第20話 「正倉院御物」「布団など寝具」などについて

 このエッセイは鷲生の中華ファンタジー「後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符」の「あとがき」です。


 拙作のURLはコチラです→https://kakuyomu.jp/works/16817330658675837815


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 よく知られているように、日本の正倉院には唐から伝来したエキゾチックな文物が多く収蔵されています。


 鷲生がちょくちょく参照している『図説中国文明史』シリーズは中国の歴史家が書いたものを日本語に訳しているようですが、『6隋唐 開かれた文明』でも86頁の「歴史ズームイン」で「日本に残る唐朝文化の粋」として取り上げられています。


 87頁には「密陀彩絵箱」「金銀平文琴(金銀平脱琴)」「緑牙撥鏤尺」などとならび「螺鈿紫檀五弦琵琶」の写真が掲載されています。


 この「螺鈿紫檀五弦琵琶」は、正倉院御物と言えばコレという有名なアレですw

 ラクダにのった楽人があしらわれています。


 いかにも西域風ですが、鷲生が子供の中学受験の面倒を見ていた時に、国語の長文読解で「正倉院に伝わるものは必ずしも西域で作られたものとは限らない」という内容の文章を読んだ記憶があります。


 つまり、唐で西域風が大流行したので、唐でも西域風のモノが制作されており、正倉院にあるのもそれではないかというのです。


 子どもの受験が終わって全て処分したので出典が辿れなくてスミマセン。


 その文章の指摘は正しいのかもしれませんが、鷲生のファンタジー小説「後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符」ではこの螺鈿紫檀五弦琵琶は遠く西域からもたらされ、今回の話でザロと雲雀が話題にしているのがソレという設定です。


 日本の文化庁が文化財オンラインというサイトを解説しており、そこにもちろん螺鈿紫檀五弦琵琶も載っています。


 文化庁「文化財オンライン」↓

 https://bunka.nii.ac.jp/

「螺鈿紫檀五弦琵琶」↓

 https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/499425


 このサイトで紹介されているのは模造品だそうですが(その東博の説明はコチラ→https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=520)、意匠の説明が参考になるかと思います。


「原品は唐式五絃琵琶の世界に唯一つの遺例で、その希少性と装飾の華麗さから、正倉院宝物を代表する存在である。撥面には玳瑁を貼り、螺鈿で駱駝に乗る人物や熱帯樹を描く。背面には宝相華や含綬鳥、飛雲を、螺鈿と伏彩色を施した玳瑁の象嵌で表わしている。」


 正倉院の本物についての説明はコチラ↓ なんと。御物ですから「宮内庁」のサイトですw

 https://shosoin.kunaicho.go.jp/treasures?id=0000010074&index=0


 正倉院は、その建物を見るのは比較的簡単ですが(上記の正倉院御物のページからリンクを辿っていくと正倉院へのアクセスが分かります)、中身は基本見られません。

 一応、「正倉院展」が毎年秋に開催されますが、鷲生は京都という奈良の隣県に住んでいながら中に入ったことがありません。


 いや……会場まで行ったことはあるんですよ……。ただ、お客さんが物凄くて。会場の周りを何十にも行列が取り囲んでいるので諦めてしまいました。

 生きているうちに一度行ってみたいですけれど……。うーーーん。


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 今回は病床に伏している皇太后を白蘭と冬籟がお見舞いしました。


 寝具に関する「牀」「榻」「衾」「褥」は、小野不由美さんの『十二国記』シリーズで目にしました。

 ただ、用法が小野不由美さんの独自色が強いのなら、そのまま真似をするのもパクリとのような気がして気が咎めます(「宿」を「舎館」と表記するのはそれで諦めました)。


 上記の4つはそれぞれオリジナルの漢字にその意味があるので安心して使っております。


「牀」(漢字辞典オンライン→https://kanji.jitenon.jp/kanjii/4351.html)

 意味…… 「ねだい。寝台。こしかけ。長いす」


「榻」(漢字辞典オンライン https://kanji.jitenon.jp/kanjii/4159.html)

 意味……「こしかけ。ねだい。体をのせて腰かけや寝台として用いるもの。」


「衾」(漢字辞典オンライン https://kanji.jitenon.jp/kanjik/5027.html)

 意味……「ふすま。ねまき。夜着。夜具。」

 柿沼陽平さん『古代中国の24時間』の52頁に「夏用のひとえの布団(夏衾)」という記述があります。


「褥」(漢字辞典オンライン https://kanji.jitenon.jp/kanjik/5056.html)

 意味……「しとね。敷物。布団。」


 今回は皇太后様がご病気で寝床で療養されていますが、物語の終盤ではキャラがケガを負って床に就きます。

 それは誰で、そのことにより何が起きるでしょうか……。

 どうか最後までご愛読くださいますよ







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