第73話 妻の勘違い集・Sexy House?

私の妻(ワイフまたは嫁とも言う)は少し天然であると書いたが、その例を少し上げてみる。最初に九州へ引っ越してきたとき、我々は宿舎となる5階建ての団地に住み始めた。日本全国どこにでもあるよな団地だった。私が祖母とよく訪れていた、甲子園球場の近くにあった叔父の住んでいた浜甲子園団地(例の5階から傘をパラシュート代わりに飛び降りた従弟の住処だった)とほぼ同じような造りだった。妻は、そこで、周りの奥様方が乗っていたのと同じようなママチャリを買って、近所へ買い物などへ出掛けていた。クリーニング屋や小さなスーパーでは、そこで働く人たちと顔知りになっていた。もう一つ、妻のよく利用していたのが「オサダ」というディスカウントストアだった。ドンキに似たような製品を扱っていて、妻は、いろいろな雑貨を購入していた。その店舗はいつも「なんだかんだオサダ!」という音楽がかかっていたが、妻はそれを「なんだパンダオサダ」と聞き取って、この店をパンダストアと呼んでいたことは、以前書いたかもしれない。しかし、パンダストアへ一緒に行こうと言われても、私は、なんのことか、着いてみるまで全くわからなかった。


二つ目の妻の勘違いは、ある住宅建設会社だった。私たちが住む家を探していた時、住宅展示場を訪れたことがあった。その中で、彼女が気に入った建設会社の一つにつが積水住宅(積水ハウス) だった。金沢に住む従姉(医者)の家に泊めてもらったと時に、従姉妹が彼女の家は、積水ハウスに建ててもらったと話をしていると、妻が、なぜ住宅の会社にセクシーハウスとか言う、下着の会社の名前の様な名前を付けたのか、本当に疑問だと言い出した。積水住宅(積水ハウス) をSexy Houseと勘違いしていた。


三つ目、最初に住んだ団地は、海に近いところにあり、裏の松林を滑ると、海岸だった。ある夜、風呂に入っていた妻が、海から「助けてくれ〜」と言う声が何度も聞こえると言うので、私も耳をすませてみるが、確かに聞こえてくるが、「助けてくれ〜」という声は聞こえなかった。結局、念の為、110万に電話したら、お巡りさんがやってきた。待っている間にも、彼女は聞こえると言うのだ。お巡りさんに説明して、風呂の窓を開けて、3人で耳を澄ませていると、妻が、「聞こえた!」と叫んだ。それを聞いていたお巡りさんは、「あれは、〇〇大学のボート部の掛け声ですね。」よ言った。大会が近くなる夏は、夜までボートを漕いで練習しているのだそうだった。


米国帰ってからのボケは、9−11同時多発テロの2年後に帰国した我々は、10年以上出会っていない旧知の友人と彼の奥さんと、その時の話をしていた。そこで、妻が、なぜか、「When was 9-11?」と聞いてしまった。みんなキョトンとして一瞬黙ってしまったが、妻以外の3人は笑い出した。自分も日本でニュースステーションを見ていて、ワールドテレイドセンターへ二機目の旅客機が突っ込むのをライブで見ていた話をしたばかりだったのに、何を忘れたのだろうかと誰もが思った。


よく考えると、夫婦揃って勘違いばかりしている。(実は、これを書く前に、私は明日、2月13日がバレンタインデーだと思っていたのだが。)

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