36話 1番人気 長谷川 茶子 編

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「しまった!寝坊した」


昨日の事件のせいで病院と警察をたらい回しにされて寝たのは夜中だった。病院で長谷川さんと七瀬さんの容態の確認と看病。そしてひと段落ついたら警察からの事情聴取。それは遅くなるわけだ。気が付いたらもうすでに24時を回っていた。


長谷川さんは少し手を切ったが大事には至らず、縫わなくて済んだ。七瀬さんはストーカー男を突き飛ばした反動で手首を捻挫した程度だった。


何よりも女の子2人が無事でよかった。


は大急ぎで学校へ向かう。


走る、走る、ひたすら走る。

(あんな事件の次の日だから休んでもよかったのではないか?)


ぶおおぉ〜ん、ききぃ〜、バタンッ


まさか、この流れは........


(やはり、地味子ちゃんだ。こんな日でも僕の後追い、ここまでくると感動さえする)


長谷川さんがタクシーから降りていつものように僕に向かって会釈をする。


「長谷川さんだ!」

「茶子ちゃんだ!」

「本物だ!」

男子生徒も女子生徒も一斉に長谷川さんを取り囲む。


「メガネとってぇ」

「髪の毛掻き上げて〜」

「やばい!おっぱいおっきい」


長谷川さんがもみくちゃにされる。

「や、やめてっ」


女子生徒たちにメガネを取られ髪型を変えられる。


「やべえ!めっちゃかわいい!」

「やっぱり昨日と一緒だ」

「これは SSR美少女認定だ」


(確かにめちゃくちゃかわいい。巨乳ってことは知ってたけど、顔まであんなにかわいいなんて。地味子ちゃんは僕と同じタイプで化けるのか)


「コラ〜!お前たち。もうすぐ授業だ。教室に入れぇ」


先生に怒られた生徒たちと地味子ちゃんと僕は一斉に教室に向かう。


クラスに入ると今度は七瀬さんがクラスのみんなに囲まれている。


「あっ!長谷川さんと佐伯くんだ!」

クラスのみんなが一斉に僕たちに振り向く。


(なんだ?なんでこんなに注目されるんだ?)


キーンコーンカーンコーン

チャイムが鳴ったのだクラスの全員が一斉に自席に戻る。

理由がわかったのは次の休み時間だった。


キーンコーンカーンコーン


真っ先に話しかけてきたのは紫尊くんだった。


「佐伯くん、昨日は大変だったね」

「え?なんで知ってるの?昨日のこと」

「だってニュースにもなってるし、SNSでも大バズりだよ」

「ええっ!?そんなことになってるの?」

「1番株を上げたのは長谷川 茶子さんだよ。佐伯くんが刺される前から走り出してそれを阻止するダイブ。その衝撃で髪の毛が捲れ上がり、眼鏡が飛ばされて胸元が強調されるような倒れ方。一気にシンデレラガールだよ。なんかファン倶楽部も勝手に作られてるみたいだよ」

「地味子ちゃんがそんなに知れ渡ってるの?」

「地味子ちゃんて佐伯くん、そんなこと言ったら長谷川さんのファンにまた刺されるよ」

「それはもう勘弁だよ」

「七瀬さんもその後のダイブで佐伯くんを守ったから大人気だよ。

さらにその原因の四天王筆頭の流川 水面さんもあまりのかわいさに大バズり。そしてみんなが1番びっくりしたのが佐伯くんだよ。長谷川さんも美少女。七瀬さんも美少女。流川さんも美少女。その3人が守ったり取り合ったりしているのがブ男佐伯くん。そのギャップに大炎上だよ」

(またもよ、紫尊くんのディスりが。もう慣れたけど)

「それはそうだよ。あの3人に僕が並んでたらやばいに決まってるじゃん」

「マスコミもすごかったでしょ?」

「いや?そんなことはなかったけどね」

「あれぇ?ニュースになってたからマスコミが騒ぎまくってるのかとおもったよ」


▽▼▽


「佐伯くん、今日の学校の後、白木荘のホールにきてちょうだい。大事な話があるの」

生徒会長の白木 緋さんが僕と紫尊くんの会話に割り込んできた。

「え?」

「昨日のことで話があるの。何も言わずに来なさい。これは理事長の命令だから」

「でも、七瀬さんに白木荘に住んでいることバレたらやばいんじゃない?」

「もう共同玄関から入っていいわ。白木荘の住人全員が集合だから七瀬さんもいるの」

「ええ!?いいの?それ」

「ええ、いいの。全部話してもらうから」

「え?何を?話すことなんかあるっけ?」

「ありのまま話せばいいの。わかった?じゃあ、あとで」


「佐伯くん、白木荘って?住人って?

えっ?もしかして佐伯くんも白木荘に招集されてたの?」


「うん。ちょっと前に」


「それって、四天王の3人と同居してるってことじゃん。え?じゃあこの前言ってたけど白木さんと同居してたら佐伯くんの一芸を教えてくれるって言ってたよね?発表してくれるの?」

(覚えていたか、紫尊くん。これは本当のこと言わないといけないだろうな)


「約束は守る。でも約束はしてもらう。絶対に紫尊くん止めだよ。そして僕の正体を知ったからには協力はしてもらう。いいね?」

「それはそうだよ。だって俺たちマブダチだよ!」

「わかったよ。次の休み時間に校舎裏で伝えるよ」


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


あとがき


ついに長谷川茶子ちゃんに光が当たり始めました!


もうすぐ一章完です。

ぜひお楽しみに。


☆ポイント評価をよろしくお願いします♪






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