第24話 「麻酔」について

 このエッセイは鷲生の中華ファンタジー「後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符」の「あとがき」です。


 拙作のURLはコチラです→https://kakuyomu.jp/works/16817330658675837815


 *****


 今回は璋伶が麻酔を使うという設定が出てきます。これ、後々にも出てきますのでご記憶頂ければ幸いですw


 着想は東南アジアに「黄金の三角地帯」と呼ばれる麻薬の栽培地があるということをどこかで聞きかじったものによるものです。


 Wikipedia「黄金の三角地帯」の説明はコチラです。

 ↓

 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%84%E9%87%91%E3%81%AE%E4%B8%89%E8%A7%92%E5%9C%B0%E5%B8%AF


 ケシの栽培は19世紀からとありますので、古代中国とは関係なさそうですね。


 古代中国で麻酔と言えば、三国志の時代の医師の「華佗」が発明したという伝説はあるようです。Wikipedia「華佗」より。

 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%AF%E4%BD%97


 柿沼陽平さんの『古代中国の24時間』にも華佗の麻酔について触れられています。

 この時代に虫歯になったら大変だ、という項目の中ですw。


「当時は、歯を削る技術がなく、現代のように強い麻酔薬もない。例外として後漢末に神医華佗が全身麻酔術をおこなったとの伝承があり、大麻による麻酔技術がある可能性もある」


「大麻吸引の起源は古く、紀元前一〇〇〇年以前の吐魯番トルファンの洋海墓地や加依墓地では大麻のタネと葉の粉末がみるかり、儀式や医療で用いられたとされている。その技術が漢代において、すでに中原に流入していても、なんら不思議はない」


 以上は58頁からの引用ですが、本文中に脚注がついており柿沼陽平さんが参考にされた文献に辿り着くことも出来ます。もしこの分野にご興味があれば是非。


 鷲生の拙作「後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符」では、史実に基づいているというよりも、「ここで麻酔が登場したら話が面白くなるな~」というファンタジー小説の都合ですw


 これだけではなんなので。『図説中国文明史6隋唐 開かれた文明』から「体系の完備した医療事業」の項目(252頁~254頁)から引用しておきます。


「隋唐の政府は、中央と地方の両方に、医薬の管理と教育する機構を設けました。前後して太医署・尚薬局・薬蔵局を設立して、それぞれ業務を分け、全国の医薬の発展を監督させたり、皇帝・皇太子の健康維持の責任を負わせました」


 拙作でも皇太后様がご病気ですが、太医署が治療に当たっていることになっております。


「国内最高の医薬管理機構である太医署には、行政・管理・業務を担当する役人を多く配置し、業務を明確に分担させています。医師は、医学生の教育と訓練および医療への参加の責務を負いました」


「薬園師と主薬は、薬物の栽培と採集の責務を負いました」


「各科の博士と助教(助手)は、それぞれの専門分野を教学する責務を負いました」


「太医署の教員・学生・職員だけでも300人に達しました」


 この本の残りの項目は「厳格な試験制度」「世界初の官修の薬学事典」「薬の王、孫思邈」と続きます。

 大ヒット中華ファンタジーの『薬屋のひとりごと』がお好きな方には興味深いかもしれません。

 あと最近、篠原悠希さんの『後宮に星は宿る 金椛国春秋』を読みましたが、唐代をモデルにした世界で、薬草・薬品について詳しい内容ですよ。

(KADOKAWAなので、リンクを貼っておきましょうかw https://www.kadokawa.co.jp/product/321609000351/)


 *****


 冒頭にも述べましたが、璋伶は終盤で再び麻酔をかける必要に迫られます。

 それは誰で、そして何が起こるのか……。

 どうか最後までご愛読賜りますよう。



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