第19話 ゲーム・オブ・ライフ ②

 <<ゲーム・オブ・ライフ公式大会>>


 第一回

『ブラックワーム・アタック・チャンピオンシップ』


 この大会の参加者は900万人。それだけのプレイヤーがいると、流石に収集がつかなくなる。


 そのため、開催後の1ヶ月間は、各チームが独自にプレーし、参考基準点まで一早く到達した100チームが初めて第一次予選に参加することが許された。


 1チーム7人までという規定のため、一次予選では899万9000人以上がすでにふるいにかけられていた。


 このゲームは、ひたすら『ライフ』回収を目的とする。チームは7人以下なら何人でも構わない。もっとも、全チーム7人いるわけだが。


 ゲーム自体はエンターテインメント性を排除した、リアリティを追求した内容となっている。通常ならばそんなゲームはたちまち飽きられてしまうのだが、リアルを追求したスリルが味わえて、たちまち噂になった。


 ゲーム内のカオスファイターの性能を現実の性能に合わせているというのが人気の点だ。しかも、ダメージを受ければ合わせて性能が落ちる。積んでいる燃料の量もリアルで、定期的に戻って補給を受けなくてはならない。


 気持ちよくプレーするために都合よくは作られていない。


 さらに、無重力空間での戦闘を想定するため、カオスファイターは軌道制御が難しい。ウネウネと動くブラックワームに攻撃を当てるのもなかなか難しく、エイムを一瞬で定めてタイミング良く打たなくてはいけない。


 初心者モードなど存在しないため、ゲームが上手くなるまでにはかなりの根気がいるのであった。


 瞬発力、正確性、知力、戦術、忍耐力、行動力、判断力、コミュニケーション能力、といった具合に、様々な要素が絡み合い、むしろそれがマニアックな人々を惹きつけた。


 結果、近年では空前絶後の大ヒット作となった。


 大会では、『ライフ』回収でポイントが入る。敵戦力を削ることも重要とのことで、ブラックワーム撃破に対してもポイントが入るが、『ライフ』を回収することに比べるとポイントは圧倒的に少ない。


 まだ歴史が浅いこのゲームでは、攻略法が存在しない。よって、各チームは各々の考え出したユニークな戦い方で予選を勝ち抜いていった。


 そして、開催から2ヶ月後、ついにベスト16が出揃った。


 Eスポーツ業界は空前絶後の盛り上がりを見せた。


 準決勝は、4ブロックに分かれて、それぞれブロックの優勝者が決勝トーナメントへと進む。


 各ブロックは4つ巴で、制限時間内にどれだけ多くのポイントを稼いだかで勝敗が決定する。


 ブラックワームを撃破すれば一体につき1点、ライフを回収し船へ帰還すれば、ライフ一個につき100点だ。


 当然のことだが、ライフの重要性はブラックワームを撃破する比ではない、というわけだが、ライフに近づけば近づくほど、ブラックワームが密集してくる。


 一度破壊されたら復活できないので、いかにみなが最終局面まで生き残れるのかということと、いくつライフを回収できるのかが勝利の鍵となる。


 そしてもう一つ、普通の大会にはない面白い条件がある。それは、ブロックで回収された『ライフ』の数に応じて、誰が回収したのか関係なく賞金が出るという条件だ。


 これは、勝つのは無理と判断したチームが他チームを手伝って賞金を得ようという判断につながる。これもこれで、リアルなのである。


 熱気に包まれるアリーナにて、準決勝Aブロックの戦いが始まった。




 第20話 『ゲーム・オブ・ライフ ③』へ続く


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