おまけ その12 柚の日常!

「柚、朝だよ。起きて」

「んむー」

「遅刻しちゃうぞ?」

「んー……ぎゅー」

「もう、いくつになっても柚は甘えんぼだな?」

「えへー」


 ぎゅー、ってしたらすっごくいい匂いがしたー!

 すっごく、とってもいい匂いー!

 大好きな匂いー!


「柚もう今年で十歳のお姉ちゃんになるんだもんな」

「おばあちゃんになるまでぎゅーするもんー!」

「その頃にはお兄ちゃんはおじいちゃんだぞ?」

「良いもんー!」


 ぎゅーって。いっぱいぎゅー! ってしてたら、目が覚めたー!


「紫苑! 茜! おはよー!」

「おはよ! 柚!」

「おはよー! 柚!」


 紫苑と茜ともぎゅー! 最近はもう皆とぎゅーってしないと落ち着かないからー!


「お姉ちゃんはー?」

「お姉ちゃんは今ご飯作ってくれてるよ、さ、行こ」

「うん!」


 お兄ちゃんと手をつなぐ! まだまだおっきー!


 お兄ちゃんは就活? お仕事はもう決まったらしくて、大学のお勉強をがんばってるみたいー!

 お姉ちゃんはアルバイトとか、お家の事に力入れてるー!


「あ、三人とも。ちゃんと起きれたね」

「おはよ! お姉ちゃん!」

「お姉ちゃんおはよ!」

「おはよー!」

「ん、おはよー」


 紫苑から茜、それで私がお姉ちゃんにぎゅーをするー!


「紫苑、茜、柚。おはよう」

「お母さんだ!」

「おはよー!」

「ぎゅー!」


 みんなでお母さんにもぎゅーをしたー!


「よし。じゃあお兄ちゃんは先に出ようかな。ご飯食べてていいからね」

「やだ!」

「お見送りする!」

「行ってらっしゃいするよー!」


 紫苑と茜と言ったら、お兄ちゃんが困りながら笑ったー!

 でも、嬉しそうだったー!


「わかった、ありがとう」


 お兄ちゃんをお見送りして、ご飯を食べる! 美味しー!


 今日もがんばろー!


 ◆◆◆


「柚ちゃん、今日は何描いてるの?」

「今日は女の子ー!」

「ほんとだー! かわいー!」


 休み時間はよく絵を描いてるのー!

 給食後の長い休み時間は茜と遊んだりするー! 時々紫苑のところに遊びに行ったりもー!


「柚ちゃんの絵ーすごいねー! 将来はイラストレーターさんとかになるの?」

「んー。まだ分かんないー」


 絵ー描くの好きー!

 でも将来はまだよく分かんないー!


「イラストレーターさんになって有名になったら、お兄さんも喜んでくれるんじゃないかな?」

「……!」

「うわすっごい目キラキラしてる」


 お兄ちゃんが喜ぶー! って事はお姉ちゃんも喜んでくれるー! お母さんもー! 紫苑と茜もー!


「なるー!」

「そ、そっか? がんばってね」

「がんばるー! お兄ちゃんとお姉ちゃん養うー!」

「ん?」

「いっぱい描くねー!」

「お兄ちゃんへのラブパワーが強すぎる」

「お姉ちゃん達も好きだもん!」

「うんうんそだね」


 がんばろー! おー!



 ◆◆◆


 すやぁ……うとうと。


 すやぁ……はっ! お姉ちゃんー!


「ふふ。絵描きながら寝てたね、柚」

「お姉ちゃんおかえりー! 早かったねー!」

「ん、ただいま」


 お姉ちゃんが帰ってきてたー! ぎゅー! ……すやぁ。


「今日はこのままお昼寝する?」

「すやぁ……起きる!」


 危ない! 眠りそうだったー!


 お兄ちゃんとお姉ちゃんとお母さんにぎゅーってしたらいっぱい眠くなるー! ひざまくらされるのも好きー!



「ふふ、今日は絵描いてたんだね」

「そー! お兄ちゃんとお姉ちゃん養うのー!」

「ん?」

「有名なってねー! いっぱいお金もらってねー! みんなで暮らすのー!」

「んー? ……そっか?」

「そー!」


 だからいっぱい描かなきゃー!


「……ね、柚」

「んー?」

「柚がもっと色んな絵描きたいんだったらさ。もっと描きやすいの買う?」

「描きやすいのってー?」

「あー。お姉ちゃんもそんなに詳しい訳じゃないけどさ。PCと繋げてもっと描きやすくするのとかあるんだよ。紙に描くみたいな感じでさ」


 ……!


「でも高くないのー?」

「大丈夫だよ。茜もバスケ部入ったし。紫苑と柚が何かやりたいー! ってなった時のためにお金貯めてるんだよ」


 お姉ちゃんに頭撫でられるとあったかくてぽかぽかするー!


「私もとーやもアルバイトしてるし、お母さんも働いてるからね。お金も昔に比べたらいっぱいあるんだよ」

「そーなのー?」

「そーなの。だからお金の事はなんも心配しなくていーの」


 お姉ちゃんがおでこにちゅーしてくれた!


「もうあの頃とは違うからね。不自由な思いはさせないよ」

「……お姉ちゃん」

「んー?」

「私、不自由な思いなんてしてないよー?」


 お姉ちゃんはかんちがいしてる!


「お姉ちゃんとお兄ちゃんがいたんだもん。ずーっと楽しかったし、幸せだったよー!」


 お姉ちゃんをぎゅー! ってする! ふわふわー!


「今も幸せー!」

「柚……」

「大好きだもんー! お姉ちゃんもお兄ちゃんもお母さんもいるもんー! 紫苑と茜もいるもんー!」


 毎日楽しーんだもん!


「もー! 柚大好き!」

「んむぐー!」


 おっぱいにうもれたー! ふわふわー!


「どーして私の妹達はみんな可愛いし良い子だしこんなに大好きになっちゃうかなー」

「私も大好きだよー?」

「もー、私も大好きだよ!」


 えへー! ぎゅってされるのもするのも好きー!


 そしたら、玄関が開く音が聞こえたのー!


「ん、柊弥かな。紫苑と茜かな。それともお母さんかな?」

「みんないっしょかもー!」


 お姉ちゃんと迎えに行くー!


「あ、やっぱりみんないっしょだー!」

「ただいま、ミア、柚」

「ふふ。ただいま」

「ただいま!」

「ただいま!」


 お母さんとお兄ちゃん! 紫苑と茜!


「……びっくり。ほんとにみんな一緒だったんだ」

「ふふ。今日は仕事が早く終わってね。柊弥もちょうど終わった頃だったから迎えに行って、その後に紫苑と茜がまだ学校で遊んでるみたいだったから」


 茜はバスケ部だけど、紫苑はよく遊びに行くのー! 私も時々遊びに行くー!


「お母さんー!」

「柚、ただいま!」

「おかえりー!」


 お母さんぎゅー! お兄ちゃんもぎゅー! いーにおいー!

 紫苑と茜もー!


「紫苑汗かいてるよ?」

「僕もー」

「関係ないもんー!」


 ぎゅー!


「……そういえば俺も汗かいてたな」

「お母さんも……」

「……? お兄ちゃんもお母さんもいーにおいだったよー?」


 大好きなにおいー!


「じゃあ先お風呂入っちゃう?」

「そーする!」

「柚はまだ?」

「うん! いっしょはいろー!」


 みんなでお風呂ー!

 楽しみー!


 ◆◆◆


「お兄ちゃん!」

「今日はお兄ちゃんだ!」

「わーいー!」


 最近はお兄ちゃんとお姉ちゃん、時々お母さんが寝か一緒に寝てくれるのー!


「今日お兄ちゃんこっち!」

「僕と柚の間ね!」

「やったー!」

「ああ、分かったよ」


 お兄ちゃんぎゅー! ちゅー!


「三人に反抗期が来たらお兄ちゃん耐えられないかもしれない」

「反抗期来ないもん!」

「ずっとお兄ちゃんとお姉ちゃん好きだもん!」

「大好きー!」


 ぎゅー! 反対から茜がぎゅー! お兄ちゃんがちょっとだけ苦しそー!


「ああ、お兄ちゃんも三人が大好きだぞ」


 お兄ちゃんの手もおっきくて、あったかくて好きー! お姉ちゃんもお母さんも好きー!


「紫苑、茜、柚。今日も学校楽しかったか?」

「楽しかった!」

「いっぱい遊んだ!」

「今日ね今日ね!お昼寝しなかったよー!」

「おお、凄いな。頑張ったんだな」

「えへー!」


 いつもはいつの間にか寝てて、お友達に起こされるけどー! 今日はがんばったー!


「むにゅ……」


 って言いたかったのに、眠くなってきたー! お昼寝してないからー!


「ふふ。柚はもうお眠か?」

「まだおきるー……」


 だめだー! まぶたが重いー!


「大丈夫だよ、お兄ちゃんは明日も明後日もその先もずっと居るからね」

「んむー」


 お兄ちゃんのお腹の上から手を伸ばしたら、紫苑と茜がにぎってくれたー!


「ずっといっしょー……」

「ああ、一緒だよ」

「えへー」


 いっしょー!


「おやすみー。お兄ちゃん、紫苑、茜」

「ああ、おやすみ、柚」

「おやすみ!」

「また明日ね!」


 また明日ー。


 明日はお兄ちゃんともいっぱいお昼寝するんだー!






 ――――――――――――――――――――――


 作者からのお知らせ


 天海さんの残りのお話について近況ノートを書きました。ご一読して頂けると幸いです。


 内容を簡単にまとめますと、紫苑・茜・柚視点の十年後のお話を更新しない事にした、というお話になります。

 今日のお話を含めて残り四話で完結となります。最後までお楽しみ頂けると嬉しいです。


 https://kakuyomu.jp/users/HIRYU05281/news/16817330662840489469

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