第4話 スーパーでレジ打ちと、お互い好戦的な態度
日本へ帰って来て、逆カルチャーショックの中、仕事を始めた最初の週のある日、仕事の帰りに妻とスーパーに行った。まだ車を買っていなったので、二人で持てるだけの量をカゴに詰めて、レジまで行った。大学生のアルバイトらしい若い男がレジ打ちをしていたラインに並んだ。会計を済ますために、現金を渡そうとしたら、この無愛想な男は、何も言わず、レジにあるプラスチックのトレーを指差した。私は意味かわからず、手に持った現金を再度、男に向けていた。それでも、男は何も言わず、トレーを指差すだけだった。ようやく、現金をこのトレーに入れろと支持していることが理解でき、そこに現金を置いた。すると、会計を終えた男が、お釣りを私に手渡そうとした。頭にきていた私は、「お前が金を手に取らないのに、こっちが手に取るとか!そこのトレーに入れて渡せ!」とトレーを指差しながら、好戦的な態度を取ってしまった。その男は、しばらくキョトンとした顔で私を見て、レシートとお釣りをトレイに入れた。その間も、ほとんど何も言わなかった。周りの客は、明らかに日本人ではない妻が側にいたので、私が普通の日本人ではないと察していたとは思った。
帰宅後、妻と話していると、トレーを使って現金を渡すのは、衛生上の観点からではないかという結論に達したが、私が、米国人の様に噛み付いたと、彼女に指摘された。何も言わず、説明しなかったレジ打ちの男が悪いと、私は言い訳をした。今思うと、何かに不満があるとすぐに文句を言う米国流にはまっていた。私は、もう30年前に、最近、日本でも問題になっているクレーマーの先駆者であったかもしれない。これを妻に言うと、私がクレーマーを日本で流行らしたと言われるに違いない。
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