後日談
凪樹君と出会って何回目かの冬が来た。
「暁子さん」
名前を呼ばれる度に、嬉しくて。
自然と頬が緩んでしまう。
後1ヶ月半で、凪樹君は大人の仲間入り。
言動が大人びているからか、時々年齢を忘れてしまう。
私のが年上なんだけどなぁ…?
職場でも若く(幼く?)見られていたりするから、どうなんだろうとか思ったりする。
…アノ頃の記憶を持っているのも、関係あるのかな。
私自身の精神年齢は、かなり前に止まってしまっている気がする。
身体の年齢と、精神年齢が釣り合ってない。
私は 身体の年齢>精神年齢 で。
凪樹君は 身体の年齢<精神年齢 なんだろうな。
凪樹君は、あまり自分の事を話したがらない。
思春期っていうやつかなー?と思ったりしたけど違う。
自然に話しても大丈夫な相手と、そうじゃない相手を選んでる気がする。
…出会って2ヶ月経った頃、ぽつぽつ自分の事を話してくれたことがあった。
それから色々な話をしてくれるようになって、今に至るわけです。
最初は、アノ頃の記憶に『引っ張られて』
いるのかな とか思って考えたりもした。
夢で断片的に見ていた私ですら、引っ張られていた事があるから。
(…初恋、になるんだろうか)
3○年生きてきて、恋愛をした事が無いわけじゃない。けど、その誰とも上手くは行かなかった。どうしても【嵩雅】と比べてしまって。
最初は、名前も知らない手の大きな男の人って認識だったのにな。
凪樹君の手は、夢で握ったあの手と同じで。
私の手をすっぽり包めるくらいに大きい。
私はあの手が好きだ。
もちろん、それはきっかけでしかなくて。
今は、凪樹君のしっかりしている処・俯瞰して色々見ている処・褒められると照れる処。
儚げに笑うところも、低い声も好きになっていた。
【嵩雅】ではなく、〖凪樹〗君が好き。
だから、『死んでも一緒にいる』。
もう離れる選択肢は無くて。
凪樹君とも話したけれど、誕生日を迎えたら。
私たちはアノ頃叶えられなかった願いを叶える。
そうして、天寿を全うする。
だれにも邪魔されない道を、一緒に歩いていく。
焔より永劫に帰す 咲海李桜 @emi9rio
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