第5話とある学生の物語。

こんばんは!

皆様ようこそ俺の店へ。

今日は一人二人…三人とこの店の事はどこかで聞いてきたのかな?

そうか…君達もどうやら俺の話にハマったという事か。

じゃあ今日はそうだな…。

あの最上輝也君というオカ研に入って酷い目に合っている彼の話の続きでもしようかな。

そこに腰掛けて聞いてってくれよ。

さて!オカ研に半ば強引に入ってしまった輝也君…今日はどうやら遊園地に来ていたようで。

「しっかし遅いな…部長。」

そう…これはデート!!

というシュチュエーション!!

俺は今まで付き合った彼女というのは特になくこれは!?と半ば期待してここに居るのだ。

あれは昨日の帰りの事だ。

「最上…ちょっといいか?」

「はい?」

俺は帰りに一人下駄箱に靴を丁度しまおうとした時の事。

部長に声をかけられたのだ。

「俺、何かしましたっけ?」

「えっ!?あ!いや!いいからちょっと顔をかすのだ!」

半ば強引に俺は部長に手を引かれそのまま校舎裏へと連れていかれる。

そして急にその手を離すと部長はモジモジと照れ始める。

何だこれは!?

一体どういうことだ!?

ここへ来て俺への愛の告白か!?

待て待て部長!!ちょっと気が早い!

すると部長はサッと手を出したのだ!

そしてその手には何と遊園地のチケットを持っているではないか!?

「えっ!?部長?これって!?」

「あ!いや!明日は休みだ…折角なら一緒にどうかと思ってな。」

「えっ!?俺と部長が!?」

「あ!用事があるなら断ってくれても構わないぞ!」

俺はドキドキが止まらない!

部長はあんな感じだけど実は眼鏡の中の素顔はめちゃめちゃ可愛いとの評判で隠れファンは沢山いるとの話だ。

そんな部長に誘われた俺は二つ返事でオーケーを出す。

「全然暇です!!是非行きます!!」

「おおっ!そうか!それなら良かった!じゃあ現地集合で夜の二十時集合な!」

「えっ!?夜の遊園地なんですか?」

「ああ!そうだぞ!夜だから楽しいんだぞ!」

「分かりました!じゃあその時間に。」

こうして部長とデート(仮)の約束をした俺は現在二十時となるこの遊園地で彼女を待っていたのだ。

そして彼女を待つ俺。

時は20時になるも彼女はまだ到着しない。

「あれ?遅れてるのか?しかしここは何時まで開演してるんだろうな?」

俺は一時間程待ってはみたものの中々部長の登場はなくこの遊園地の閉園時間を確認に行く事にしたのだ。

俺がチケット売り場に行くと薄暗い明かりがポツンと着いているだけだった。

おかしいと思いチケット売り場の女性に声をかけてみる。

「あの…すみません!今日はここの遊園地は何時まで開いてるんですか?」

売り場のお姉さんは中で忙しそうに何か作業をしてるようだ。

「ふぅ~後にするか。」

そして俺が振り返るとそこには何とあの部長の姿が!!??

「いやぁ!かなり待たせてしまって悪かったな!?」

「部長〜〜〜〜〜ぉ~~~っ!!」

俺は思わず涙目になりそうだった。

「何だ何だ!?最上までどうしたのだ?」

「え?俺まで??」

俺は部長の話に疑問をいだきそちらをよく見るとそこには見た事のある者の姿が!?

「げえぇぇぇーーーーーーっ!仁!!??」

そこに居たのは涙目で部長の影にいた仁の姿だったのだ。

「ん?輝也!!??」

「「ええーーーーーーーーーっ!!??」」

俺達二人は夜中の遊園地で大声を上げたのだった。

「ふぅ~~~さて。二人とも落ち着いたかね?」

「うぐっ!ぐすっ!」

「はぁ~~~やれやれ…俺はてっきり部長と二人きりのデートかと。」

俺がそう呟くと部長は呆れ顔だった。

「ふむ…実はお前達をここに誘ったのはここの遊園地のお化け屋敷にはちょっとした言われがあってな…その真実を確かめるべくここへ来たという訳なのだよ?」

「そうだったのか…それならそう言って貰えた方が…。」

「はぁ…だが…普通に誘うよりは面白いであろう?でもな…遅れた原因はこいつ…仁がこの遊園地のいわれを調べてしまってな…中々家から出てこなかったのだよ…それでここまでやっとの事で連れてきたって訳さ。」

呆れ顔の部長に俺もため息をつくと仁は泣きそうな顔をしている。

「だってぇ〜ここは本当にやばいらしいんだよぉ〜。」

「ふん…。」

そんな話をしながら俺達は遂にいわれがあるというお化け屋敷の入口に到着する。

「じゃあ早速入るぞ!」

俺達三人はこうして中に入って行ったのだ。

俺達は薄暗いお化け屋敷の中を先へ先へとゆっくり進んでいく。

中は思ったよりヒンヤリとし時々ぽたりと中の冷房による水滴であろう水が落ち腕などに当たる。

「中々雰囲気ありますね?」

「部長〜〜〜帰りましょうよ~~!」

「仁!貴様には先頭を歩く事を許可する!その目でお化け屋敷、堪能するがよい!」

「ふえええーーーっ!?」

俺達はそんな会話をしながら奥へ奥へと入っていく。

中に入っていくと中のヒンヤリ感は増し寒いくらいだ。

すると部長が口を開く。

「このお化け屋敷はな…昔からあるのだが、あまりにも流行らなかったらしく…遊園地事一度潰れているのだ…その当時の経営者は負債で首も回らなくなりそして…このお化け屋敷内で死んでいたらしい…その怨念が出るとか出ないとか…皮肉にもこのお化け屋敷はその噂で盛り上がり復活を果たし今では全国的にも人気のスポットになったのだよ。」

「そんな事があったんですね?」

「だからな!最奥の部屋…経営者の死んでいた部屋に行くと…出るらしいんだ。」

そう言った部長の表情は何より怖かったかもしれない…。

すると奥から何かの音が聞こえてくる。

ぴちゃぴちゃ…。

ぐちゅぐちゅ。

「へ?何の音!?」

仁は急に立ち止まる。

「なんだ仁?私には何も聞こえん!さぁ。進め!」

仁が怖々と先へと進む。

そして、俺達は出ると言われる部屋へと辿り着く。

くちゃくちゃ。じゅるり。

何かの咀嚼音はここまできて俺の耳にも届いたのだ。

「そうだ!思い出した…ここに入ってきた者で数名が行方不明となる事件も確か昔あったな…」

部長は足を止め言葉を続ける。

仁はゆっくり部屋の扉を開いていく。

ギギーーーーーッ。

「ここのオーナーは生前生肉が大好きだったらしくてな…たまにここに入ってきた者を襲っては…」

そこで俺達の目に入ったものは…。

血の滴る生肉をくちゃくちゃと食べてこちらを見る怪物の姿が!!??

「「うわぁぁぁーーーーーーーーっっ!!」」

俺が話を終えると目の前に座り俺の話を聞いていたお客様の姿が一人もなかったのだ。

「ふぅ…さて皆さん!これから暑い夏…たまには遊園地のお化け屋敷…でも行ってみては?」

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