第125話 Actuve Shooter Training 米国ならではの訓練
今月は、14日から休暇を取っているのだが、その間に済ませておく必要があったオンラインの訓練を終えた。この訓練は銃撃犯が職場に現れた時、どう言う行動をとるべきかを説いたものだった。これをパスするには、最後に14問の問題があり、8割以上の正解が必要とあった。レッスンは45分かかるとあったが、私は最後のはずのテストをまず受けてみた。すると、14問中13問正解であっさりクリアしてしまった。大体常識だろうと言う様な質問ばかりだった。もし実際に、銃を持った射撃犯が現れたら、落ち着いて状況を判断してから最前を尽くすとか的な問題が多かった。私が間違えたのは、又しても、多肢選択の中で、他のチョイスを読まずに最初の回答を選んでクリックしてしまったが、実は正解は四つめの「All of above.」だった。テストをクリアするだけでは、証書はもらえない仕組みになっていたので、一応、全部のビデオは見てみた。新しく学ぶことはなかったが暇だったので、時間潰しにした。
その昔、武道の稽古をしていた時代、狙撃犯とかだけでなく、常に危険の可能性を察知する事を心がけていた。例えば、講義のために教室へ入ると、まず部屋を見渡し、不審者を探す。ここで、首を振って見渡すと、注意している事がばれるかもしれないので、目だけで確認する。勿論、向こうが見ていたら、目の動きだけでも悟られる可能性はあった。何回目からの講義となると、普段はいない者がいないかに子を付けていた。大講義室でも、私の辺りに座る者は大体同じだったので、こう言う不審者の確認をしていた。
キャンパスや街を歩いていても、周りには気をつけていた。人混みの中を背後に気を配って歩いていた。私の通っていた大学は今では全生徒数が5万人を超える大学だが、その頃でも、学部生だけで2万数千人はいた。お陰で、講義が終わり、10分間に次の講義室へ移動する学生で溢れる場所も多くあった。特にキャンパスクォッド(Campus Quad)と呼ばれる基礎科目を教える学部の建物が囲む大きな芝生の中庭は日本の通勤時間の駅の様に混む事もあった。QuadとはQuadrangleの略で、四角形と言う意味だ。ここで、他の人間が歩いているペースよりも早く歩き抜ける事は足捌きの訓練になった。日本でも、武道をやっている人間は駅や混雑した街頭でやっている者がいるると思うが、このQuadで私もよくやっていた。普通よりちょっと急いだペースで、次の講義のある建物へ歩いているのに、この男(私)が、急ペースで近づいて来るので、衝突するのではないかと躊躇うが、当たる直前に、男はすっと避けて元の方向へ去って行くと言う、迷惑な行動をするやつだった。前を歩いている学生に近付き、横にずれて追い抜き、その学生の目の前に戻り歩き去る。対抗して歩いて来る学生の前に急に横っ飛びで現れ、瞬時に横っ飛びで消えて行く男に、二人の学生が驚く。ある時、寮のルームメイトと、この場で出会い、昼食の為に、一緒に寮へ帰る事になった。彼がいたのに、普段と同じ人に当たりそうなペースで歩いてしまい、ルームメイトから、「スローダウン!」と叫ばれた事があった。その後、寮のキャフェテリアで、昼食を取りながら、何をやっていたかを説明して呆れられてしまった。結婚してからも混んだ場所で、妻といるのに、同じことをしてしまい、やがて、逃げられない様に手を取られる様になった。手綱を引かないと暴走する馬か走り回る犬の様に。
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