第9話 「宗廟」について
このエッセイは鷲生の中華ファンタジー「後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符」の「あとがき」です。
拙作のURLはコチラです→https://kakuyomu.jp/works/16817330658675837815
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今回は「西妃の護符が廟にお供えされていた」という話が出てきます。
この辺は鷲生のオリジナル要素が強いです。ってか、そもそも四神国からの入内というのが拙作ファンタジーの独自設定ですし。
中国の王朝が先祖を廟で祀っていたのは史実です。
檀上寛さんの『天下と天朝の中国史』という本の第2章に「郊廟制度の始まり」という項目があります。
天を祀る「郊祀」とともに、先祖を祀る「宗廟祀」があり、「王莽に代わった後漢初代皇帝洪武帝の朝廷で確立された」のだそうです(24頁)。
「前漢時代には、死亡した皇帝の位牌(神主)を安置する宗廟が皇帝ごとに作られたが、後漢時代には二代目の明帝以後、皇帝は自分の廟を作らず洪武帝の世祖廟に合祀するようになった。このように神主を集めて祀る宗廟のことを太廟ともいう」
全部を祀るわけではなく、ある程度整理するようです。
「ただし、皇帝が代替わりすをしていくと、現皇帝の七代以前の神主は祧廟と呼ばれる別の廟に移された。創業者を除き順次古いものから除かれたのである。」
あと。中国史でよく「太祖」「太宗」を見かけるな~と思ったら。
「ちなみに、廟に安置する神主には各皇帝の廟号が書かれ、王朝創業者には太祖、二代目には普通太宗という廟号が与えられた」
一般名詞っぽい扱いなんですね……(スミマセン、物知らずで……)。
この檀上寛さんの『天下と天朝の中国史』全体については下記の記事で紹介しております。
↓
「根幹の世界観の参考になるかも?『天下と天朝の中国史』」
https://kakuyomu.jp/works/16817139556995512679/episodes/16817330652344930218
その廟のあった場所について。
丸善出版の『中国文化事典』38~39頁「長安の都――8世紀の世界都市」に詳しい地図が掲載されており、それによると皇城の東南角にあったようです。
『中国文化事典』は2万円以上するお高い本ですが、読んでて楽しい本ですよ。
下記でご紹介しております。
↓
「お値段以上!読み物として面白い!『中国文化事典』」
https://kakuyomu.jp/works/16817139556995512679/episodes/16817330649421209588
「長安の都」のの項目を書かれた妹尾達彦さんは『長安の都市計画』が有名ですね。
廟が皇城にあったことは以下のサイトなどにも書かれています。
「中国の科学技術の今を伝えるScience Portarl China【11-11】唐の都・長安の面影残す京都の美」
https://spc.jst.go.jp/experiences/change/change_1111.html
金沢大学関係のウェブサイトにも似たような記述があります。
「研究ノート 伝統的都市計画から見た唐の長安城」
https://core.ac.uk/download/pdf/196704785.pdf
拙作「後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符」の中における後宮からの距離感としては……。
卓瑛と東妃の若夫婦なら「思い立ってちょっとお出かけしてみようか」で行ける距離であり、病身の皇太后にとっては「ちょっとしんどいけれど気力を振り絞ってお出かけできる」という感じの場所にある……と拙作では想定しております。
今回の卓瑛と冬籟と白蘭の会話で謎の内容が明らかになりました。
いったい誰がどのような意図で廟から護符を持ち出したのか……。
その謎が説かれるまで、どうぞお付き合いくださいますよう。
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