オカ研仁のプレゼント3

仁は…気がつくと見た事もない部屋にいたのだ。

それもソファーの上に。

辺りを見渡すとそこは部長の部屋であろうか…The女子の部屋!!

というぬいぐるみだらけの部屋にいたのだ。

ソファーには…自分の他に数体のぬいぐるみが並ぶ。

どうやら、僕は部長のぬいぐるみコレクションの一つになったとしか思えない状況なのだ。


(ここは…もしかして部長の部屋かぁ??)


部屋の中を見回す僕。

ここが部長の部屋なのか!?

ここで、あの藤野部長は毎日生活をしているのか!?

そんな事を思うと僕は興奮度が高まってくる。

何故だ??

どうしてこんな状況になったのだ??

こんな美味しい状況に、僕は興奮と嬉しさで叫び出したくなっていたんだ。

気がつくと、僕の目にはそんな彼女のベットが見える。


(うわぁ…あそこでいつも部長は寝ているのか?)


彼女のベットを見ているだけで…ドキドキしてしまう僕。


(あそこで部長は寝てるのか…布団に潜り込んでみたいなぁ)


そんな事を考えてしまっていた僕は…気がつくとベッドに向かっていた。


(あれ?いつの間に僕は部長のベッドに移動したんだ??)


僕の意思が働くともう行動している僕。

そして僕は部長のベッドへと辿りつく。


(うおぉぉぉ!!ここか部長…い、いや、涼子さんのベッド!!!)


ドキドキ高鳴る気持ちを抑えつつも…僕はベッドにダイブしていた。


(うおぉぉぉーーーー!!)


フカッと僕の身体は部長のベッドに包まれる。

モソモソ動きまくり彼女の布団の中で蠢くクマのぬいぐるみ。

それが今の僕だ。

モソモソ動き回っていたその時。

ガチャリと部屋の扉が開く音が聞こえる。


(なにっ!?きたのか!?)


僕はそのまま静止する。

すると扉は開いていく。

部屋の中に入ってくる部長。

彼女の足音が聞こえる。

どうやらこちらへ向かってきているようだ。

高鳴る気持ちに僕はじっと我慢をして耐える。

そして彼女は口を開く。


「あれ?いつの間にかぬいぐるみが……??」


僕はじっと動かず耐えている。

僕の身体をそっと持ち上げていく部長。

どうやら今はメガネを外しているようだ。


(家では眼鏡はかけていないのかな。)


すると…すーっと僕の身体は彼女に持ち上げられる…そして僕を引き寄せていくと。

ムギューーーーッ!!っと僕の身体を抱きしめる部長。


「いやぁ!ひろったのだけどやっぱり……」


部長は僕をじっと見つめる。


「かわいいいーーーーーーーっ♡」


再び、僕のこのぬいぐるみボディを抱きしめる部長。


(ああ!これは夢か!幻か!?幸せすぎる!)


僕はされるがままになり幸せを噛み締める。

すると部長は口を開く。


「しかし……一体誰が私の家の前にこの子を置き去りにしたのだろうな?」


怪しげに言った部長。

だが…これはいつもと違う部長なのだ。

そう…部屋だからなのか…いつもの眼鏡をかけていなかったのだ。


(はぁはぁ…眼鏡を装備していない部長も…可愛すぎるーーー!!)


眼鏡の部長も美少女だが裸眼の部長も美少女!

当たり前だが同一人物だ。

僕はそんな事を考えていると。

ふと思いつく。


(部長の秘密をこれで僕は二つも知ってしまった…裸眼の部長とぬいぐるみ趣味の部長…これは貴重な事だ。)


「いやぁ!あまり汚れてなかったけれど…でも洗濯までしたし…もう私のお友達の一人としてこれからここで暮らして…」


そう言った部長は。


「ほしぃよぉ。」


僕のふかふかボディに顔を擦り付けながら甘い声でそう言った部長。


(もう…このままで…いいっス。)


僕は人生で一番嬉しい瞬間だったかも知れない。

すると部長は僕に何かを気づいたかのように僕をじっと見ていた。


(ん?部長…?もしかして何かを気づいたのか!?)


「少し動いたのか!?いや…まさかな。」


部長は僕をじっと見ている。


(うっ!!??あまりにも嬉しくて動いてしまったのか!?)


動かず耐える僕。


(近い!顔がめちゃくちゃ近いぞ!部長!!)


「やぁぁーーーん!やっぱり可愛いい♡」


再び部長の胸に抱きしめられる僕。

僕は幸せを動かずに噛み締めていたんだ。

そしてどれくらいの時間こうしていたのだろう。

部長は何かを思い出したかのように僕を抱きながらソファーへと移動する。

そして彼女はスマホを手にすると電話をかける。


(ん?あ!その番号は??)


ふと見えた番号は僕の番号であった…そう…部長は僕に電話をかけていたのだ。

コールするが繋がらない僕のスマホ。

そりゃそうなのだ。

僕は今ここにいるのだから。

すると電話をきる部長。

どこか寂しげな部長の表情。


(部長??)


「ん?出ないな…忙しいのかな?LINEしておくか。」

『用事が済んだら連絡求む。』


部長らしいLINEである。

まあでもこれは日課だったりもする。

部長は、実は毎日寝る前に明日の予定等…報告がてらに僕に電話をくれているのだ。


(うわぁ!しかし…どうする!?)

仁は浮かれてはいるが…これが恐怖の始まりとなる事は…まだ知る由もなかった。

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