第6話 X'masの痕③
私達は山頂で[夜中に]ハイキングしてるヒトにありがちな「こんばんわ」と声かけをしてくれる、十数名の、新年を山頂で迎える、常連さん達と、夜を明かすかとにした。
風をよける為に、小屋で日の出を待っていた。
彼女がツレしょんを耳打ちしたので、二人で外気を防ぐ建物から、風が吹く自然へと踏み降りた。
私達は衛生的なトイレで、念入りに用をすませた。
トイレから再び屋外で今度は、
ひゃあって、髪がなびかない様にまとめていた。したら「見てみて、こっち」と手招きされた。
其処には満天の星空と、それを写すかの様に輝く地上の星も瞬いていた。
生活を育んでいる、ひとつひとつの家族の灯りに、なんだか気分はほんわかとした。
「みんな、消灯しないんだね?」という彼女に、私はアンチエコだけど、凄く綺麗だなと思ってみていた。
だけど大晦日もとうに過ぎた、丑三つ時になると、二人は地上の星におやすみを告げられた。
残念と意気消沈した二人は背伸びをして山小屋に戻ろうとしたのだけど、せっかくのカウントダウンだったのに、忘れんぼな私達は「ハッピーニューイヤー!」と言って笑いながら頭上を見上げた。
地上の星も消える深夜
極上の星空に遭遇できた。彼女は「寒くない?」と聞くや否や私の事を抱きしめた。
すみわたる自然の寒さに、彼女の体温が、少し震える私を癒した。
夜明けの空も二人で、初体験しよう。
了
百合ものがたり(文芸) 宝希☆/無空★むあき☆なお/みさと★なり @nkomak
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