第6話 正反対な、たろうのメス猫達
この頃、2匹のメス猫がいた。
ななこより、薄い三毛猫とサバトラの2匹。
薄い三毛猫は、この猫がチビの時に私とちーちゃんは見ていたので、成長して子猫を産んでいるのを見て、「大きくなったなぁ」と2人で言っていた。
サバトラは、何処から来たのか解らない。
コイツはとにかく鳴く猫だった。
だから、母はこの猫を「ピー」と名付けた。
一方、この薄い三毛猫は、母が付けたのが「ケセヌマ」だった。
賢い姉が突っ込みを入れた。
「ケセヌマって、気仙沼市の事かしら?」
母は何故か怒りだした。別に母は東北地方出身だし、何を怒っているのか、私には謎だった。
しかし今考えると、母のあの態度は異常だった気がする。
「ケセヌマ、良い名前だわ。ケセヌマ、ケセヌマ〜」と、こんな感じだったからだ。
ピーの方だが、母は嫌っていた。
母は言っていた。
「ケセヌマは、自分の分の餌さえも子供達にあげるけど、ピーは子供達の分の餌まで自分が食べる」と。まぁ、私はそれでもピーを可愛がった。
しかし、私もこれを見てからは、ピーを嫌いになった。
それは、私が夏休みか何かの時だった。
たまたまゴロゴロしていたら、外に居るハズのピーがいた。あれ?と思って、少し見ていた。
ピーは、自分の子供達を、兄のベッドの下に移していた。子猫を1匹1匹食わえて、兄のベッドの下にやっていた。
私は流石にカチンときた。
ピーのやっている事は、立派な育児放棄である!
このピーは最低な猫だと思った。
私は猫を嫌いにはならないが、コイツだけは違った。一気に冷める。
私はピーだけは冷たかった。餌もやらない、平気で追い払った。
それ以来、ピーはいなくなった。
多分ピーの子供達は他の人に貰われて行ったと思う。母は命を大事にするから。
さて、ケセヌマの子達は、何時も寒い思いをしていたので、母がダンボールにタオルなどを引いた。
そこで、悲劇が起こる。
ケセヌマの子達は、1匹1匹、ダンボールの中で重なるように、乗っかっていた。
当然一番下に居た、メスの白猫は息を引き取っていた。
母は、そのメスの白猫の墓を庭に作った。
その中で生き残ったのが、たろうの息子である。
名前は「Jrをそのまま、ジュニア」となった。
姉や兄は、「ズニ」と呼んでいた。
愛嬌はあるが、何せ口が臭い。
ジュニアは好きでも嫌いでもなかった。
猫の思い出 美月 @mizuki23
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