第117話 民主主義は滅びるのか?

現在、米国の大統領選で、ある候補が当選すると、民主主義が崩れると危険視する動きがある。私の子供の頃からの感覚では、民主主義は独裁主義等よりも優れており、崩壊する可能性は軍事クーデターくらいだという認識だった。学校でもそう教わってきたと思う。しかし、民主主義又は共和主義の国家が、逆戻り(私の世代にとっては)して、独裁政治に戻ってしまったケースは世界史には多く存在する。勿論、軍事クーデターが多いのだが、そうでない民衆、又は、議会が自ら独裁制度へ逆戻りする事を選んだケースも存在する。


ローマは紀元前6世紀に、旺盛から共和政の国へと変わっていたが、紀元前27年に帝政になってしまった。この理由の一つが、共和政の老院議員がうまく機能しなくなったことと、領地が莫大に拡大し、異民族が増えすぎたとかいうのが、歴史家の見解らしい。まるで、今の米国だ。他にも、フラン革命の市民革命の後も、ギロチンをやり過ぎたとかゴタゴタして、帝政になったり、王政が復活したりと行ったり来たりを繰り返した後に民主主義になった(同時期に独立した米国は250年間民主主義を貫いているのに)。ドイツは、第一次世界大戦後の経済不況の不満から、国民は自らヒットラー率いるナチス政権に印籠を渡した。イギリスにも17世紀にピューリターン革命が起こり、その当時の王は処刑されたが、その後、オリヴァバー・クロムウエルが政権を握った。このクロムウエルは、実は彼が処刑させた王と変わらない独裁主義者で人気をなくし、民衆の支持を失い、彼の死後は王政の復帰となった。


そして、私がこのストーリーの共通性に気づいたのは、スターワーズでもダークサイドのシスの暗黒卿が、ローマと同じ様に、共和政から帝政への変更を企んで、成功してしまったことに違和感を覚えた。ジョージ・ルーカスはスターワーズの脚本を書くために、世界中の神話や伝説を調べ上げて、これらをもとにスターワーズの脚本を書き上げたという。彼は、この様な歴史が繰り返される可能性を指摘していたのだろうか?


たとえ、米国民が、経済的な理由を第一として、ヒトラーに再来のような候補者を選んでも、独裁者にはさせないでほしいと願っている。逆に、この候補者が当選すると、米国経済はとんでもないことになりそうで、世界恐慌の再来も可能だと懸念しているが、その時は、「あいつを選んだお前らが馬鹿だったんだ!」と言ってやりたい。正直、黒人の男性が比較的多く支持しているのには呆れる。彼の任期中に顕著になった数々の黒人男性殺傷事件への対応を忘れたにだろうか?

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