第51話 狙われたマリアンヌ ②
****マリアンヌの乗ったダーマッサーの車が大破する数分前
マリアンヌは、恍惚とした表情を浮かべながら、楽しい楽しい気持ちに支配
されていた。
−速く、速く…
どこからか声が聞こえる。
マリアンヌは「速く、速く…」と同じようにボヤきながらアクセルを思いっきり踏み抜く。
アクセルを踏み抜いてから、急にガサガサ、っと頭の中で音が鳴る。
途端に、楽しい気持ちが少しずつ遠のいていく。
その音は段々と大きくなり、まるで耳元で大きな虫が大量に動いているような、そんな轟音となり、そこでマリアンヌはハッと正気に戻る。
気づけば、猛スピードで走る車の中であった。
アクセルを外しブレーキを踏む。
(効かない!?)
そしてハンドルを回そうとしたら、取れてしまう。
車は道から外れ、人工芝地へ入る。芝地の先には、今や廃墟となった旧カオスファイティングアカデミー(CFA)の校舎がある。
(このままでは!?)
マリアンヌは、ドアを開けて車から飛び出る。
二転、三転、回転して受け身を取るも、勢いを殺しきれず、そのままゴロゴロと転がっていった。これら一連の動作はほぼ無意識で行われた。
数秒後に車はそのまま建物へと突っ込み、爆発して大破する。
「ウグ、ッグ」
脚や脇腹から血が流れ、腕が折れ肩が外れていたが、この時にはかろうじて意識があった。
倒れたまま、マリアンヌは動けなかった。
オムニ・ジェネシスではこのような事故があった場合は、街中にある防犯カメラが状況をAIに伝え、勝手に救急車が来るようになっている。
そんなこともあり、救急車の音を遠くに聞きながら、マリアンヌは少しずつ意識が遠のいていった…
第52話『狙われたマリアンヌ ③』 へと続く。
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