第4話 三毛猫ななこ登場

私が小学3年の雨の日。

私は、ベルの飼い主だった友達、ちーちゃんと登校していた。

学校の校門に着いた時に、1匹の三毛猫がいた。

たろうの時とは偉い違いで、ゴロゴロいってスリスリしてきた。更に肩にまで乗った。

「可愛い!」

私が言うと、ちーちゃんは言った。

「この子、少し前から学校にいるの。先生とかに見つからない様に、校舎の裏の空き室に隠してるの。美月も何かご飯の残り物で良いから、この子にあげてくれないかな?」

私はもちろん賛成した。

しかし、私の母はかなり勘が鋭い。

私は身動きが取れなかった。

ちーちゃんはこうも言っていた。

「親にも出来れば言わないで。変に言って、この子に何か危害があったら困るから」

私は自分の無力さに情けないながらも、ちーちゃんに言った。

ちーちゃんは苦笑いして言った。

「大丈夫だよ。美月はこの子が心配なら見に来て。後は私の友達にも餌については言っておくから」

「ごめんなさい。心配だから見に来るね」

私は謝った。

そんな日が、数日続いたある日。

「美月、先生にバレそう」

「え!?」

「貴女に頼むしかない。この子飼えない?」

「それは難しいよ。今はマトモになってるけど、お母さん、猫嫌いなんだよ」

「そこをお願い!!皆に頼んだけど、皆、飼えないって。私もベルが亡くなってから、お母さん猫は飼わないと言い張って駄目なんだ」

「う〜ん、一応聞いてみるけど、駄目だと思うよ」私はシブシブ頷いた。

当然、母はカミナリを落とした。

「駄目に決まってるでしょ!!アンタ何考えてるの!?」と。

やはり来たか……まぁ、説明はした。

この三毛猫はちょっと、おかしな点があった。

だから、私達は心配した。

まず目やにで目がグチャグチャ、鼻水も酷い、鳴き声もガラガラだった。

酷い風邪でも引いているのだろうと、何も知らない私達は思っていた。

それを母に話した。

「で、ずっと風邪を引いていて、心配だから貴女達だけで学校の裏で飼っていたのね?」

「うん。可哀想で……」

母は言った。

「どんな子か見るから、連れてきなさい」

「ホント?」

「まだ飼うとは言ってないわよ」

多分母は、見抜いていたんだろう。

風邪ではない事に。

その三毛猫を連れて来ると、母は言った。

「風邪ではないわね。ちょっと様子がオカシイ。獣医に連れて行くわ」と、母は獣医に連れて行った。私もついて行った。

つけられた病名は、「伝染性鼻気管炎」だった。

「お母さん伝染病なの?なら、ベルちゃんみたいに、死んじゃうの?」何も知らない私は不安になる。

「大丈夫よ、大丈夫……」と母はそれしか言えなかった。

母は言った。

「この子を飼いましょう」と。

姉がこの三毛猫につけた名前は「ななこ」だった。この子はメスだったから。

こうして、ななこの辛い闘病生活が始まった。

ななこのチビの身体と同じか、それより大きな注射を何回もうたれる。

私は見ているのが辛くなった。

「ガギャ〜」と枯れた声で、ななこは鳴いた。

本当に痛かったのだろう。

私は辛くて母に言った。

「あんなの注射されたら、ななこは痛いよ」と。

母が言った。

「仕方ないのよ、我慢しなさい。ななこの治療の為よ」と。

それが、1ヶ月過ぎた頃だろうか。

「ニャー」と凄く可愛い声で、ななこは鳴いた。

家族は、ななこの鳴き声に凄く感動した。

ななこの姿を見て、獣医と母は話していた。

「この猫、きっと伝染病だと解って捨られたんでしょうね」

獣医が言うと、母が言った。

「そうでしょうね。恐らく、かなり猫に関する知識のある人がこの子を捨てたんでしょう。酷い話です」と。










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る