約束の ショコラ夢見て 入り染めし 愛を捧げる 赤の女王

約束の 

ショコラ夢見て 

入り染めし 

愛を捧げる

赤の女王







 これは7月ごろ詠んだのですが、本体同様、寝かせておりました。


 何を詠んでるか、というとですね〜。

 アメリカンチェリーの輸入が最もノってる6〜7月に、タイミングと店を見計らって購入して、キルシュに漬け込む、その心境です。

 赤より黒い色が濃いチェリーを選びます。


 キルシュとは、さくらんぼの糖分を発酵させ、二度蒸留してから熟成させたもの。

 透明なフルーツブランデーのことで、アルコール度数45度あります。

 フランス語で蒸留酒は「ロ・ド・ヴィ」 l'eau de vie その意味は「命の水」です。

 私はフランス・アルザス地方のものを使っています。


 何のために、かというとですね〜。

 その名も「スリーズ・ア・ロ・ド・ヴィ」というチョコレートボンボンを作るためです。

 そしてそれは一体なんですの?……ふふ、詳しいことは次回連載の歌に続きます。


 こうしてキルシュにほんの少しの砂糖を入れ、ガラス瓶にて漬け込んだチェリー。

 1月末まで冷暗所で寝かせておきます。

 徐々にその透明な色が真っ赤に染まり、さらに中のチェリーが見えないぐらい濃く、フルボディの仄暗い赤ワインの色になっていきます。


 長期漬け込みもさることながら、ボンボンに仕上げてからも、さらに1週間は寝かせないと食べちゃいけないのです。

 計画をもって、時間、手間ひまをかけて。

 そしてね、ぶっちゃけもろもろ、費用がお高いんでございますの。


 これら全てを捧げて生まれる「スリーズ・ア・ロ・ド・ヴィ」こそ、ボンボン・オ・ショコラの女王だと私は思っています。


 艶やかな魅惑のチョコレートをまとうまで。

 芳醇なキルシュに揺蕩たゆたいながら、辺りを赤く染め上げ酔いしれつつ微睡まどろむさまは、まさに赤の女王。


 私は既往症はないものの、スタミナがないというか少しだけ身体が丈夫じゃなく、ちょいちょいお休みしがちでして。

 去年は無理をして春を越えるまで頑張ったため、悪化させ過ぎた肩の故障とともにノックアウト。

 その痛みは日常生活にも支障をきたし、貧乏な上に回復の目処も立たず。

 それでも来年のそれまでには! 願いと闘志を込めて初夏に漬け込みをしました。

 ショコラを夢見るのはチェリーだけでなく私自身も、そんな歌であります。


 毎年こうして愛情と約束と覚悟を、私は赤の女王にお捧げするのです。


 


 



 


 


 

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