第3話最上輝也オカ研
あれっ?また貴方か?
ようこそいらっしゃい!
まずはゆっくりそこへかけてお茶でも…ん?
何だい?その物欲しそうな顔は…
ふぅ…やれやれ…どうやらまた私の話が聞きたい…そう言いたげだね。
じゃ、話そうか?
いいかい?ちゃーんと最後まで聞くのだよ?
◇
◇
◇
さて、では今日の話はまたこないだ話した
◇
◇
◇
彼は、とある学校へ入学し、そして友達との出会いを果たす。
友人仁の大好きなオカ研との関わりを得た。
そしてあの事件から一ヶ月後。
彼らは、いつもの様に学校へ向かっていた。
「ああ…しかし今日も朝から暑いな。」
「そういうなって!輝也!こんな暑い日はアレに限るよな?」
「なんだよアレって!?」
「アレと言えば決まってるだろ?俺達が入ってるクラブ…オカ研!の事さ。」
「うえええ!」
俺と会話してるのは俺の悪友でもあり俺をオカ研に誘った張本人『
こないだはコイツのおかげで散々な目にあったのだ。
「いいか?仁!オカ研ってまあ…お前達が好きなクラブ活動にどうのこうの言うつもりはないんだけどな…」
俺がそう仁の趣味に釘を刺そうとしたその時。
ドンッ!!
「キャッ!!!」
俺は後ろからぶつかられた衝撃で前に倒れそうになるも踏ん張って耐えたのだ。
「えっ!?」
振り返ると俺の後ろにぶつかった衝撃で倒れたのであろう女子が座り込んでいたのだ。
「あっ!?ごめん!大丈夫か?」
俺は彼女を起こそうと手を伸ばす。
すると彼女は震えながら俺を見ている。
「ん?」
「ああっ!本当にごめんね!僕は間宮仁!この学校の一年でCクラスなんだ!そしてこいつも…」
仁が俺を指さすと彼女は起き上がりスカートの埃を払うと震えながら無言で立ち去る。
「えっ!?なんだよあの子?」
「変わったヤツだな?」
俺達は初めて会った子に何故か怖がられてしまったのだ。
「うえっ!?やべぇ!遅刻するぜ!」
「マジか!!行こうぜ!」
こうして俺達は不思議な女子と出会ったのであった。
◇
◇
◇
そして放課後。
今日はオカ研も活動はなく…まあほとんど雑談してるのが常なのだが部長なども用事があるとかで俺達二人は帰路に着く。
「さぁて!今日は早いしこれからどうする?」
仁は俺を何かに誘いたげだった。
するととある橋に差し掛かる。
ここの橋は『河童橋』といいこの街の怪奇話に上がるほど自殺者も多く霊などの目撃例が多い場所なのだ。
何故ここが河童橋かといういわれは部長にでも聴く事にしよう。
すると俺達の前方少し離れた場所で一人の女子が橋の下を見つめたまま立っていたのだ。
「ん?あれって?」
「そうだよ!朝僕達とぶつかった子だよ!あんな所で何してるんだろ?」
こんな時にやたらと記憶力のいい仁の声に俺も朝の出来事を思い出す。
すると目の前で俺達も驚く出来事が起こる。
なんと!彼女は意を決した様な行動をとると橋から思い切り飛び降りてしまったのだ!!
「きゃーーーーーーーーっ!!!」
彼女の叫び声が聞こえたかと思った気がしたが俺達は彼女の元へ走っていたんだ。
彼女の飛び降りた場所に辿り着く俺達。
「はぁっはぁっ!おいっ!!??」
「君ーーーーーっ!?大丈夫かーーー!?」
俺達は橋の上から真下を見るとそこは恐ろしく高くいかにも飛んだら終わりというのも想像がつくほどの場所だった。
が!?
真下には何の形跡もなく。
彼女が飛び降りたという事も有り得ない静けさ。
見下ろす下の木々等揺れもせず落ちた音等も一切聞こえてこなかったのだ。
「これは…」
「怪奇現象!?部長に知らせなきゃだ!!」
俺達は目の前で起こった事が未だに信じられず帰路に着いたのだった。
◇
◇
◇
俺もあれが本物の事件だったならと気になりニュース等もずっと見てはいたがこの日も何も報道されずあれが何だったのか考えながら眠りについたのだ。
そして次の日。
俺達は部長、藤野涼子と副部長四人で昨日の出来事を話す事にしたのだ。
「ん?それでその子の事は事件にも上がらずどうなったか…か?」
「はい…あの不思議な女子は僕達も初めて見た子でこの学校の生徒でも近所で見かけた事もないんですよね?」
「うーん。」
仁の言葉に部長は考え込む。
「河童橋…だよな?」
「はい…。」
「河童橋の伝説なのだが…」
そして部長は語り始めたのだ。
「昔あの河童橋の真下の川には河童が棲みついていて事ある毎にいたずらをしてきていたらしい。河童とは本来伝説の妖怪とも言われ人間を直接殺めにくるとかの言われはないんだがな…ある時…イタズラをしにきた河童を捕まえ見世物にしようとした男がいたらしい。」
「見世物?」
「ああ…そして捕まえ見世物にした河童は最初は見世物としてそりゃ評判を呼び男は大金を稼いだらしい…所がそれは次第に人々に飽きられ男はそれが河童のせいだと怒り狂い河童を惨殺したらしくてな…あの橋にはその河童の呪いで自殺者が後を絶たないという話しさ。」
「うわぁ!めちゃくちゃ怖いじゃないですか?」
「だろう?」
部長はそう言うと何故か笑みを浮かべている。
俺に嫌な予感が頭に浮かび帰ろうとすると。
ピシャリ。
笑顔で部室から返すつもりのない部長が立ち尽くしていたのだ。
◇
◇
◇
結局副部長も呼び出され俺達四人は例の河童橋に来ていた。
「部長!帰りましょうよ?」
「何を言ってる!?ここまで来たら!さぁ!橋の脇から川まで降りる階段が設けられているのだ!ゆくぞ!」
「「うえええ!」」
こうして俺達四人は河童橋の怪異を探るべく橋の真下にある川へと降りていったんだ。
以外にも階段は川の整備のためにしっかりと作られ降りていくにはなんら問題はなかった。
「部長!やばいですって!」
「うるさいぞ仁!部長命令だ!先頭を歩く事を許可する!」
俺達はこんな話を大声でしながら下へと降りていく。
すると徐々に下へ降りていくと風が変わった気がしたのだ。
生暖かい風が漂い時にヒンヤリした空気が俺の顔をこわらばらせる。
そしてとうとう…川へと俺達は辿り着く。
「誰も…いない…よな?」
「当たり前だ…だがここの河童の呪いってまだ詳しくは話してなかったよな?」
ここへ来て部長の性格の悪さが出た気がする。
河童を惨殺したその男だがな…ある夜に寝れず起きてしまったのだよ…するとコンコンっと夜中にも関わらず家の戸を叩く音がしたらしい…男は何事かと戸を開けるとそこには何もいなかったらしい…バカバカしいと思い眠ろうとしたその時!!布団の中で何者かに足を掴まれた感覚!
「誰だ!?」
男が叫ぶも誰もいない!
すると男は口を塞がれ手足を拘束され動けなくされてしまった!
男は恐怖だったが声も出せない!!
するとそこには…血の涙を流す河童の姿!!!
「んぐぅぅっ!!んうんうっ!!」
いつの間にか男の口には縄を丸めた物を突っ込まれる!
だが吐き出そうにもそれ以上に突っ込まれているため男は口から縄を吐き出せずにいた。
「んぐっ!ンンンッ!!」
もがき苦しむ男!
すると河童は石のような物を持ってきていた。
(その石を_どうするつもりだぁぁぁーーっ!!)
しかし河童にその声はもごもごとしか聞こえない。
河童は徐々に石を持ち上げていく。
すると俺の目の前で腕に持っていた石を思い切り叩きつける!!
ボキボキっ!!
「んんんんんーーーーーーーーーっ!!!!」
俺の手は石の衝撃と重みで骨がくだかれ手には恐ろしい痛みが走る!!
見ると手は血まみれで痛みという感覚しかない…そして痛みによる痺れは手を動かす事も出来なくしている。
目から自然に涙が溢れてくるも河童は次の攻撃をしようとまたその石を持ち上げている。
「んぐ!んんんんっ!!」
河童はニヤリと笑った気がした。
ドンッ!!!
「んぐぅぅーーーっ!!!」
先程は俺の右手を…そして今度は狙いをすまし左手がダメになる。
両手を破壊された俺はその痛みで涙が止まらなかったのだ。
そして河童はまたもや石を持ち上げ今度は俺の頭を狙ってくるようだ。
「んん!!んんんんーーーっ!!」
(やめ!やめてくれーーーっ!!!)
血の涙を流した河童は俺の頭上に大きな石を振り上げていた。
(ああっ!?やめて!やめてえええーーーっ!!)
◇
◇
◇
「とまあ!こんな話がここの河童伝説なのだよ?」
部長のその声に俺達はもうチビりそうになって…ん?なんか、やばいな。
俺はそう感じたその時!!
突然仁が驚きの声を上げる!!
「うわあああーーーっ!!??」
「「なにっ!!?」」
俺達も仁のすぐ側に駆け寄る。
「仁!?大丈夫か??」
「一体どうしたというのだ?」
俺と部長が声をかけると仁はアワアワと腰を抜かしたまま暗闇を指さす。
ふとした月明かりがぼやっと何かを照らす。
そこに見えたものは。
河童がぺちゃぺちゃと血を啜りこちらを見ている姿だったのだ。
そして仁は河童の足元にワナワナと指した指を下げていく。
そこに見たものは…。
俺はピンときた。
「あのこないだの女の子のメガネ…なのか。」
「「うわあああーーーーーーっ!!!」」
俺達四人は走り出す!!!
そして月明かりは静かにその光景を照らすのだった。
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