第32話オカ研間宮仁、部長の座をを狙う。

僕の名は間宮仁…オカ研の次期部長と呼ばれる男だ。

今日は部長と悪友である最上輝也にオカ研活動の企画を今回この僕が預かったので紹介しようと思う。


「何ブツブツ言ってるのだ?仁??」

「あ!部長!いえね…今回の心霊スポット巡り企画はこの僕の企画なのでちょっと力が入ってるのですよ?」

「お!今回は仁の企画か?それがここの場所なのか??」

「お!?輝也!最近お前はやる気に溢れていてこの僕はとても嬉しいぞ!?」

「そうなんだ。」


そう言った輝也は少し引いてしまったようだ。

ところがそうはいかないんだ!

今回僕が企画したのはこの街の新しめの心スポなんだ。

そう、部長や輝也にも決して負ける事のないような僕のとっておきの心スポがここだ。


「さぁ!着きましたよ!」

「ん?ここなのか??」

「仁…ここは………。」


部長が今回の僕のとっておきの心スポに驚いた表情を浮かべている。

そうだろうそうだろう。

あの部長が驚くのも無理はない場所なのだ。

なぜならここは。

僕…そのものの家だからだ。


「仁よ…ここはお主の家ではないか…どこにそんな心スポになるような場所が…。」


そこはデカイ豪邸…親友と呼びあっている輝也を初めて家に連れてきた…僕の家は…確かに広すぎる。

ここは日本ではあるのだが僕の家は洋館のようで…しかしながら大きすぎた。


「部長…今回は心スポというより…不思議な物がテーマなのです…実は先日僕の父が休みにふらっと立ち寄ったんですけど…その時にお土産といって持ってきた物がありまして。」

「ほぉ…それはいかなるモノなのだ??」

「とりあえず中へ。」


僕はそう告げ二人を屋敷内へと案内する。

そして部屋へと招き入れたんだ。


「さぁ…二人ともいいですか?」


僕はそう言うと父が買ってきてくれた土産をとある箱から出したんだ。

それは。

二人の目の前にその中身を取り出してテーブルの上にそっと置く。


「これは…」

「人形??」


そう…二人に見せたもの…それは一体の少女の姿をした人形だったのだ。


「そう…この人形はフランス人形と呼ばれるものさ…だけどこれを家においてあると夜中に笑ったり、叫んだり、そして血の涙を流すと言われている言われ付きの人形なんだ。」

「ほぉぉ…」

「それで今回この人形の検証会を皆でやらないかという企画なんです!!」

「お………おお…確かにこの取組みは新しいな。」

「そうですよね?」

「でも…その人形って仁の家に置いていた時は何でもなかったのか!?」


輝也は、珍しくそんな質問をしてくる。


「そうなんだよ…輝也…でもって一人でこれを検証するのはかなりハイリスクだろう?」

「まあ…な。」

「よし!きましだ!部長!?学校の部室を検証現場に借りてもいいですか?」


すると部長は何かを考えていたのだが。

ふぅっと、ため息をつくと応えたんだ。


「ああ…構わんよ…なら早速今晩でも試してみるか?」

「はい!」


こうして僕達は人形検証をする為にまた深夜の学校…そして部室へと集合したのだ。

「さぁ…ではあの人形は美術室へと置いてきた。三階のここの部室から一階の美術室まで行って戻る…これを一人一人やってみて検証してみよう!」

「ふむ…中々これは怖いゲームではあるな。」


時間はこの時…深夜二時。

不思議な怪奇現象でもいつ起こってもおかしくない時間だ。


「さぁ…ではそろそろ始めてみましょうか?」

僕がそう口にすると突然部室のあかりが消える。

「なに??」

「なんだ!!??」


輝也と部長の声が部室内に響く。

僕は手にしていた懐中電灯をつけると…灯の元へと歩み寄っていく。

一歩…また一歩…薄暗い部屋の中。

今の灯りは僕のこの手に持つ懐中電灯のみだ。

そして僕はスイッチのある場所まで辿り着く。


「あれ?あれ??」

「どうした?仁??」

「いや!何故か電気がつかないんだよ?」


ぱちぱちと確かに僕は部屋の灯りをつけようとするがまるで反応もなくくらいままなのだ。


「突然の停電ですかね??」

「いや…何かは分からんぞ??」


するとすーっと…どこからともなく生温かい風を感じる。


「ん?これはどこからふきてきたんだ??」


僕は灯りをそちらに向けると何故かきっちり閉めたはずの部室のドアが僅かに空いていたんだ。


「おかしいな。」


再びドアを閉めようと向かうと。

パチリと今度は懐中電灯の灯りが消える。


「えっ!?」

「なんだよ?仁?消えたぜ??」

「そうだぞ仁?これからって時に。」


僕達がそんな話をしていると、何か暗闇からくちゃくちゃと音が聞こえてくる。

何かの咀嚼音のような。


くちゃくちゃぴちゃ。


「ん?誰かいるのか?」

「いや…部長、確かこの校舎に今は俺達しかいないんだろ?」


そして突然僕の懐中電灯の灯りが再び灯る。


「あ!ついた!」


すると灯りの先に見えたものは。

くちゃくちゃと何か赤いものを咀嚼しているあの人形がいたんだ!!!

人形は口を血だらけにし…くちゃくちゃと何かを貪り…そして…にやりとわらったんだ。


「「うわーーーーーーーーーーーー!!?」」

お読みくださりありがとうございました!


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る