第5話 おまけ②【ある日の柏木くん?】
ミヤコソウ
おまけ② 【ある日の柏木くん?】
みなさん、こんにちは。隼翔です。
こんにちは!小早川潤です!
俺達は今、柏木英斗を観察しています。まあ、普段やられてるから、ちょっとくらいいいだろう。
ちなみに、今回はこの二人が解説してくれます。
「英斗、何してんだろー?」
「どうせ解剖の本でも読んでんじゃねぇのか?」
「解剖って、そんなに楽しいのかな?」
「んなわけあるか!あんなグロいもんの、何が楽しいってんだ。」
「でも、英斗笑ってるよ?」
「あれはな、生まれつきだ。生まれつき笑った顔してんだよ。」
「え、生まれつき笑ったままなの?」
「そうだ。常に口角を上げていられるのは、詐欺師か英斗くらいだな。」
「え、英斗、詐欺師なの?受付嬢は?」
「さすがの受付嬢でも、休憩に入れば一気に笑みは消えんだよ。詐欺師は英斗じゃねえ。英斗が詐欺師・・・?あれ?」
「ふーん。ま、なんでもいいや。」
「いいのかよ。じゃあ聞くな。」
「それにしても、微動だにせず読み続けてる・・・。」
「あの髪の毛って、自分で染めてんのか?」
「さー?あっ。そういえば、この間英斗の部屋に入った時、カラーリングのやつが捨ててあった。」
「へー。苦労してんだぁ。あの青。」
「ね。夜中に染めてんのかな・・・。一応三〇過ぎてるからね。」
「そうだな。俺達が思ってる以上に、本人は気にしてんのかもな。」
「英明は?真っ黒だよね?染めてんのかな?」
「あのな、三○代で髪の毛を黒に染めんのは早ぇーだろ。ほら、英明ってワカメ好きだろ?きっと、あの黒紙はワカメパワーだ!」
「そっか!ワカメか!」
「潤はそれ染めてんのか?黄土だよな。」
「染めてない。地毛だから。」
「地毛!?へー。日本人の名前持ってんのに、地毛が黄土ねー・・・。」
「あ!それ、偏見だかんな!」
「あーはいはい。悪かったよ。」
「心がこもってない!」
「すみませんでした。」
「・・・超棒読みなんだけど。」
「ま、いいじゃねえか。気にすんな。」
「そんなこと言っても、翔だって色違くね?」
「俺は染めてっから。」
「あーそうなんだ。」
「なんで俺のことだけそんなに興味ねぇんだよ。」
「そんなことないよ。」
「お前、宇宙人か。」
「で?何で染めてんの?」
「ああ。黒でも似合うんだけどな、俺。なんとなくこの色が気に入ってんだ。」
「大した理由じゃないね。」
「まあな。さらっと酷ぇこと言うな。お前、英斗に似てきたよな。」
「そうかな?翔は英明に似てきたよね。」
「え、どのへん?老けてきた?」
「・・・。」
「無言って止めてくんねぇ?図星なの?」
「まあ、煙草とか吸ってるから、しょうがないよ。」
「あ、臭いの方なんだ。俺おっさん臭いんだ。」
「うん。」
「否定しろよ。もしくはオブラートに包んで言えや。」
「だって、いずれ分かることだし。英斗から言われるよりはいいでしょ?」
「・・・まぁな。あの顔で言われたら、どう対処していいかわかんねぇし。」
「それにしても、なんで青汁好きなんだろう?」
「あ?青が好きなんじゃねぇの?」
「それだけの理由で青汁?あの髪?単純じゃない?」
「いやいや、いいか潤。大人になったって、単純な奴は単純なんだよ。」
「そっか。あ、じゃあ、なんで空は青いの?」
「お前、ソレ小さい子が聞くことだろ。」
「翔の勉強にもなるでしょ。」
「・・・。あのな、空が青いのは・・・」
「青いのは?」
「・・・・・・・・・・・・。神様が青汁飲んでて、零したからだ!」
「・・・ソレ、本気で言ってんの?」
「おうよ!」
「じゃあ、何で海は青いの?」
「海か・・・海は・・・そうだな。」
「・・・。」
「・・・・・・。青汁を水で薄めると、きっとあんな感じになるんだ!」
「・・・。なんか俺、翔が可哀そうになってきた。」
「なんでだよ。なにも可哀そうじゃねぇだろ。」
「・・・うん。そうだね。」
「おい、その人を哀れむような目で見るの、止めろ。」
「これね、英斗の受け売り。」
「んなもん受け売るな。真似すべきところと、真似すべきでないところくらい、自分で見極めろ。」
「いや、なんか自然と身についてるんだよね。」
「それ、末期だな。」
「え、俺、ガン!?」
「・・・まあ、ガンっていうか、ガーン?効果音?」
「どうしよう・・・。」
「でもま、英斗はある意味最強だかんな。いいんじゃね?」
「そうかな・・・。あ、この間撮ったヤマトさ、最終回だったよ。」
「マジでか!え?てか、え?何、お前見たの?俺のヤマト、俺より先に見たの?」
「うん。テレビ見ようとしたら、ビデオになってたから、そのまま見ちゃった。」
「うわ、絶対落ち言うなよ。」
「落ちとかないよ。古代が最後に敵「うわあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」・・・何。」
「お前、それを落ちって言うんだよ!大体分かっちまったじゃねーか!どうしてくれんだよ!!なんでこんなときに限って、俺の勘は鋭くなっちまうんだ!!」
「ごめん。もう言わないから。」
「あああ。御免なさい。沖田船長。俺はまだ何も知りません。」
「翔?しっかりしてよ。沖田船長なんて現実にいないから。」
「くそっ。今まで積み重ねてきた努力がっ・・・!!」
「だから、ごめんてば。もー、ほっといていい?」
「俺はな、別に落ちを言われた事に対して嘆いてるわけじゃないぞ。」
「嘘ついたら針千本飲ますけど。」
「嘘だ。落ちを言われて嘆いてた。御免。嘘ついた。」
「なんか、翔の扱い方がよく分かんなくなってきたよ。」
「そういう言い方するな。落ち込むかもしれないだろ。」
「面倒だから落ち込まないで。俺、翔が落ち込んだら無視するから。」
「え。潤ってそういう子だったっけ?俺が知ってる潤は、もっと純粋なはずなんだけど。」
「俺だって精神的に大人になるよ。周りが親父ばっかりだからね。」
「その親父の中に、俺は入ってねえよな?俺まだ若いよな?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。そうだね。」
「何だよ、今の間は。即答しろよ。俺は潤と三つしか歳の差ねーんだぞ。」
「知ってるよ。三つしか離れて無いのに、翔がおじさんに見えるから問題なんでしょ。」
「あ、そうなのか?いやいやいや、お前今失礼なこと言ったぞ。気付いてるよな?ワザとだろ。」
「・・・・・・・・・・・。そういや、俺達の中で一番モテるのって誰だって話を、この間英斗としてたんだけどさ。」
「完全スル―だな。性格変わったな。」
「英斗が言うには、英明なんじゃないかって。」
「いや、俺だろ。何と言っても、親しみやすさと男らしさを兼ねそろえてるしな。」
「はいはい。まあ、英明が一番なのは仕方ないとして、二番が自分だって言うんだよ。」
「英斗ね~。どうだろう。まあ、ああいう空気の男が好きだっていう奴もいるだろうな。」
「英明が一番だった場合、英明に一番近いとこで動いてる英斗が二番であっても、まあ、納得するしかないのかなって思うけど。」
「え、俺じゃないの。」
「で、三番は俺でしょ。母性本能がくすぐられる俺が三番目。それもそれで仕方ない事だよね。女性って、なんだかんだ言って、可愛いものが大好きじゃん?」
「え、俺は?この流れでいくと、最下位?違くね?まず一位からして間違いじゃねぇの。」
「だから、翔が四位。つまり俺達の中で最下位っていう結論に達したんだけど、いいよね?」
「さっきからさ、俺の意見聞いてねぇよな。よくねぇよ。納得いかねぇよ。もう一回考え直してみようか。」
「よし。じゃあ、そんな感じで。」
「・・・。一回殴ってもいいかな。なんだろうこの気持ち。」
「ああ、そうだ。今夜は誰が飯作るんだっけ?」
「確か・・・。俺か?」
「そうなの?じゃあ、今日は鍋が食べたい。よろしくね。」
「しょうがねぇな。・・・あれ?何か言おうとしてたような・・・。」
「・・・おい、英斗。」
「どうかした?英明?」
「翔と潤は、あそこでさっきから何やってんだ?」
「さあ?でも、ま、本来の目的忘れて、盛り上がってんじゃないの~?」
「・・・みたいだな。」
ミヤコソウ maria159357 @maria159753
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