第13話 「シルクロードの交易品」について

 このエッセイは鷲生の中華ファンタジー「後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符」の「あとがき」です。


 拙作のURLはコチラです→https://kakuyomu.jp/works/16817330658675837815


 *****


 今回は白蘭が冬籟に引越しを提案します。

 冬籟のためでもあり、自分のビジネスのためでもあります。


 衣食住の中でも住宅関係は大きくお金が動きます。

 私が中学の頃の社会科の先生が「景気を刺激するために住宅関係の政策が用いられる」と言っていたのを今でも覚えています。

 住居を建てる資材もそうですし、人件費もそうです。それに(現代なら)家電製品に家具、その他日常品などでお金が大きく動くからです。


 ちなみに。

 鷲生はファイナンシャルプランナー2級の資格を持っており、少し前まで金融系のWebライターをやっておりましたが。

 住宅ローン減税なんかの説明記事を書いたりしておりましたよw


 白蘭が冬籟に引越しを勧め、それを「自分から品物を購入して欲しいからだ」と説明しますが。

 実際、東西交易で扱われていた品々はどんなものだったのでしょう。


 シルクロードという言葉が出ると、運ばれていた品物についても軽く説明されていることが多いものです。

 ただ、それほど詳しくありません。シルクロートというからには「絹」と「金銀器」と他いくつかが挙げられているくらいでしょうか。


 鷲生が見かけた記述の中で一番詳しいのが森安孝夫さんの『シルクロードと唐帝国』の中の説明だと思います。


 この本は「ソグド人でソグド人でソグド人なんですっ」と世界史に果たしたソグド人の役割を強調しているものです。


 この本の第一章「シルクロードと世界史」に「シルクロードの貿易の本質」という項目があります(68頁)


「シルクロード貿易の本質は奢侈品貿易である」「グローバル世界史の『海洋の時代』となれば、重くてかさばる食糧や原材料や生活必需品の大量輸送が可能となるのに対し、ユーラシア世界史の『内陸の時代」におけるシルクロード貿易は(中略)あくまで軽くて貴重な商品、すなわち奢侈品や嗜好品の中~長距離異相が主流であった」


 その前の項目では「東西南北のネットワーク」(64頁)とあり、「シルクロードは決して『線』ではなく『面』である」とあり、東西に一本道があるわけではまったくなく、交通の要地をジャンクションに、ユーラシア大陸を網の目状に広がっているものだと説明されます。

 ですから、東西だけではなく南北にも物資は行き来していました。


 ですから東西南北のいろんなモノが行き交っていたのです。


「ラクダや馬で運ばれた奢侈品や嗜好品としては、東の中国からは絹織物・紙・茶、西のペルシア・東地中海方面からは金銀器・ガラス製品・乳香・薬品・絨毯、南のインド・東南アジアからは胡椒・香木・宝石・珊瑚・象牙・犀角・鼈甲・藍、北のロシア・シベリア・満州からは高級毛皮・朝鮮人参・鹿角・魚膠、中央アジア自身からはコ―タンの玉、バダクシャンのラピスラズリ、クチャの硇砂、チベットの麝香やヤク牛の尻尾、さらに特産地が複数にまたがる毛織物・綿織物・真珠・装身具、鎖帷子・装飾鞍などの武具、葡萄酒・蜂蜜・大黄などがある。それ以外の重要な防衛気品としては、重くても自分で動く奴隷と家畜があることを忘れてはならない」(69頁)


 上記のズラズラ挙がっている品物で分からないものは、今ざっとネットで調べました。


 乳香について

 香木・香料のはなし

 http://www.baikundo.co.jp/wordpress/frankincense/#:~:text=%E4%B9%B3%E9%A6%99%EF%BC%88%E3%81%AB%E3%82%85%E3%81%86%E3%81%93%E3%81%86%EF%BC%89%E3%81%AF%E3%80%81%E7%86%B1%E5%B8%AF,%E3%81%A7%E7%94%9F%E7%94%A3%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82


「乳香(にゅうこう)は、熱帯の地域に育つ常緑低木であるカンラン科ボスウェリア属の樹脂のことです。樹皮に切れ込みを入れると、染み出した樹液は透明から乳白色に変わり、それがミルクのようなので乳香(にゅうこう)と呼ばれます。主にソマリア、エチオピア、オマーンなどで生産されています。」


「乳香の香りは、森林を彷彿させるような爽やかで清涼感のある香りで、不安を和らげ、前向きな気持ちにするような効果があると言われています。」


 犀角(さいかく)について(Wikipedia「犀角」)

「動物のサイ(犀)の角。古来から、中国医学における生薬や、それから派生した漢方薬などに使用されてきた。」


 魚膠(ぎょこう) (コトバンク「魚膠」)

「水産動物から作る膠(にかわ)。原料は魚類の皮・鱗(うろこ)・骨,クジラの皮・骨・結合組織など。これらはコラーゲンを含み,煮熟するとゼラチンを得る。おもに木材などの接着剤として用いられる。」


 硇砂(のうしゃ・どうしゃ)

 塩化アンモニウムのことのようですが……。

 現代では肥料に使われているそうですが、この時代の用途はわかりません。

(同じ疑問を持った人がヤフー知恵袋で尋ねていて、「漢方薬では?」という回答がありましたが、出典を確認できていません)。


「ヤク牛の尻尾」 Wikipedia「ヤク」

 日本では「兜や槍につける装飾品として武士階級に愛好され」「歌舞伎で用いる鏡獅子のかつらや振り毛、仏教僧が用いる払子にもヤクの尾毛が使用されている」


 乳香は聖書にも出てきますね。また機会があったら香りを嗅いでみたいです!


 *****


 拙作の白蘭は冬籟と話しながら頭の中で手持ちの商品を思い浮かべ、引っ越す冬籟に絨毯、金銀器、ガラス製品はもちろん、ルームフレグランスに香木なんかも売りつけるつもりですw


 白蘭と冬籟と少しずつ互いの印象が良くなりました。

 これから二人はどうなっていくのか。

 どうか最後までご愛読くださいますよう。

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