第31話節分がおとずれそうですが。

皆さんこんばんは!


さて本日はこの私、オカ研部長の藤野涼子が語る話だ。


私が暮らす街はどういった訳か昔から怪奇、怪談話には事欠かない街なのだ。


確かに色々な事件事故も多いこの街で。


あ!そういや節分というものが近づいておるな。

今日は節分の話をしようではないか。

この街のハズレにとある古民家がある。

今は誰一人住んでいないこの家には、とある噂があった。

そしてなんと今、我々オカ研はここに来ているのだ。


「よし!仁…よく来たな。」

「はぁ………部長……突然豆を買って集まれとは??」


するとそこへやってきたのはオカ研の期待の星!輝也だ。


「いやぁ…何ですか今回は!?あ!仁もお疲れ様!」

「お!輝也もありがとな!?」


仁も輝也も私の期待に応えてくれるいい部員なのだ。

すると輝也も口を開く。


「部長??この古民家に何が??」

「さ!お前達!その豆は我々を守る武器となる。絶対…手放すなよ?」

「ん?武器??」


仁の声にそう返した私はそう輝也にも説明をする。

そして我々は古民家の中へと入る。


ガタガタと戸はボロボロ…そしてそんな今にも壊れそうな戸をゆっくり開いていくと。

月明かりがボロボロの屋根の隙間から流れ込み暗い部屋の中を静かに照らしていた。


「さァ…奥へ進むぞ??」

「は…はい。」

「………………」


我々は古民家の奥へと進む。


するといつしか最奥の部屋へと辿り着いていた。


静まり返る部屋の中。


辺りには生暖かい風がふく、すると仁が声を上げる。


「ひいっ!!」

「どうした??仁??」


俺達が仁を見ると何かが顔についたのか焦りながら顔を擦っていたのだ。


すると部長が口を開く。


「ああ…やはり………か。」

「どうしたんですか?部長??」


俺が問いかけると部長は語り始める。

これは…この家に纏わる話だ。

この家は昔から子宝にも恵まれた家だったらしい。

そして幸せなこの家では時期が来ると古くからの習いである『鬼払い』というものをおこなってきたのだ。


しかしそんなこの家である時事件が起こる。


一家が集まる夕暮れ時、奇しくもこの日は鬼払いの日。

一家団欒で食事を取り、そして鬼払いの時がやってきた。


「鬼は〜〜〜そと〜〜〜〜!!」

「福は〜〜〜うち〜〜〜〜!!」


子供達、そしてこの家の主と妻も幸せそうに笑いながらこの習いをおこなっている。


「はっはっは!お前達!そうして豆をまく事で鬼を払うと言われる『鬼払い』これで鬼が逃げていくと昔から言われてるのだ!」

「そうなの??」

「じゃあ僕も鬼を退治するんだ!」

「いいわね!皆!来年もまた鬼払いしなくちゃね」


それは…とても幸せそうな時間だった。


だが…その時。


フッと明かりにしていた火が消える。


取り乱す子供達。

灯!灯!と妻は慌て火を探す。

明かりのための火を灯す為に探し物をする妻が中々探せずにいると。


次の瞬間おかしな音を耳にする妻。


バリッバリッと聞こえてくる何かの音。

そしてクッチャクッチャと聞こえる咀嚼音。

時折、僅かにヒッ!うあっ!等という声が聞こえる。


「えっ!?なに??何がおこってるの?」


妻の額には冷や汗が。


すると次の瞬間…。


ビチャッと頬に何かが飛んでくる。

妻は飛んできた頬に手を触れる。


するとドロリとした液体の感覚。

冷たいわけではないそれは。

妻は恐る恐る月明かりの当たる場所へと行ってみる。


「えっ!?これは…。」


光に照らされてはいるが…それは赤黒い血。


震える身体…すると…暗闇から何かの手が伸びてくる事に気がつく。


「ひっ!いやぁ!!!!」


叫ぶ妻!次の瞬間妻の足は何かに捕まり恐ろしい力に引っ張られる。

身体が床に叩きつけられるとそのまま暗闇に引かれる妻の身体。


次の瞬間。


ぐちゃっ!!!!!

突然妻の首元に感じた激痛!!


「うがあっ!!!」


喉からはどこかに穴が空いたかのようにすーすーと風が入ってくるかのよう。


そして気がつくと呼吸もできなかった。


苦しさと激痛に。


妻の意識は飛んだのだ。

「それによりこの家には誰もいなくなったのだと聞く…未だ床には血の跡もあるらしいぞ。」

「鬼……ですか??」

「ああ…実はその豆はお祓いで払ってもらった塩がまぶしてあるのだ…これで例えここで鬼が出ようと。」


私は何か嫌な気配を感じる。


すると私の目の後ろを着いてきていた…仁が動けずに立っていた。


「仁??」

「仁?どうした??」


私と輝也が仁を見ていると月明かりが静かに仁を照らしていく。


するとそこに見えてきたのは。


仁を掴み…ヨダレをたらした……『鬼』だった。


次の瞬間。


「鬼はーーーそとーーーーーーっ!!!!!」


バチバチっと輝也の放った塩味の豆が鬼にヒットする。


「おお!」

「部長!!走るぞ!!!」


輝也は仁の手をとると玄関まで走り出す。

そして私も後を追う!!!

鬼は…まさに鬼の形相をして追ってきた…のかな。


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