第39話 ある研究所での話とカリフォルニアの道路が曲がっているので躊躇った話。
私は、博士を修了した後(日本では博士の取得の仕方(呼び方)が複雑で、博士課程を修了して、次に博士を取得するまで時間がかかっていた時期があったらしく。過程を修了するのt、博士を取得することが必ずしも同じことではなかった)、あるコンピューター大手の研究所で研究員をした。カリフォルニア州シリコンバレーにある研究所だった。と言っても、シリコンバレーの最後の高速の出口から、自然公園の山道を走ってたどり着く山のてっぺんにあった。周りはカリフォルニアの山で、草むらが続く中に、野生のオリーブの木が何本も生えていた、研究所の建物はまさにシリコンバレーと言った感じだったのと対照的だった。昔は野生動物の棲家であったので、ある時期になると、タランチュラが玄関先に集まってきたり、少し寒くなると、がらがら蛇が、排気口近くに暖をとりにくるため、警備の人間が大蜘蛛や蛇をとる棒のような道具を持ってバケツとかに入れて、移動させていた。迂闊にボケーとして歩き回りそうな物理の理論屋には危険なところだった。他にも、散歩で、周りにあるちょっとした丘に上がると、大型の鹿や猪に出会ったりもした。どちらも攻撃される可能性があるので、ゆっくりと後退するようにとい警告が出ていた。まれではあったが、ボブキャットというヤマネコも出ていた。それほど離れていないところで、プーマ(マウンテンライオン)の目撃情報もあった。近くの山は、サンタクルーズ山脈に続いていたので、プーマがいても不思議ではなかった。鹿が増えたので、それを追ってやって来たのだろうと言われていた。
カリフォルニアは、春から秋にかけて雨が降らない。秋の終わりから春の初めくらいまで雨が降るので、その間だけ草が繁り、山々は青(緑)くなる。雨が降らない間は、草が枯れ、黄色から茶色になる。これに火がついたら、とんでもない山火事になるのでは、日本でもニュースになったことが何度もあったと思う。雨も降らずマイに晴天なのに、夜のニュースで毎晩、天気予報があるのを見て、イリノイ州から引っ越して来た私たち家族は笑っていた。4月から10月まで間に天気予報を見る必要があるのかと。海に近所などや、もっと内陸になると、霧の発生で交通に支障を起こすことはあったようだが、サンホゼにはあまり関係なかった。9月のある日、昼過ぎ頃に、夕立のようなちょっとした雷を伴う雨が降ったときがあった。それも20分くらいの短いものだった。私は実験室にいたので気づきもしなかった。仕事を終えて家へ帰ると、息子が、雷と雨を恐れた同級生の女の子が泣き出したと言って頭を横に振っていた。イリノイの嵐と比べると、こんなの赤ちゃんレベルなのにと、呆れていた。
カリフォルニアへ引っ越して、私たち家族が慣れなくてはならなかったことの一つが、道路が東西南北に一直線に走っていないことだった。それに、坂もある。サンフランシスコは坂の街だ。これは前にも書いたかもしれないが、平らな大地イリノイ州では、道路はほぼ真っ直ぐに走っている。運転していて、曲がるのも、二つの道が交じわる交差点で、90度曲がる運転ばかりとなる(右折左折)。カリフォルニアの道路は日本と似たようにクネクネしているとうのが私たちの印象だった。そういう道路網では、実は一つの道を走っていると、遠回りになってしまっているルートが何本もあって、それを知らなかった我々は時間を無駄にしていたと発見したことも何度かあった。京都の道路に慣れた人ならわかってもらえるかもしれない。
私が最初に面接に来た時、飛行機が遅れて、昼過ぎに着くはずが、ラッシュアワーに着いてしまった。レンタカーを借りて、空港からシリコンバレーブルバードという通りにあるホテルへ向かった時には、日は暮れていた。そして、私は、片側6−8レーンの高速へ向けて走り出した。着く前に、送られて来た地図を見て大体の道のりは頭に入れていたが、実は、正確な地図はチェックしていなかった。流されるように45分くらい高速を走ってもホテルに近付いてはいなとわかっていたので、一旦高速をおりて、ガソリンスタンドで、道を聞こうとした。しかし、誰もシリコンバレーブルバードという通りもそのホテル名も知らなかった。その前に、ガソリンスタンドの前に屯していたパトカー2台に乗った警官に道を聞こうとしたが、私が話しかけた直後に、緊急の連絡が入り、サイレンを鳴らして飛んでいった。結局、ガスリンスタンドの店員に、空港も載っているホテルの案内の地図を見せて、今、私はこの地図のどこにいるのかと聞くと、飛行場の割と近くだった。私は夜の高速で飛行場の周りをほぼ一周していたのだった。結局、もっと正確な地図を見て、もっと南へ走ることが必要だと理解はした。やがて、車の数もかなり減って車線も片側2車線しかないあたりで、ホテルのあるはずの道へ降りて走り出したが、見窄らしいビルとかもあるが、どう見ても大田舎だった。車の前を鶏を加えて横切るコヨーテを目撃した後、やっと辿り着いたホテルは、新築で、シリコンバレーブールバードという道は50mもなかった(このホテルしか建っていなかった)。翌日、研究所へ出向いて面接を受ける前に、担当した秘書のような女性に、この研究所がど田舎にあるので、このホテルが一番便利だと思って予約したと言われた。飛行場近くがよかったのにと思ったが、実は朝の通勤時には混んでものすごいことになるのだったと知ったのはその一年後のことだった。結局、私がこのシリコンバレーの規模を認識していなかったために、このような勘違いは起こった。それまで住んでいたイリノイの街とは人口で10倍以上の差があった。しかし、総人口が同じくらいのシカゴよりも渋滞が数倍ひどい。
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