第7話真夏の夜の一幕
「やぁ!そこのあなた、こんばんは!私は物語を綴るストーリーテラー黒乃というものです。」
男は浴衣姿の佇まいで声をかけてくる。
「えっと…その様子ですと本日もとても暑かった…そんな顔をされてますね?あ!もしよろしければ冷んやりとするお話でも一ついかがでしょうか?。」
自分はその声に従い不思議と後ろにあったベンチに腰を下ろす。
そして…男の話は始まった。
◇
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◇
さて…本日の話はあのオカ研の最上輝也君。
彼のその後は。
◇
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俺の名前は最上輝也…今日は友人の仁と部長である藤野涼子さんと三人で夏休みをどう過ごすかを話し合っていたのだが…。
「異議あり!!」
そう言い話を遮る仁の声。
「どうしたのだ?間宮…君は最近オカ研の主義というものに反感の声が多いのではないかね?見てみろ…輝也などは従順たる姿勢であるぞ!少しは彼を見習ったらどうかね?」
「いや!部長!それでは意見を言わせてもらうけど…部長の話の山の墓場!!あそこは本当にヤバいんです!僕オカ研入ってから、これまでなんど漏らして親に怒られたと思ってるんですか!?」
「それは自業自得であろうよ?」
「いーや!じゃあ次の土曜の場所は僕に決めさせてください!場所はやはり海です!!僕が用意してきますから!!」
「ふぅ…二人とも一体何の喧嘩だよ。」
俺はため息をつきつつ声をかける。
「おお!最上?お前の意見はどうかね?私は山がいいのだが。」
「輝也!?僕の意見は正しいよな!?やっぱ行くなら海だよな!?」
二人は俺に意見を求める。
「俺ずっと………聞きたかったんだけど…俺はもうオカ研…決定なのか?」
一瞬部室内の空気が固まる。
「さあ!部長!どっちが怖く、でも楽しい場所を探せるか競いましょう!!」
「おお!良いぞ!じゃあ今回はお前のオススメスポットに行く事にしようか!?私と仁どちらが良い場所を提供出来るかを競い合うとしようか?」
また…行くのか…俺はため息混じりにそう思っていた。どうやら二人はやる気満々のようだ。
俺は遠い目をして窓から外を眺めるのだった。
◇
◇
◇
俺達は仁のオススメだという心スポに来たのだ。
場所は海。
「ここはね!?向こうにある断崖絶壁の場所は自殺の名所になっていてその辺をウロウロしてると火の玉とかが見えるらしいんだよ! 」
「ほう!確かにここはそんな言われは聞いた事が私もあるな!仁はこの場所の事は他に何か知らないのかね?」
「えっ!?」
仁は部長のその言葉に驚きの声を上げる。
「仁…そうか…ならば私は敵に塩を送るつもりで昔ここで起きた話をお前に伝授するとしよう。」
◇
◇
◇
昔からここは黄泉の国への入り口とされ。
自殺の名所になっている場所なのだ。
昔ここにとある二人の男女が立ち寄ったらしいのだ。
二人の関係は決して人に言えるものではなかった。
だが二人はどうしても愛の炎は消せなかった。
叶わぬ愛と考えた二人はここから身を投げそして。
そんな二人の悲壮な話を聞いた人々はここを訪れそして同じ後を辿る人々もいたらしい。
何度も何度もその行為を見てきたこの崖。
そして、いつしかこの崖の下には腹を空かせた小鬼共が棲みつくようになったと言われる。
小鬼共はエスカレートしていきそしてこの崖に立った者を次々と捕食したとか。
そしてその声と捕食している咀嚼音は時として聞こえると聞く。
◇
◇
◇
部長の話が終わると仁は凍りついている。
「どうしたのだ?仁?少しは勉強になったようだな?」
「いや…部長……仁の様子が何かおかしいですよ?」
「仁?」
「ひいいいーーーっ!!」
俺と部長の声に益々驚きのその顔は驚き感を増す。
その時、俺と部長は仁の指さしたその先。
つまり俺と部長も後ろから何かを感じる。
「ギギ…クッチャクッチャ……。」
「な!何の音だ!?お前達ガムを噛むのをやめないか!?」
「いや!部長!俺も仁だってガムなんて噛んでませんよ!」
「グギッ!!くちゃくちゃ!ぴちゃぴちゃ!」
「や!やめろと言ってるだろ!?」
すると仁は突然尻もちをつく。
「ひっ!ひぃぃぃーーーーーーっ!?」
仁は涙目でガタガタと震え、俺達の後方を震える右手そして人差し指でゆっくりと刺していく!!
「あ”あ”あ”ーーーっ!!いだいっ!いだいいいいーーーっ!!??」
聞こえたのは俺達以外第三者の叫び声。
泣きながら首を横に振っている仁。
俺達はごクリと唾を飲み込む。
「ぶ……部長……そ…そろそろ…帰りましょうか?」
「そ…そう……だな……我々も…い…忙しい…身だしな。」
俺はそーっと仁の手を握る。
震えるその手はさぞかし恐ろしいものを見てしまったのだろう。
「グギギ…クッチャクッチャ……」
「うぁぁっ!!あう…………」
どうしても俺も…そして部長も後ろが気になる。
俺は部長と目と目が合う。
そして…俺と部長は意を決し、そーっと後ろを振り返っていく。
そこに見たものは!!!!!!!
小鬼三匹に足と腕、そして首を噛まれ目と口から血を流しこちらを震えながら見ている人なる者の姿だった。
「「うああああああああーーーーーっ!!」」
◇
◇
◇
「あれ?どうかされましたか?」
「ふむ…いつの間にかいなくなってるとは。」
◇
◇
◇
先程までベンチに座っていた自分。
そして話していた男からいつの間にか逃げ帰っていた。
男はきっとまた誰かにさっきの話をしてる事だろうか?
お読み下さりありがとうございました!
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