第8話 入学式と世界樹警備2
あれは一体なんなんだ。
壁を突き破ってきた剣と重なって人が見える。
何を言ってるんだお前ってなるかもしれないが、あれは霊だ。
俺が普通見えないものが見えるのは霊しかありえない。
剣と黒い影が重なっていて剣の魔力と調和している? いやあれは霊の魔力そのものか?
理解が追い付かない。
膨大な魔力を持つ剣に霊が憑りついたのか、膨大な魔力を持つ霊が剣に宿ったのか。
「我はデバライバ。この世最後の神である。……そしてこの剣が主神クオン。我が父シオンの双子の兄である」
あの剣が主神だと?
俺はこの国にある神話を全く知らない訳ではない。幼い頃に学舎で少し学んで……いや、神と関わることなんて人生で一度もないだろうと思って全く学ぶ気はなかったが。でもいきなりこの剣は神だって言われても。
いやあの魔力量ならそう言われても納得してしまう強大な力だが。
なら今俺が見ている霊は……
「主神クオンは外なる世界からの破壊者と戦い、相打ち寸前まで戦って命を落とした。諦めきれない主神クオンは死にゆく肉体を剣に変え、双子の弟であるシオンに握らせた。主神を継承したシオンは外なる世界からの破壊者との戦いを終わらせる。これが我が国の神話の始まりである」
小さい頃聞いたことのある話だ。今まで民話の一種だと思っていたがまさか神話だったとは。
「主神シオン、つまり我が父は2度目の破壊者襲撃に備えて戦力増強を行った。だが神だけでは限界を感じ、人にも技術発展を望んだ。そして2度目の破壊者の襲撃により生き残った神は我しかいなくなった」
初めて聞く神話だった。いや、俺が単に学舎で聞いていなかっただけかもしれないが。
というかその破壊者ってどんだけ強かったんだよ。
「我は望む、神をも超える技術を、文明を。たとえ何千年、何万年、何億年掛かろうと。神を超える可能性が0でないというのなら。望もう、かつて我が父がそうしたように。新たな子らよ、贈る言葉はただ一言……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます