第16話:奇跡の復活と新たな可能性

「今から蘇生術を行います、心からガイアの復活を祈り願ってください!」


 いよいよガイアを蘇らせます。

 私が思っていたよりもはるかに早く、アルフレッドが素材を集めてくれました。


 それも、一番大切な不死鳥の素材の扱いが丁寧で、普通なら劣化していたり傷ついたりしているのですが、今目の前で狩ったような鮮度なのです。


 しかも次に大切な竜の素材も、属性竜が得られれば最高なのですが、普通は亜竜種を手に入れて、その素材を丁寧に魔法加工することで代用するのです。


 ところが、アルフレッドが手に入れてくれたんは、事もあろうに純血竜で、しかも素材の鮮度と加工が最高の状態でした!


 後は蘇生術式を完璧に行うだけですが、これもアルフレッドが、自分の大切な人を助けるために研究した成果を助言してくれました。


 通常の魔力や魔血晶の魔力だけに頼らず、神々に対する祈りを参考にした、祈願力を加えるという手法です。


 蘇らせる人間を心から愛している者が神に祈り願えば、蘇生術の成功率が格段に高くなるというのです!


 確かに蘇生術は神官や司祭が行う奇跡を強引に魔術に転換しています。

 神への信仰や祈りによる奇跡を、魔力と魔術式で強引に再現するために、膨大な魔力と採集不可能に近い素材が必要になっているのです。


 それでも絶対に成功するモノではありません。

 神の奇跡を行えるのが、長年祈り続けた老齢の枢機卿か、神に愛された聖人や聖女に限られるのと同様に、蘇生術を成功させられる魔術師も限られるのです。


 あああああ、ガイアの瞼がわずかに動きました!

 指先がピクピクと動いています、ガイアの身体に命が宿ったのです!


 ですが問題もあります、宿った命がガイア本人かどうかです。

 ガイア以外の何者かが、ガイアの身体を奪った可能性もあるのです!


 不安と期待で心臓が爆発しそうです!

 ガイアが完全に目覚めるまでの時間が、永劫の長さに感じてしまいます。

 ゆっくりと、本当にゆっくりと、ガイアの瞼が開かれていきます。

 

「え~と、ここはどこなの、サーラ?

 私、王太子達に襲われたはずなのだけど、サーラが助けてくれたの?」


 ああ、神様、今まで恨み憎しんできましたが、今回だけは感謝いたします。

 ガイアを蘇らせてくださってありがとうございます。


 もし、アルフレッドの大切なカルラを蘇らせてくださるのなら、残りの人生全てを神の感謝に捧げます。


 そう、今度は私がアルフレッドに協力する番です。

 アルフレッドが悪人なら、私を殺すなり操るなりして、全てを奪うことができたでしょう。


 それこそ、ガイアの身体にカルラの魂を宿らせることもできたはずです。

 それを、ガイアを蘇らせることに全力で協力してくれたのです。

 私の細胞を使ってホムンクルスを創り出し、それにカルラの魂を宿らせる。


 祈願力を発揮できるのがアルフレッドしかいないのは残念ですが、アルフレッドの集めた素材と、私の魔力と魔血晶を使えば、決して不可能ではありません。

 それに、今度はガイアの魔力もあてにできるのですから!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

地下牢の影・姉の復讐:地下牢に閉じ込められた双子の妹は、姉を虐殺され復讐鬼となる。 克全 @dokatu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ