第15話漆黒の処刑人
僕は目覚めた。
ここは…どこだ??
真っ暗な闇。
手を伸ばそうにも視界は永遠と続く闇。
この状況下で僕は身体を動かそうとしてみる。
まずは手から指を開いていく。
人差し指…中指…薬指…小指…とりあえず四本…そして親指。
しっかり五本指はあった。
両手を数えるも確実にある僕の指。
とりあえず両腕はあるようだ。
では足は??
僕はそう思い足を動かそうとする。
すると。
その時僕は初めて足の感覚が全くなかったのに気がつく。
「うぅっ!!??」
突然感じた足の激痛に僕は身体中が痺れてくる。
なんなんだ!?
もしかして、この暗闇で足がなくなってる!!??
とりあえず声は出るみたいだから助けを呼ばないと!?
「だれか!?だれかーーーーーーっ!!??」
シンっと静まる僕のいるこの部屋。
僕はどうしてここにこうしているんだろうか。
頭をフル回転させようとする。
まてよ、冷静になれ。
僕の名前は…
思い出してきた。
確かそう。
僕は学校を卒業して有名な某企業に就職し、そして素敵な彼女も出来てこれまで順風満帆な人生を送ってきたつもりだ。
それがどーして??
今こうなってるんだ??
いや、どうしてこの僕がこんな事になってるんだ?
確かに僕はこれまで本当に家も僕の就職した大企業の経営者でコネ就職。
彼女も某会社の社長令嬢で。
そんなこれから僕の時代だというのにこの今の状況は一体どういう事なんだ!!??
すると。
キギギと扉が開く音が聞こえる。
「誰だ!?僕を助けてくれるのか!!??」
僕がそう叫ぶとコツコツとこちらに歩いてくる足音が聞こえる。
一歩。
そしてまた一歩。
確実に僕の元に近ずいてくる足音。
僕はその恐怖よりも今の現状から救って欲しい声をあげる。
「助けてくれる!!誰なんだ!?」
するとその足音は僕の声にも動じずこちらに向かってくる。
こつ、こつ、こつ。
足音がこんなに恐怖と期待を感じることがこれまであっただろうか??
僕は考える。
これは僕は助かるのか??
それとも僕にトドメをさしにきたのか??
いや。
そんなことはないだろう。
それならもう僕はとうにこの世にはいないのだろう。
じゃあこの僕を一体どうするつもりだ??
コツコツとその足音は近ずいて。
そして僕の目の前で立ち止まる。
軽くはぁはぁと興奮気味の声?
僕は思わず唾を飲み込む。
「あれ??起きたんだね?」
この声は誰の声だろうか?
知った人にこんな人はいただろうか?と疑問を感じるが明らかに声は女性の声。
「君は?だれ??」
僕の問いに彼女は沈黙する。
すると次の瞬間。
バキッ!!!っと激しい音と共に僕の頬には痛みと熱さを覚えた。
「私が質問したんだから答えなさいよ。」
「あがが。」
僕は頬を抑えながら今の衝撃を何かと考える。
明らかに手足ではない固形のなにか。
おそらく木刀かなにかだろうか。
「さぁ、いい?あなたはもうここから出ることも何をする事も許されないのよ?わかる?」
「あ……がが。」
僕は痛みで何も答えれない。
そもそも歯も大分折れているようだ。
口の中が鉄の味で思わず吐き出したくなる。
「あなたが私にした事…初めは…私を闇の中で襲ったわよね?」
「!!??」
僕はその台詞に嫌な事を思い出してしまう。
「そして私を無理やり襲って、私が嫌だって泣いてるのにあなたは自分優先で話も聞いてくれなかった。」
僕はそこまで聞いてハッと記憶が蘇る。
そう、僕はちょうど一年前、会社に入り華々しい日々を過ごそうと思ってた矢先。
これまでなんでも優遇されてきた僕は世間の壁にぶち当たる。
嫌気がさしもう、どうでもいいと思った僕が行動したのは夜道を歩いていたこの子を無理やり支配しようとした事だった。
彼女が泣き叫び僕は。
事を終えた僕はそこから道が開けた気がしたんだ。
◇
「そう?思い出したのね。」
「あがが。」
「私はあれから貴方の身勝手な思いでずっと苦しんできた…両親も兄妹すらいない私にとって誰も相談も何も出来なかった…。」
「……………」
「だから貴方にはこれから死よりも辛い日々をここでずっと送って貰うわ。」
「あ…」
「貴方がどんなに泣こうとも叫ぼうとも苦しくて苦しくてどうしようもないこれからの人生を!!!」
「…。」
「私がこれから貴方を裁くから。この『漆黒の処刑人』になった私がね。」
「………………………………!!???」
僕は。
初めて。
神に祈ったんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます