雨の季節の。その一。

俺は輝也、親友の仁の勧めでオカ研…そうオカルト研究部というクラブ活動に席をおいている。

最近は季節がら雨が多い。

俺は傘もあまり好きではなく…いつも持ち歩かない主義だ。

だけど今日は午後に雨の予報があったらしが朝は好天だった為に尚更…傘など持って来なかったんだ。


「やっちまったぜ…。」


空に目を向けるも止みそうにはない黒い空。

すると背後から声をかけられる。


「輝也!?」

「ん!?もしかして輝也…傘忘れたのか!?」


俺が後ろを振り向くとそこには部長と仁の姿。


「おお!!二人も、もしかして!?」

「ああ…仁が忘れたらしくてな…って輝也もなのか!?」

「はい…いやあまさかこんなに降ってくるなんて思ってなくて。」

「ふぅ……では一度部室戻って様子を見るか!?」

「そうですね。」


こうして…ひとまず俺達三人は部室に戻る事にしたんだ。

まさかこの後…あんな怪奇現象に見舞われるともこの時の俺達はまだ知る由もなかったんだ。

部室にて。


「ふぅ……雨は止みそうもないな。」

「そうですね…予報では午後から降ってくるって予報でしたからね。」


部長の声に返答する仁。


「部長も仁も家から迎えに来てもらえばいいのに。」


俺にその一言に二人は驚きの表情を浮かべる。


「いやいや輝也……こうなった以上僕達はこの事件を解決に導かなければならない。」

「ん……おう。」

「輝也そうだぞ!?このまま放置はできんぞ!?」

「う、うん。」


何か二人は最近様子がおかしいのだ。

俺はそんな事を考えていると一人の生徒が駆け込んでくる。


「藤野さん!!??」


慌てふためきながら声を発する女性生徒。

どうやら部長を知り合いらしい。


「どうしたのだ!?」


はあはあと息を切らしながら入ってきた女生徒は深い息を吐く。


「あ……雨が……襲ってきたの!!」


そう告げた女子は顔面蒼白でその恐怖を語ったのだ。


「詳しく聞かせてくれないか!?」

「はい……先程…私が帰ろうとしていた時の事です……このように降りしきる雨なので傘をさして一人帰ろうとした時のこと。」

さ、じゃあ帰ろうかな。

一人で歩き出し、校門から出てバス停へと歩いていた時でした。

途中……紫陽花が咲き並ぶ『紫陽花寺』と呼ばれるお寺があるのですが、私はその紫陽花を綺麗だなと見つつ道を通り過ぎようとしたその時。


『お前もそう思われたいだろう??』


そんな声が脳内に訴えるかのように聞こえてきた。


「誰!?」


私がそう叫ぶ。

するとそれに返すわけでもなくその声は続けられる。


『さあお前も一緒に。』


その声が聞こえた瞬間。

空からの雨が強まる。

そして目の前の雨に……人が見えたんです。


「きゃーーーーーーーーー!!!」

そして私は傘をも投げ捨て走り学校に戻ってきました。

怖くて怖くて…私は。

女子はびしょ濡れで震えながらそう話した。

そして女子は保険の先生に連れられ保険室へと向かったんだ。

しかしその女子の肩が濡れていたのだが…俺にはそれが手形に見えていたんだ。


俺はこうして巻き込まれるようにこの事件に関わる事になったんだ。

そして部室内で緊急会議が行われる。

だが今日はここに何と生徒に被害者が出た為に先生の一人がオカ研の臨時顧問をする事になったのだ。

先生の名は『岡崎紗絵』歴史の女性の先生だ。


「では私は聞いてるからあの事件についての考察をする事にしましょう。」


岡崎先生は何気なくそう話をふってきたことに俺は妙な違和感を覚える。

そうそれはあたかもオカルト話の視点で話をしている事だ。

すると部長は声を上げる。


「よし!!ここでお前達に告げておかねばならん事がある。」


部長は改まった話をしようとしていた。


「実はこの先生なのだが…長年我が家に仕えてくださってる方でな…実は私の教育係でもあるのだ…この事件にあたり生徒だけでは何かあったら困るので校長や教育委員会にも顔がきくこの方にきていただいたのだ。」


おお、部長、色々凄いとは思っていたけどここまでとは。

俺は正直そう思ってしまった。

だからこそ事件考察なんて事もこうしてできるのだろう。

普通に考えたら警察に話してそれで終わりだ。

だが…俺が感じた女子の肩にあった雨に濡れた手形の異様な形。


その事が頭から離れなかったんだ。


「部長……いいですか!?」


俺が気づいたその話題を話そうとしたその時。


「た、助けてください!!!!!」


またしても一人の女生徒が部室に飛び込んできたんだ。

お読み下さりありがとうございました。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る