伊予・愛媛の章(順番はめちゃくちゃ)

愛媛県庁と伊予国府は仲良く懇ろに

愛媛県知事・妻鳥采子(めんどり あやこ)は典型的な伊予人であった。


アイドル企画が決まると、

気分が高揚していた。


「アイドルとかやったら、街が盛り上がって、みんな楽しめるし、いいやんねー。」


「「はい!!」」

と部下たちは口を揃えて言う。


「いやぁ~。人がたくさん集まって盛り上がったら、地域活性化にもなるやろし、ええなぁと思っとったんよ。前からねー。」と愛媛県知事は言う。


「「そうなんですか!流石です」」

と部下たちは口を揃えて言う。


「ほんでもなぁ。うちらは、みんな頑張ってここからやっていかなあかんけど、やっぱり担当を決めたほうがええんやろか?」

と愛媛県知事が言うと


「「………………」」

と沈黙が流れる。


「えぇ。なんでみんな黙るん?なんでなん?」

と知事が言っても返事がない。


「でも、みんなで盛り上がることって大切やんねー。」


「「そうです!」」

と部下たちは言う。


「ほうやんなー。だから誰かが、東予市と大松山市と大宇和島市の方々に誰か説明に赴いてほしいんやけど、誰かええ人おらん?」

と知事が言っても部下たちからは返事がない。


「やったら、副知事の金子元峰くん。君、決めてくれん?」


「ええ……。私が決めても構わないのですか?」


「うちはあんたに決めて欲しいって言いよるやろがー。なんでうちに聞き返すん?」

「いやぁ。そのぉ。私が決めて後悔しないんでしょうか?」


「後悔って何ぃ?別にうちが決めてもええんやけど、私が全部決めるんもあれやん?な?だからお願い?金子が決めて」


「それならば、色んな部署から人材をかき集めて、まずは色々公募してみたいと思います。まぁ、この土地柄では誰もやりたがる人はいないとは思いますけれど……。」


「まぁ、みんなで決めてくれたらええけん。別に金子だけで決めんでもええよ。」

「そうですか。わかりました。では、早速持ち帰って決めたいと思います。」



愛媛というか伊予の基本情勢は、基本的に上意下達がこの土地のやり方で、リーダーに誰もなりたがらない割に、上の人の言う事は絶対という価値観だった。その結果、この話し合いでも誰も手を自ら挙げることはなく、その人がその部署に担当するのがふさわしいだろう人が、半ば強引に多数決という民主主義的弾圧により、責任者が決定するのであった。


一方で、伊予国府の「忽那明景(くつな あかげ)」と愛媛県知事の妻鳥采子はランチタイムを楽しんでいた。


「「久しぶりやねー」」

開幕早々、お互いが話し合う。


「今日は用事って聞いたんやけど、なんなんやろか?」

と忽那が話しかける。


「あんなぁ。アイドル省の話なんやけど。」


「うちも、その話したいって思っとったんよ。あれって、うちの案件やろぉ?」


「ほうなんよ。その件は国府案件なんやけど、うちの専決で、県庁から職員をそっちに出向しよういう形になったんよ。」


「ほうなんや。ちょうど、良かったんよ。うちもなぁ、仕事を誰に振ろうかぁ、いうて考えとったんやけんどなぁ、誰もやる言う人がおらんかったんよ。ほんでどうしようかな~と、今日も妻鳥に相談しようかなぁって、後々で言う気ではあったんよ。ほしたらなぁ、妻鳥が開口一番に言うもんやけん。」


「あぁ、そうだったんや。まぁ、忽那が言いって言うんやったらそれでもええんやけどなぁ。ほんまにええん?」


「ええよ、ええよ。うちは全然かんまんよ。」


「ほなったら、ええわいな。良かったんよ。」


と、食事を決める前にあらかた話がついてしまった。


「ほな、今日何食べる?」


「私、これにする。今日はパスタの気分やったけん。」


「うちは、うどんかなぁ。まぁ、別に話決まったし、何でも良かったんやけど。」


と満更でもない愛媛県知事。


このようにして、愛媛・伊予では話が進んでいった。

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