第6話 「中華キャラの名前の漢字」「宮城の地図」について

 このエッセイは鷲生の中華ファンタジー「後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符」の「あとがき」です。


 拙作のURLはコチラです→https://kakuyomu.jp/works/16817330658675837815


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 前回から登場している崔春賢。

 科挙を受験する、大貴族のお坊ちゃまです。

 今後物語の展開に関わってくるキャラですのでお見知りおきを。


 このキャラに限らず、中華ファンタジーや和風ファンタジーでキャラの漢字の名前を決めるのはちょっと困ります。


 それぞれ、漢字には意味とか使い方とかあるわけで。

 自分が適切な漢字をチョイスしているのか自信がないんですね……。


 和風ファンタジーや、中華ファンタジーでもあざなであればまだ書き手の裁量でどうにかなるかと思いますが……。


 姓とか氏とかだと、分布している土地とか、史実でまとっているイメージとかがあるようで、この辺詳しくないとどの漢字を使うか決めるのに及び腰になってしまいます。


 今回、とても有力な貴族である春賢の実家については「崔」という漢字を使うことにしました。


 それは、森部豊さんの『唐 東ユーラシアの大帝国』の中に、太宗の時の『氏族志』では崔がトップになったという記述があったからです。


 太宗自身は「漢人固有の価値観が色濃くのこる中国社会に対し、太宗は、山東門閥をトップとするヒエラルキーを壊し、皇帝を頂点とする新しい支配秩序をつくりだそうとし」、側近たちにその意を受けた『氏族志』を作らせようとしたのですが……(65頁)。


「ところが、彼らがはじめて上奏した『氏族志』では、なんと山東門閥の博陵の崔氏出身である崔民幹がトップに格付けされていた」(65頁)。


 そこで太宗はつくりなおしを命じたそうですが、ともあれ崔氏というのが権威のある家だったんですね……。


 拙作の後半で問題になりますが、この春賢の実家は皇帝家にも歯向かえるほどの名門家系です。

 なら、「崔」という字を使うといいかな~と思ったんです。


 謀反を起こした大臣の忽氏の「忽」はこんな拠り所は無くて、思い付きに近い感じで選んでます。

 ただ、悪役なので誰かを不快にしないような理由は一応探しました。クビライ・ハンの漢字表記「忽必烈」からとっています。二回も日本に攻めてきた人物なのでエエかな、とw


 ちなみに。

 ツイッターで中華BLに出てくる姓について解説してくれている投稿を見かけました。

 現在は下記のURLで見られるようです。

 ↓

「なぜ中華BLの主人公の苗字は「沈」「顧」など特定のものが多いのか?→中国人有識者による解説がためになる」

 https://togetter.com/li/1973970


 *****


 今回は、冬籟が七歳で華都に連れてこられ、長いこと倉庫に閉じ込められていたという内容でした。


 唐の長安の宮殿の図についてはあちこちで見られますが、ここではWikipediaの図をご紹介しておきます。

 紙媒体で見るなら『唐―東ユーラシアの大帝国』の48頁にもあります。


 Wikipedia「太極宮」

 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E6%A5%B5%E5%AE%AE


 この記事にあるように太極宮の西隣に妃や宮女の住む掖庭宮があります。そして図ではその掖庭宮の北に「太倉」があります。


「太極宮の敷地は南北に 1942m、東西に 1288m の方形をしていた。東隣に皇太子が居住する東宮が接し、西隣に皇妃・宮女などが居住する掖庭宮が接し、これらと共に宮城を成した」。


 冬籟は「太倉」の一角に閉じ込められていたのを自力で脱出して南の後宮に辿り着いたという設定です。


 *****


 八歳の冬籟少年と十二歳の今上帝はここで運命の出会いwを果たすのですが。


 雰囲気の違う二人の美青年が親しいのを、雲雀がキャッキャッと「萌え」ていますw元は白の貴公子派だったのが、冬籟を間近でみて「黒の貴公子もいいわぁ」とのことw


 この雲雀のこういう性格は、中華後宮ファンタジー漫画の『狼陛下の花嫁』の氾紅珠からインスピレーションを得ましたw


 氾紅珠は大貴族のご令嬢なので、庶民の娘の拙作の雲雀とはそこは大違いなんですが。

 ロマンティックな妄想をぶわわーっと暴走させるあたりが似ていますw


 この『狼陛下の花嫁』は、私みたいなオバはんよりもっと若い女の子向けかもしれませんが、全巻持っておりますし、ときどき読み返します。

 主人公の夕鈴の明るく前向きなところが好きですね~。お話も面白いし、氾紅珠や、そのお兄さんの水月。柳方淵とかのキャラもいいです。

 おススメですよ。


 とはいえ、皆さまにはしばらく拙作にお付き合いいただきたいですw

 次回は後宮に入って、「白の貴公子」の皇帝にも会います。

 謎の所在も明らかになっていきます。

 どうか最後まで愛読賜りますよう。



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