第11話 「遣唐使船」「生存者罪悪感」などについて

 このエッセイは鷲生の中華ファンタジー「後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符」の「あとがき」です。


 拙作のURLはコチラです→https://kakuyomu.jp/works/16817330658675837815


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 鷲生は遣唐使船に乗ったことがあります。

 もちろんタイムスリップしたとかいう話ではありませんw


 奈良の平城宮跡歴史公園に復元されたものがあり、それに乗ったことがあるのです。

 その時の写真を近況ノートに掲載しております↓

https://kakuyomu.jp/users/washusatomi/news/16817330660912620653


 正確に言えば今のミュージアムではなく、その前にあった「平城京歴史館」という施設の横に復元された遣唐使船があり、それに乗り込んだのです。

 この時は天平時代の衣装を着付けてくれるイベントも開催されており、もちろん鷲生も家族も着付けてもらいました!


 今は平城宮跡歴史公園の朱雀広場の西側、「天平みつき館」と「天平うまし館」の傍の池に浮かべられているようです。


「平城宮跡歴史公園」のサイトはコチラ→「朱雀門ひろばの主な見どころ」

 https://www.heijo-park.jp/guide/suzakumon/tenpei_zone-3/


 遣唐使船の復元についてはWikipediaの「遣唐使」の記事に、「復元遣唐使船」という項目が立てられています。


「遣唐使船は、これまでに数隻が復元されている。」のだそうです。


「2010年(平成22年)の上海国際博覧会に際して」「遣唐使船再現プロジェクト」によって」「全長30m、全幅9.6m、排水量164.7tでエンジン付き遣唐使船」が復元され、「かつての遣唐使と同一の航路で大阪港から上海に入港した」のだそうです。


 奈良にあるのは下記のもののようですね。


「また同じく2010年(平成22年)の平城遷都1300年祭に際しても、同年開館の平城京歴史館と合わせて全長約30m、全幅9.6m、排水量300tの遣唐使船が復元された。2016年(平成28年)に平城京歴史館は閉館し遣唐使船の公開も中止されていたが、2018年(平成30年)の平城宮跡歴史公園朱雀門ひろばの開園とともに遣唐使船も改めて公開されている」


 全長30メートルというのは……船としてはあまり大きくはないでしょう(私は神戸生まれで、比較対象が神戸港で見た近代の大型客船とかなのでそう感じやすいのかもしれませんが)。


 この大きさの木造船で外洋に出て中国大陸まで渡るのは、かなり心細い印象を受けました。


 Wikipediaの記事では成功率は8割だそうですが……

「船体は、耐波性はあるものの、気象条件などにより無事往来出来る可能性は8割程度と低いものであった。4隻編成で航行され、1隻に100人、後期には150人程度が乗船した。」


 復元された遣唐使船を目にすると、8割「も」成功するのはむしろ高いくらいなんじゃないかと個人的には思います。


 あと、阿倍仲麻呂とか鑑真和上の話で成功率が低いというイメージの方が強いのもあるかもしれません。


 拙作「後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符」では、物語の虚構世界をシンプルにするために朝鮮半島や海に浮かぶ島などは考慮しておらず、荒波を長距離後悔するという設定です。


 なので、東妃が言うように、「4隻に分乗して1隻しか到着しない」という、史実よりもシビアな描写となっております。

 まあ、だから漣王も朝貢はしたいけれども自分の娘を派遣するにしのびず、豪族の娘を代わりに遣わしているということになっています。


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 東妃は生き残ったことに罪悪感があるとこぼします。


 これは心理学の分野で「サバイバーギルト」「生存者罪悪感」と呼ばれているものです。


 私は心理学を専門にしたことはないので阪神淡路大震災などの災害や福知山脱線事故などの報道の中で見聞きした事象なんですが、このキーワードで検索すると心理学専門の方の書かれたものなどが出てきます。


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 白蘭が東妃の許を辞去するのは「さるの刻」で、大体16時頃です。

 日が傾いて来て日暮れは近いものの、まだ暮れるには早い時間帯です。

 今のところ「申」にしていますが、「酉」と表現した方がいいのか迷っています。

 ひょっとしたら、今後「やっぱり『酉』にしよう」と変更するかもしれません。


「十二時辰」についてのWikipediaの説明はコチラです。→

 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%81%E4%BA%8C%E6%99%82%E8%BE%B0


 古代中国の日常生活を、この「十二時辰」の表記で24時間分=24話の短編小説で解説してくれる書籍があります。

『古代中国の日常生活:24の仕事と生活でたどる1日』です。コチラで詳しくご紹介しております。

 ↓

「小説仕立てで日常史を学べる歴史書です『古代中国の日常生活』」

 https://kakuyomu.jp/works/16817139556995512679/episodes/16817330650071828845


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 冬籟が東妃に恋をしていたという、意外な事実が明らかとなっておりますw

 卓瑛とは三角関係のようでもありますが、一方で実の兄弟のような結びつきもあり。

 このへんの微妙な関係も終盤に影響してきます。

 どうか最後までご愛読くださいますよう。

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