第5話 猫、猫エトセトラエトセトラ

たろうと、もう1匹ななこが猫が増えた我が家。

ななこは、この頃から何故だか噛みつき始めた。

しかも思いっきり噛むので、マジで痛い。

噛むだけじゃない、引っ掻いたりもする。

ななこの被害は続出した。まぁ、家族の中だけだが。

しかも、噛む動作がメチャクチャ早い。

私もこの頃も、たろうやななこを噛んでいたが、ななこは、私に噛み返してきた。

私は毎回ななこに噛まれて、それを見ていた兄は爆笑していた。

母は何故ななこが噛むようになったのか、本当に悩んでいた。

「きっと野良だったし、鼻も目も駄目だったから、噛む感覚で物の良し悪しを決めていたのかしら?」とか考えていた。

しかもななこは人間だけでなく、たろうにまで噛みついた。

たろうからしたら、こんなのは迷惑である。

この頃既にたろうは、この辺りのボスになっていた。たろうはチビで、デカイ猫に怯えていたが、いつの日か、そのデカイ猫にも、たろうは挑んでいた。毎回ボロボロにやられていた。それでも傷だらけになりながら、たろうはデカイ猫と喧嘩した。本当に格好良い猫だった。

そして、たろうはボスとなった。

し、しかし、これは飼い主のせいであるが、去勢をしていなかった。そんなのがあったなんて、たろうが大きくなってから気がついたのだ。無知は怖いものである。

我が家の周りには、メス猫がワサワサいた。

どうなったか、解るだろう。

メス猫は皆、たろうの恋猫となり、子猫があっちこっちに生まれていた。

兄が苦笑いをしながら言った。

「たろうは、女好きだな」と。

そんな兄の頭を軽く叩きながら母は言った。

「大変だわ。でも、どうにもならない」と。

でも、幸運な事に近所の皆さんは動物好きで、増えた猫を飼う事すらあった。

それに猫が来れば、可愛がっていた。

母は、ななこをすぐに避妊をさせた。

たろうはメス猫大歓迎だったが、ななこだけは嫌いだった、当たり前だ。

いちいち愛情表現とはいえども、思いっきり噛みつかれたんじゃ、たろうは嫌に決まってる。

毎回ななこには、「シャー!!」と言っていた。

でもこの頃から、たろうはきっと家に居づらくなってきたのかなと、今思う。








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