長年、大陸の真ん中の超平な大地であるイリノイに住んでいた後に、カリフォルニアへ引っ越した我々家族は、太平洋岸の海のある景色に、しばらく感動していた。妻はフロリダ州のメキシコ湾沿いの街で育ったので、海水浴のできる暖かいビーチに慣れていたが、北カリフォルニアの冷たい海水のビーチは、冷たすぎて海に入れず苦情は出ていた。しかし、モントレーの南にある、ゴツい岩場に松の木(実は、松ではなくCypressで、これは糸杉と訳すらしい)が生えている景色は気に入ったようだった。特にモントレーからカーメルへ向かう17-Mile Drive and the Lone Cypressと言われる観光ルートは、有料道路になっていた。

https://mikissh.com/diary/17-mile-scenic-drive-monterey-carmel/

我々が引っ越してからしばらくして、弟が日本から遊びに来たので、この有料道路を通って、カーメルまで行き、これまた有名なペブルビーチ　ゴルフコース（その頃は日本の会社が所有していた）を見せに行った。弟に、The Lone Cypressを見ながら、綺麗だろうと言ったら、弟の返事は、「杉や松の木が海辺の岩場に生えている形式は日本にはいっぱいある」と感動してもらえなかった。せっかく通行料金を払って通ったのに、こちらは何かしらけてしまった。

その後、見に行ったペブルビーチゴルフコースは、この有名な７番コースの下まで歩いていけるようになっているので、連れて行って見たら、ゴルフをする弟は少し喜んでいた。

https://www.youtube.com/watch?v=eDb4_S8xrHs

しかし、弟が一番喜んだのは、そこから少し内陸に入った所にあった大型アウトレットモールだった。その頃、日本にはアウトレットモールは殆どなかったと思う。土曜日に行って一緒に周り、二日目も同じモールに行きたいと言い出したので、私たちは、午前中に、アウトレットで弟を下ろして、私達は映画を見に行ったりし、ランチを食べたりして、午後５時に迎えにいった。弟はたくさん土産を買っていた。息子は買い物に付き合うのは、普段からうんざりで、妻も、でかいアウトレットでは、自分の好きな物を買ってすぐに帰るという習慣だったので、２日も弟には付き合えなかった。

逆に、日本へ行くと、妻は必ず英語で言うTourist Trap (観光客の罠)と呼ばれる土産物屋を隈なく回る。特に小さな店が好きだ。京都に行くと必ず清水寺までの参道沿いの坂にある土産屋を見て回る。初めて日本へ連れて行った時、帰りに広島から東京までの移動の間で、もう一度訪れたいところはあるかと聞いたら、京都の清水寺に行きたいと言うので、連れて行った。すると、清水寺に参るよりも、途中の土産屋で買い物に時間を何倍も費やして、息子と私は閉口した。清水寺の舞台をもう一度体験したかったのかと思っていた私は、来るんじゃなかったと後悔した。最初に来たときに入った小さなみやげやのおばあちゃんが、二回目に行った時覚えていてくれた。何年か後に京都へ行った時も又清水寺への土産屋巡りに付き合わされた。浅草も全く同じだった（浅草で、もう一つの妻のお気に入りは、太鼓博物館だったが）。従姉妹に連れて言ってもらった金比羅山の土産屋も同じ感じだった。階段のてっぺんにあるお宮には全く興味はなかった。何年か後に、湯布院へ行った時も、温泉などよりも土産屋に行きたがった。妻は、小さな土産屋の方が、大きなアウトレットモールよりも大好きなのだ。

ちなみに、建設会社をやっていた父が、キャタピラーのブルドーザーを購入していたので、視察とかいう名の観光旅行にやってきた。キャタピラー本部は私たちの住んでいた街から１時間半ほどのところにあるので、工場見学に来た父の一行に会いに行った。広島県の建設業者ばかりの団体さんだったが、キャタピラーの工場を見学後、シカゴのツアーを経て、カリフォルニアのサンフランシスコ, LA, フーバーダムにハワイの観光名所とその近くの建設現場などを見て回ったそうだ。しかし、この旅行で見た景色で、彼らに取って一番印象に残ったのは、シカゴの空港へ着く前に、飛行機から見えた、物凄く平らで広大なイリノイの農地の景色だったらしい。山の間に細々と並ぶ小さな田園しか知らない一行には、平らな大草原に見える壮大な農地に一番驚いたらしい。綺麗な正方形や長方形の畑の上を1〜2時間飛んでいる間に、皆窓から平らな農地の景色を見て驚いていた日本人達を見て、一緒に旅していたキャタピラーのスタッフは、最初は、なんで彼らが大騒ぎしているのかわからなったらしい。(実際に飛んでいたのは、ミネソタ州やウイスコンシン州の上の方が長ったと思う。)

https://www.youtube.com/watch?v=V6lUUkARRuo