第29話仁の昔話
皆さんこんばんわ!!
僕はオカ研のブレーンとも言うべき男で仁と言います!
いつも藤野涼子部長と親友である輝也、二人の奇行に翻弄されつつも楽しい学園ライフをおくっている健全な男である。
今日はそんな僕が体験した…いや、いつもだけど中々な話をしようと思う。
それは輝也がまだ転入してくる前の事。
僕はこの高校に入り一人。
中々友人らしき友人が出来ずにいた。
僕は昔から心霊…そう…オカルトな話が大好きで毎日オカルトの研究に余念が無かったのだ。
そんな僕はこの高校に、もしも自分と同じ考えを持つ人達と話したり出来たらなと考えていたんだ。
「ああ…やっぱり…この学校にも『オカ研』は無かったか。」
僕がそんな事をぼんやり考えながら校内を歩いていた放課後の事。
校長室の前で一人の女性を見かけてしまったのだ。
僕の時は止まってしまった。
長い黒髪そして黒縁の眼鏡…その下に映る美しい顔立ち…いつしか僕の心はその女性に奪われてしまったのだ。
彼女は僕の姿を一目見ると一瞬微笑んだ気がした。
そして彼女は立ち去っていた。
僕はボーゼンと立ち尽くす。
いつしか彼女の姿は無く僕は我に返ると彼女を探す。
走り出した僕。
校内を探しても彼女の姿はどこにも無かった。
そして僕は彼女を探し外へと飛び出した僕。
もしかしたら…まだ遠くへも行っておらずその辺を歩いているかも知れない。
先程の美しい彼女の後を僕は追う。
走りながらどうして僕はあの時すぐに声をかけなかったのか。
それだけがこの時…僕の一番の後悔だった。
そしてどれだけ走っただろうか僕はとある場所へと辿り着いたのだ。
「はぁ…はぁ…はぁ……こ……ここは…………。」
僕が見上げた先にあるのはとある森の入口だった。
心霊スポットで名高い僕の生まれたこの街の中でも数本の指に入ると言われるこの森の中。
そして森の中では毎年沢山の自殺者がでも目撃されると言われる場所。
ある人は森の中で人ならざる者に食われバラバラの遺体となり発見される。
ある人は殺害した者をここに放置しにする。
そんな霊達が集まるのだろうか…ここには自ら命を絶つ者もやって来て希望通りの姿で発見される。
等などとても人は立ち入らない深い森なのだ。
その森の入口で僕は…あの彼女を発見する。
「えっ!?あれは……………。」
僕が声をかけようとしたその時…彼女は森の中へと消えていったのだ。
「おーーーーーい!!まって!そこは!??」
走りながら叫んだ僕の声は、彼女には届かなかった。
◇
僕は彼女の後を追った。
中へ入り彼女の後を探す。
すると開けた場所へと辿り着いた。
「はぁ…はぁ…はぁ…………ここは。」
「あれ?お前は…………?」
「あっ!!???」
僕の目の前にはポカンっとこちらを見て立っているあの女子が立っていたんだ。
「大丈夫ですか??」
「は?お前は何を言っておるのだ??」
古風な彼女の言語を聞きながら僕は彼女に問い掛ける。
「ここは確か。」
「ああ!ここは…大昔…鬼が棲んでいたと言われる場所だ。」
「あ!それ聞いた事あります!」
「なにっ!?貴様ここの話を知っているのか!?」
「はい!!実は僕は昔からオカルトが大好きで……」
それから僕達は話に花を咲かせてしまった。
どれくらい話しただろう。
気がつくと辺りは真っ暗になっていた。
「ふぅ…大分暗くなったな…そろそろ帰るか?」
「そ…そうですね……。」
僕はチラリと腕時計を見ると時計はなんと狂っている。
「えっ??」
「どうした??」
「いや…時計がとまっているのか……」
僕はその状況に焦りが生まれる。
すると。
「はぁ…はぁ…」
どこからとも無く僕達の耳に誰かの声が聞こえてくる。
「だ、誰だ???」
「おい!仁!静かにせよ!」
「あ…はい。」
「どんどん…こちらに何かの足音が聞こえてくる!?大人しくするのだ!!」
彼女の声。
そして近づいてくる何か。
僕は焦るもどうしようも無い。
「やっ!やばい!!」
「くるぞ!?くるぞ!!奴が来る!!!」
「いやだあああーーーーーーーー???」
その時僕達の目には。
黒光りをして大きな目を見開きこちらに向け巨大な口をあけた『鬼』。
そいつは俺達を見ていたんだ。
◇
◇
◇
お読み下さりありがとうございました!
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