第24話 動物園や水族館へ行くのをやめた。

私の息子が幼い頃は、シカゴ近辺の動物園や水族館へ連れて行っていた。私自身も、子供の頃、西宮と名古屋に住む叔父の家を訪れると、必ずと言っていいほど、動物園へ連れて行ってもらっていた(不思議に地元に近い安佐動物園に行った思い出はない)。サーカスにも行ったことがあった。


息子は、大学の近くの小学校へ通っていたので、両親が大学教授などインテリ系が多かった。そのせいか、友人達には、ませてはいるがオタクっぽい子供が多かった。小学3年生位の頃、学校のプロジェクトか何かで、同級生達と環境問題を調べた結果、その頃のマクドナルドはブライジルの熱帯密林を伐採して切り開かれた放牧地で育った牛の肉を使っていたと知ったらしかった。これは、環境破壊だと、クラスメイト達と、マクドナルドには行かない宣言をしてしまった。10歳にならない子供達が、環境問題の活動家になってしまっていた。おかげで、マクドナルドへの来店はなくなったが、別のファーストフード店は時々利用していた。


だからと言って、環境問題全てに頭を染めていた訳ではなく、その頃は、動物園とか水族館へは、小学校のスクールトリップ(日本でいうと遠足のようなものだが、スクールバスに乗って2〜3時間揺られて行く)で訪れていた。しかし、息子が小学生高学年になった頃から、家族全員で、動物園に対しての懸念を抱き始めた。特に囲いの中に綴じ込められていた大型動物が反復運動を繰り返しているのを見て、疑問に思い調べてみると、これは動物がストレスを感じているために起こっていると分かった。反復運動が有名なのは白熊だが、他の動物も同じような行動をするし、ストレスは別の行動にも現れると知った。カリフォルニアへ引っ越してから、モントレー水族館へ行ったのを最後に、動物園も水族館も行っていない。その頃になると、動物園と水族館を非難する声が聞こえ始めてもいた。勿論、カリフォルニアは、いつもそう言う事の最先端を走っていたので、拒否する人達にも出会う事が増えた。丁度、サンデイエゴやフロリダの水族館のシャチを自然へ戻せと言う運動が始まっていたと思う。


動物園や水族館も種の保存や環境保全の教育のためとかと必死に存在意義を訴えている。しかし、イルカやクジラ類を小さな生簀に閉じ込めて、人間が喜ぶ芸をさせているのは見ていられない。サーカスのライオンや虎も同じだ。個人的には、これらは、人間の自然に対する傲慢さを見せつけるものでしかないと思う。それなら、犬や猫などのペットを飼うのも同じではないかと言われる時もある。私たちも犬を飼っていた。二匹とも、英語でレスキューと言われる、飼い主がいらなくなったり、迷子になって、保護団体によって収容されていた。救助犬ではない。我が家にいた犬達、特にメスは、妻が嫉妬するくらいのお嬢様ぶりだった。子犬をペットショップで買ってくる事は全く考えられなかった。息子のうちは、施設から受け入れた3代目の犬がいる。


それでは、家畜の肉を食べるのはどうかという話に及ぶこともある。私は、生きた動物を殺傷するのがかわいそうだというよりも、家畜の肉を食べるために、人間が地球環境を大きく破壊している方が問題だと思っている。我が家で肉を食べたがるのは妻で、私は菜食主義でも構わない。私は、人工肉には大賛成だが、妻は食べたくないという。妻には、魚と乳製品に卵くらいで、我々の食べる動物性タンパクは十分ではないかと言うが、今のところ却下されている。ちなみに、私は、豆乳が牛乳よりも好きだが、妻は全く飲まない。この下のページにある動物の総数比を見れば、人間がとんでもないことをしでかしているのがわかると私は思う。世界の大型動物のほとんどは人間か、人間が食べる動物なのだ。野生動物は、4%しかいない。

https://gigazine.net/news/20221120-our-world-in-data-mammals/


実は、妻に押し切られて、肉も食べているし、車も燃費の悪い大きなトラックに乗っている(ただし、生活圏が米国にしては狭いので、年間の走行距離は米国平均よりかなり短い)。しかし、動物園と水族館には行かない。熊が人里近くに出ただけで殺されたという日本のニュースにも怒っている。実は鵜飼も鳥の虐待だと思っているが、これを私の地元で言うと叩かれると思う。そう言ってmp、声を高く上げる活動家でもない。以前いたイリノイの大学では、年に何度か、動物虐待に抗議する為と、歩道に置いたケージの中に下着だけで閉じ籠った若い女性を見かけることがあった。これって、抗議になっているのか?と思ってしまった。若い女性の裸に近い姿を見て喜んでいた男達の方が多かった様に見えた。まあ、話題を拐おうと言うのが目的だろうが。






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