大好きで小憎らしい存在

大好きで小憎らしい存在

我（わ）が袖（そで）を　掴（つか）みて寝入（ねい）る　愛（いと）し子（ご）に　唇（くちびる）落（お）とせば　命（いのち）の匂（にお）い

焼（や）きたての　パンのような肌（はだ）　頬（ほほ）よせる　声上（こえあ）げ笑（わら）う　沐浴上（もくよくあ）がり

必要（ひつよう）な　服（ふく）や小物（こもの）は　一瞬（いっしゅん）で　重宝（ちょうほう）お古（ふる）　次（つぎ）へと送（おく）る

新生児（しんせいじ）　猫可愛（ねこかわい）がる　年長者（ねんちょうしゃ）　気持（きも）ちわかる頃（ころ）　その子（こ）は幼児（ようじ）

水遊（みずあそ）び　大好（だいす）き助（たす）かる　でも風呂（ふろ）は　一時間（いちじかん）こえ　そろそろ出（で）たい

一年中（いちねんじゅう）　お気（き）に入（い）りしか　着（き）たくない　我（わ）が娘（こ）に園（えん）は　神対応（かみたいおう）

複雑（ふくざつ）な　人間関係（にんげんかんけい）　早（はや）すぎる　まっすぐだけじゃ　つぶされる今（いま）

ランドセル　毎年新色（まいとししんしょく）　増（ふ）えていく　親（おや）は戸惑（とまど）う　子（こ）は大歓喜（だいかんき）

約束（やくそく）の　時間（じかん）も場所（ばしょ）も　あいまいで　すれ違（ちが）い必須（ひっす）　な一年生（いちねんせい）

人懐（ひとなつ）こい　近所（きんじょ）の男子（だんし）　返事（へんじ）ない　寂（さび）しいけれど　成長（せいちょう）してる

思春期（ししゅんき）は　「もういい」ばかり　二言目（ふたことめ）　こちらも塩（しお）で　ごめん遊（あそ）ばせ

頼（たの）むから　帰宅（きたく）してすぐ　出（だ）してくれ　弁当箱（べんとうばこ）が　どんどんカビる

ＳＮＳ（エスエヌエス）　罪深（つみぶか）すぎる　重（おも）すぎる　人間関係（にんげんかんけい）　怖（こわ）すぎて草（くさ）

聞（き）いていた　けれど高（たか）いな　制服費（せいふくひ）　無償化（むしょうか）なのは　授業料（じゅぎょうりょう）だけ

日焼（ひや）け止（ど）め　コンタクトにコテ　縮毛矯正（しゅくもうきょうせい）　無限（むげん）にお金（かね）　湧（わ）き出（で）ないから

間（ま）に合（あ）えと　必死（ひっし）に貯（た）める　進学費（しんがくひ）　半額（はんがく）くらい　まかりませんか？

三人目（さんにんめ）　あたりからもう　わけワカメ　対応（たいおう）ザツで　申（もう）し訳（わけ）ない

奮闘中（ふんとうちゅう）　かつての我（われ）を　思（おも）い出（だ）し　親（おや）に感謝（かんしゃ）と　疑問（ぎもん）が浮（う）かぶ

知（し）らぬ間（ま）に　背（せ）が抜（ぬ）かされた　知識（ちしき）さえ　子（こ）に勝（まさ）るのは　経験値（けいけんち）だけ

今（いま）はもう　他人（たにん）の子（こ）より　遠（とお）い君（きみ）　いつか再（ふたた）び　抱（だ）きしめさせて