37話 『白木荘』全員集合 編

「佐伯くん、遅れてくるって言ってたけどなかなか来ないな。ここだよね、校舎裏のことって」


(あれ?佐伯くんじゃなくて、なんかイケメンがこっちに向かってきた。めっちゃかっこいいな、あんな人いたっけ?)


「お待たせ。紫尊くん」

「えっと、どなたですか?」

「僕だよ。佐伯だよ」

「はぁ!?いやいや、ないない」

「いや、ほんとだって」

俺は牛乳の底のようなメガネを取り出して掛ける。

「え、え?ほんとに佐伯くん?」

「うん、これがの本当の姿。この姿の時だけ一人称はなんだよね。この正体を知っているのは2人だけ。流川さんと長谷川さんだけ。それと紫尊くんが増えたから3人だけだね」

「理解したよ。それだけイケメン、いや、学校一イケメンなら流川さんに見そめられるわけだ」

「それは違うんだ。流川さんの本当の姿は言えないけど俺と流川さんはそんな関係じゃないんだ」

「色々と複雑そうだね。でもなんとなくは俺の中で線が繋がったからこれからは佐伯くんのマブダチとして協力するよ。その代わり、これからのことを考えて俺とマブダチ旅行にでも行こうよ。それが条件」

「まあ、旅行くらいならいいけど」

「じゃあ、約束!絶対だよ」

「おう。じゃあ、このあとはまたに戻るからね」


まさか男友達が誕生するとは思ってもみなかった。堀超学院に入学してからは今までの平穏な日々から女の子、男の子に追いかけ回される日々になってしまった。人生設計が大きく狂った気さえする。それがこのあとも白木荘のミーティングで続くかと思うと気が萎える。


▽▼▽


ガラガラ

は白木荘の玄関からホールに入った。


「佐伯くんきた!」

「佐伯くんだ」

「蒼くん...」

3人の女性から黄色い声援が僕の耳に届く。

1人はもちろん七瀬さんだ。


「えっ!?流川さん、なんでここに?」

もう1人の声の主は流川さんだった。


「ええっ!?長谷川さんもなんでここに?」

最後の1人の声の主はなんと長谷川さんだった。


いまここには、

白木姉妹、七瀬さん、長谷川さん、流川さんがいる。


「よっ!佐伯くん」

黄色い声援ではない。野太い声が女性陣の向こう側から聞こえてくる。


「はあぁ?なんでここに紫尊くんまで!」

「俺も呼ばれちゃって」


「佐伯くん、驚くのも無理はないわ。でもこれが現実。受け入れなさい」

「いやいや、受け入れるも何も説明してください。まったくわからないです」

「確かにそうね。でもその前に聞かせてもらうわ。流川さんがまったく口を割らないの」

「えっと?なんのことですか?」

「昨日の事件で流川さんと一緒にいたのは佐伯くんだけじゃなくてイケメン王子様もいたの。佐伯くんはその人のこと知ってるよね?」


(そうか、生徒会長の追っかけはの方だ。流川さんも同一人物とは言えないからダンマリを決め込んだのか)


「えっと、僕はよくわかりません。流川さんの交友関係までは」

「あなたと入れ替わり立ち替わりで出たり入ったりってことは流川さんとみんなで連携をとっていたってことよね」

「うーん?誰ですかそれ?そもそもイケメンで王子様みたいな人と僕が仲良しなわけないじゃないですか」

「確かにそうね」


(そこは納得するのか)


このやりとりに笑いを堪えている人がいる。

流川さんと紫尊くんだ。いや、長谷川さんも笑いを噛み殺している。


「ところでこれは何の集まりなんですか?」


「そうね、本題に入りましょう。各個人にはもうすでに伝達済みだからおそらく佐伯くん以外はもう検討がついているかと思うけどね」


(僕だけハブでみんなはわかっているってなに?)


「今集まってもらっているメンバーが今日からこの白木荘で一緒に住むメンバーになります」


「えええぇ〜〜!?」


「昨日の事件で理事長が決定しました。

ストーカーに狙われたSSR美少女四天王筆頭流川さん、危険を顧みず勇気ある行動を取った長谷川さん、そして佐伯くんの唯一の話し相手紫尊くん。理事長が昨日の事件を考えると当分の間は関係者が危険にさらされることを懸念して白木荘で匿うことを決定しました」


「こんなおんぼろアパートで匿うって正気ですか?」


「何言ってるの?白木荘は見た目はおんぼろアパートだけどセキュリティはすごいのよ。特に女子は。それに今日の朝、マスコミにがここに来なかったでしょ?ここはサンクチュアリなの。理事長の力で守られた空間。だから関係者はここで過ごしてもらうことになったの」


「佐伯くん、これから毎日一緒だね」

超ニコニコの七瀬さんが体を左右に揺らしながら嬉しさを表現している。


「佐伯くん、私の部屋ならいつでもきていいよ」

超ニコニコの流川さんが天使のような笑顔で頷いている。


「蒼くん、扉の隙間は開けててね」

陰キャな雰囲気の長谷川さんが小声でスナイパーとしての要求をしてくる。


「俺は遠慮なく部屋に上がらせてもらうよ」

紫尊くんは鼻息荒くやる気満々だ。


「私はパス。勝手にやってよね」

桃は完全に無関心だ。顔はあっちを向いている。


「ここは合コンじゃないの。変なことしたら私が許しません」

生徒会長がみんなの手綱を握り直す。


「では、今日から新生活をスタートします!

各自節度を持って生活をしてください」


ついに、の白木荘での SSR美少女たちとの生活が始まるのだった。


《僕》《俺》の両方を知っているのは、

流川 水面

長谷川 茶子

紫尊 倫太郎


《僕》のみを知っているのは、

七瀬 翠


《俺》のみを知っているのは、

白木 緋

白木 桃


『白木荘』を中心にこれからはどうなっていくのだろうか。


白木荘でいろんなドタバタに巻き込まれてはある決断を下すことになる。


それは1人の女性と付き合ってしまった方が手っ取り早くいろんなことが解決するのではないかということ。


そして1人の女性を選ぶことになる........はず



◇◆◇◆◇◆◇◆ 1章・完 ◇◆◇◆◇◆◇◆


あとがき


ようやく本当の意味での白木荘が始まります。

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『白木荘』の入居者はみんな▲SSR美少女▼ Rui ji 6 @Analogy6ofIQ114

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