第18話 「役者」について
このエッセイは鷲生の中華ファンタジー「後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符」の「あとがき」です。
拙作のURLはコチラです→https://kakuyomu.jp/works/16817330658675837815
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今回は新キャラの登場です。
艶っぽくて、色男を気取る個性的なキャラです。私も書いてて楽しいですw
冬籟は「精悍」な美男子、卓瑛は「甘い顔立ち」の美男子、そして璋伶は「蠱惑的」な美男子ですw
発想のもとになったのは荒川弘さんの漫画『アルスラーン戦記』のギーヴというキャラです。
田中芳樹さんの原作も読んでますが、荒川さんの漫画で読み直すことが多いですし、ビジュアルのイメージは漫画から得てます。
本人は今回「役者」として登場します。
この時代の演劇について鷲生は詳しくなく、美男子(しかも自分が美男子だと認識している)の彼がその資質を活かして就いている職業・生業であるだけで「役者」としてあるだけです。
一応、鷲生が持っている丸善出版『中国文化事典』に「中国演劇の歴史――滑稽孤諷諫から舞台芸術へ」という項目はあります。
その冒頭によれば「中国における演劇の発生は、10世紀の宋代まで待たなければならない」のだそうです。
もっとも「演劇的要素をもつ芸能は先秦時代からすでに行われていた」わけで、拙作の璋伶も何らかの芸人であったということにしております。
一応、拙作がモデルにしております「唐」より前の「先秦漢魏南北朝」の項目を引用しておきます。
「●前史――先秦漢魏南北朝 古くは西周末,王侯貴族を楽しませることを職掌 とした芸人が存在した. 彼らは俳優、優人と称され、楚の荘王 (在位前614-前 591)に仕えた優孟. 秦の始皇帝 (在位前259-前210) 2世胡亥 (在位前210-前 207)に仕えた優旃の「優」 がそれである. 優孟は宰相に扮して主君を笑わせ 優旃は諫言を込めた笑いで主君を改心させた.もっぱら歌舞を供した倡優と合わ せて優伶と称された. 漢代には 《東海黄公》 という角觝戯が行われた(晋・葛洪 〈284-363〉 『西京雑記』 巻 3). 六朝時代, 主人公が明確に打ち出された 《代面 (大 面)》 《踏揺娘》 などの歌舞が演じられた.」
「●準備期――唐唐代には武徳年間(18626)に宮廷楽舞の教習を司る官署 「内教坊」 が,玄宗 (在位 712-756)の 開元2 (714) 年に胡楽, 俗楽と散楽を習得するための左右 「教坊」 が, 長安と洛陽に設置された. また先天元 (712) 年 には「梨園」が設置され, 清商楽が胡楽化した法曲を玄宗自ら教えたこれは異なり、前代の優の演技が様式化して参軍戯が生まれた」
「参軍戯」の由来が二通り紹介されていますが、ともあれ「笑劇」ではあったようです。
あまり璋伶のような美男子が二枚目として活躍しそうな演目は史実には無さそうですが、拙作では後宮の女性や王女の目の保養になりそうな素敵なラブストーリーの劇があって、その人気者だという設定です。
まあ、お話の都合ですw。
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あと、この記事を書くのに『中国文化事典』をパラパラ読み返しておりましたら。
私にとっては個人的に興味深い記述が目に入りました。
中国ではいつからイスとテーブルを使うようになったんだろう?という疑問の答えです。
鷲生は日本史畑でしたので。
奈良時代に隋唐を模倣した時に机と椅子だったというイメージはありました。
奈良の平城宮跡資料館(奈良文化財研究所という格が高いというか、とても偉い研究所がやってる資料館です)で、官衙復原展示コーナーを見た時には、机と椅子だったんです。
ところが柿沼陽平さんの『中国古代の24時間』ではそうではない模様。
うーーん、いつから中国大陸でイスとテーブルの生活になったのだろう?と思っておりましたら。
『中国文化事典』の4ページ「胡漢の融合」に描いてありました。
魏晋南北朝に「それまで床に座っていてものが椅子とテーブルを使い始めるといった生活文化の変容も起こってきた」とのこと。
これで安心して机と椅子で過ごしていると描写できますw
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今回登場した若くて美しい璋伶。
これから話の要所要所でイイ働きを見せてくれます。
どうか最後までご愛読くださいますよう。
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