第34話雪男の伝説その一

世にも聞いた事がある方もいるかも知れません。

その姿は全身真っ白な体毛に覆われ、その身体はまるでゴリラの様に屈強で二足歩行する… 生物なのだろうがその姿は恐ろしいもの。

雪山で遭難するとこの者に取って食われるとも聞く。


「イエティと呼ばれる事もあるな。」


そう話したのは我々のBOSS…いや…藤野部長。

俺達は今ここ…某スキー場へとやってきていた。

何でも最近のニュースでここで遭難しかけた者が雪男を見た!

という情報を得たからだ。

こんな話に我が部長が食いつかないわけはなかったんだ。

「さぁ辿りた着いたな?ここが雪波村ゆきはむらという村にある小さなスキー場だ。」

「「おお!!」」


部長のその声に俺達は声を揃える。

辺りは銀世界と言う奴だろう、一面が雪に覆われた山、ここを切り開いて作ったのがこのスキー場らしい。


「何でもその幸男はな…雪山に何かを残すらしい…それを調べようとその後を追うとそこで雪男が待ち構えているらしい…そしてそいつはその者を捉え…食い…辺りには白い雪面に血の跡だけが残ってるらしい。」

「部長?もしかして、その後ってのは見つかったんですか??」


仁がビビりながらもそう尋ねる。

すると部長はニヤリと微笑むと。


「ここ数ヶ月で………」

「三件だ。」

「なにっ!!??」

「それは凄い…というより、そんなの見に来た僕達もヤバいじゃないですか??」


最もだな!仁!

俺はナイスツッコミをした仁に心ながら拍手を送る。

俺達はここまで来た事もありとりあえず今日はこのスキー場に隣接されていたホテルに宿を取ったのだ。

そして俺達が部屋を取り一先ずゆっくりすると。

部長は徐に立ち上がると。


「風呂へ行く!貴様らもいかぬか?」

「「えっ!!??」」


俺達はその言葉に思わずドキリとしてしまう。

この時俺たちの脳裏に何か…モヤモヤしたものを感じてしまっていた。


「ん…」


俺は冷静を装う。が仁が口を開く。


「輝也…くん?」

「んん?」

「いやぁなんだぁ…ここの風呂って確か露天風呂の…こ…混浴…と書いてあったのだが…僕も疲れたから先に風呂にいこうか?と思うのだが?」

「ん?お?おお!俺もそうしようかなと!」

「いや、ももう僕はいくから!!」

「じゃあ俺もだ!」


俺達は競い会うようにして風呂へと向かった。


「お前ら…覗いたらコロ……」


そうこの言葉がこの時の俺達の耳には届いていなかったのだ。


「俺が先!」

「いや!僕が先!!!」


走るのは迷惑なのでここは俺達は急ぎ足で風呂へと向かう。

すると見えてきたのは露天風呂と書いてあった暖簾!

俺達は暖簾を潜り脱衣所に入るといそいそと風呂へと向かう。

するとそこは中の風呂があり外への扉を開けると露天風呂がありそこが混浴になっているという!!

俺達はドキドキが止まらない!!

急いで身体を洗い流し!!

そして外の露天風呂へと向かう!!

外は雪が降っており湯に早くつからないと風邪をひきそうな程だ。

すると遠く露天風呂の方から女性の声が聞こえてくる。


「もぉ〜!やだぁ!」

「雪凄いけどやっぱり温泉はいいわねぇ!」

「本当に!」


これはー??

もしや、部長以外にも女性が入っているのか!?

こ。これはこれで嬉しかったりもするのである。

俺も仁も興奮が隠せなかった。

そこに聞こえてきたのは部長の声。


「おお、先客さんであったか。失礼するぞ。」

「えーっ!やったぁ!一緒にはいろー?」

「大歓迎ーーー!」


部長も含めたその声に俺達はもう大興奮だったんだ。


「はぁはぁ!輝也??」

「なんだ??」

「僕達はこれから新世界へと向かう!!」

「お、おう!!」

「最後まで僕達は友達同士!!いざ!幸せをつかもう!!」

「ああ!!」


そして、俺達の目の前に見えてきた露天風呂の明かり。

しかしどうして男湯からはこんなに遠いのか…あれから30分程たっただろうか。

かなりの疑問だったが。

男湯からはなんとここまで3キロほどあったらしい。


「はぁ!はぁ!急げ輝也!」

「おう!!」


そして俺達は、ようやく到着した!!

露天風呂への扉…中には部長、そして女性達。

俺達はガラリと扉を開けた。

すると…部長達の姿はもう…どこにもなかった。

そう…俺達が辿り着く前に出たらしい。

その時…奥の方から何かの音がする。


「えっ!?輝也?」

「ああ…何かの足音か。」


ヒヤリとした空気。

俺達はその音に近づいていく。

そして何かの影が蠢く。


「人かな?」


俺達は恐る恐る近づいていくとそこには。

怒りの形相の鬼、いや部長が立っていた。


「貴様ら………」

「「ひいいいーーーーーーっ!!!」」

こうして俺達の第一日目は終わりを告げたのだ。

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