸い板は前話に書いた、事前準備したチョコレート細工。

(真ん中のポリカーボネイトの丸い型は別のショコラのためで無関係)

https://kakuyomu.jp/users/ayaaki/news/16818023213159057841


②出来上がったばかり〜2週間目まで

https://kakuyomu.jp/users/ayaaki/news/16818093075408242791


③食べ頃。カクヨムのための写真撮影。作者が上部を齧って、中の液体の色を見せたくて、わざと皿にこぼしました。

https://kakuyomu.jp/users/ayaaki/news/16818093075408404267

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