第22話 Johnson & Johnsonめ!女子大生と勘違いされた!

米国の大学へ留学して、ルームメイトに友人も全て米国人ばかりの付き合いをしながら送っていた寮生活。郵便物は、娯楽施設や売店が入った隣接する建物にあったメールボックスに届いていた。ある日、そのメールボックスをチェックすると、小包があるという知らせがあった。その知らせの紙を見せて、係の人から、私宛の小さな箱をもらった。それは、日本から来たのではなく、Johnson & Johnsonという会社からのものだった。J&Jといえば、製薬・医療関連製品の会社であることくらいは知っていた。自分の部屋に帰り、その箱を開けてみると、さらに包装された製品が2個ほど出てきた。一つを開けると、大きなバンドエイド🩹(日本だったら、カットバン)だった。なんで、こんなものが送られてきたのか不思議だった。お試しの試供品ではあることは明らかだった。返ってきたルームメイトに、「何故かかは分からないが、Johnson & Johnsonが大型バンドエイドを送ってくれた!」と言いながら、それを見せると、彼は爆笑しながら、「それは、バンドエイド🩹ではなく、女性用のフェミニンプロダクト(フェミニンケアプロダクト?)だ!」と言った。フェミニンケアプロダクトが何なのか周りくどく教えてくれたので、私はやっと理解した。日本ではナプキンと呼んでいた物があると知っていたが、サニタリー ナプキンが実際にどんな形なのかは全く知らなかった。Johnson & Johnsonは私の名前を女性の名前と勘違いして試供品を送ってきたのだろう。ルームメイトは、食堂で友人達にその話を広めてしまい。女性用製品を大型カットバンと勘違いした男として、私は笑い者になった。私は。しばらく、Johnson & Johnsonの奴らめ!とあの会社に怒りを感じていた。


この話を、高校時代のホストファミリーですると、ノルウェーから家族で移民してきたホストマザーが、自分の家族にも似たようながことがあったと語ってくれた。彼女は長女で、米国へ移民してきた時には14歳くらいの年齢だったらしいが、下に男二人と妹二人がいた(一番下の妹は米国生まれで、この事件が起きた時は未だ生まれていなかった)。移民してきてしばらくして、彼女の母親(グランマー)は、裁縫工場で働いていた。長女であるホストマザーは既に結婚して家にはいなかったが、残っていた子供達は、上は高校生だったので、学校の後、下の子供達の面倒を見てくれていた。小学校2年生くらいだった一番下の弟が、母のサニタリー ナプキンを見つけて、母に何かと聞いてきた。母は、幼い息子に、適当にそれは大型バンドエイド🩹だと言って誤魔化したらしい。しばらく経って、ある日、母が帰宅すると、近所の多くの子ども達と遊んでいる一番下の息子が、そのナプキンを膝に貼って、三輪車で走り回っていたのを目撃してしまった。息子は、三輪車でこけて、膝を擦りむいて血が出たので、母に言われた大型バンドエイドを膝に貼って応急処置をしてから遊びだしたのだった。これを見た母は仰天して、息子を家の中に連れ込み、普通のバンドエイドに貼り替えたそうだった。ご近所さん達に目撃されたか心配だったが、誰もこの話はしてこなかった。これを聞いた娘である、私のホストマザーは、母親にたいして、嘘で誤魔化そうとするからこんなことになったと説教したそうだった。日本人の私と、ノルウェーからの移民家族と、共通の勘違いがあった。

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