第13話スライム

皆様こんばんは!

私がこの黒の怪奇譚ナレーターの黒野といいます。

さて今回は九月に入ったという事で秋に向かっております。

今回は不可思議なお話を。

私は彩乃。

私の暮らすこの世界は剣と魔法。

そう…そして力が支配する世界でもあるの。

でも、それはそんな事を生業としている人達の話。

私は極々…一般的な人間なの。

そして学校というものにも通ってる十代女子。

今、友人のエルミアと一緒に学校へと向かう途中だ。

「ねぇ?彩乃?」

「なに??」

「こないだの事件って覚えてる?」

「ああ…夜な夜な人が何者かに襲われる話でしょ??」

「そうそう…あれってさ!幽霊っていうかモンスターの仕業だって言われてるって知ってた?」

「そうなの?」

「うん!その正体を見てしまった人が命からがら逃げてきた話なんだけど、この事件を取り上げてここまで大騒ぎになったって話しみたいよ?」

「そうだったんだ?で?そのモンスターって一体なんなの??」

「それが…スライム…らしいよ?」

「ええーーーーーっ!?あのスライムなの??」

そう、私たちの世界にもスライムというモンスターは存在する。

でもそれはこの世界においても弱小モンスターというか冒険者なら初めに戦いをする上で経験を積む為のモンスターなのである。

「そう!そのスライムが街に現れてしまってそれで話題になってるらしいの。」

「そうなんだ…でも警察と騎士様達を呼べば何とかしてくれるでしょ?」

「まあそうね?そうそう街にだって現れることもないだろうし大丈夫でしょ?」

そう笑いながら話していたエルミアにこの後悲劇が起こるとは…この時私はまだ知る由もなかったの。

こうして私達は別れ帰路に着く。

そして翌日。

私が学校に着くとエルミアの姿を探す。

エルミアとはいつも通学途中に一緒になり学校へ来るのだが今日に限ってエルミアの姿が見当たらなかったのだ。

「エルミア。」

こうしてエルミアが学校に現れないままこの日も授業が終わる。

先生に聞いても家の方とも連絡がつかないらしい。

私はふと昨日二人で話していたスライムの事件を思い出す。

「エルミア……。」

私はエルミアが気になり彼女の家を目指し走る。

「エルミア!無事でいて!!」

そして私は彼女の家にようやく到着する!!

すると。

家には立ち入り禁止のテープが貼られそこは何かの事件が起きた状態。

私は立っていた警察官に問いかける。

「ここの家で何が起きたんですか?」

「な!なんだ君は??この家の方の関係者か?」

「え!ええ!ここの家は私の友人の家なんです!!」

「お。おお…そうか。友人か。」

私の声に警察官もその表情を暗くさせる。

「え?なに?何があったんですか??」

「ええ………実は…………………。」

私は、あまりにも聞いた内容が恐ろしすぎて…しかも私の大切な友人であるエルミアが。

話してたばかりのスライムに襲われて…エルミア、そしてエルミアの家族も一家全員がその被害にあって帰らぬ人…となってしまったらしい。

私は、その場にへたり込む。

「大丈夫ですか?」

事件の後処理をしているであろう警察官は声をかけてくれる。

(なに?一体なんだっていうの?私達は冒険者とは違って戦えないんだよ?それなのにどうして襲われるの?)

私は自分の無力さと絶望感に、ただじっと現実を受け入れる事しかできないのであった。

すると警官は声をかけてくる。

「実はですね?今までの傾向上…この襲ったスライムは手当り次第人間を襲うらしいのです!こないだもここから三キロ程離れた隣町でしたし……。」

「そんな…」

私の目からは涙が。

気がつくと私はその場を後にしていた……。

エルミア…エルミアがどうして。

悲しみの辛さが私の心を痛めつけてくる。

はぁ…はぁ……。

そして私はとうとう家に着いていたの。

「ただい……ま。」

玄関の扉を開く。

でも中から感じる空気が何か違う。

(あれ?どうしたの?)

「お母さん??」

いつもは声がかえってくるであろう母の声が今日は聞こえてこない。

そして妙な胸騒ぎを覚える。

「お父さん??」

………………………………。

いつも殆ど家にいるはずの二人の声が聞こえない。

「あれ?」

私は中に入ってみる。

ギギ。ギギ。

なぜか私の足音が廊下に響く。

すると微かにテレビの音が聞こえていた。

これは何かおかしい。

私はごクリと唾を飲み込みそして…扉をゆっくり開けていく。

するとそこには。

スライムによって全身を飲み込まれ顔だけが辛うじて出ている両親の姿が。

「えっ??なに……これ。」

「あ…あや……の……にげ……んぐうっっ!!!」

母親がスライムにより顔まで飲み込まれる!!

そして。父親。

「んがあああっ!!」

父親はスライムの中で血が吹き出し溶かされていく。

しゅーっと溶かされてる空気が辺りを覆う。

「う、、、う……うああああああああーーーっ!!??」

私はその光景に慌て走り出す!!

ところが!?

(ああ……痛い。スライムに襲われるのってこうしてやられちゃうんだ。)

私の身体はスライムの身体に飲み込まれゆっくりと溶かされてるらしい。

(んぐっ!!??)

最初は足に激痛が走って。

いつの間にか足がなくなったのだろう…何も感じなくなって。

今は右手みたい。

(ああ…こうして私死んぢゃうのかも。)

こうして私はいつの間にか溶かされて。

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