第3話 それを信じてたのは兄貴だけだよ!

私が、米国での15年ほどの生活の後に、10年弱、日本で働いていた時期があった。仕事先は福岡だったので、実家へよく帰省していた。ある、ゴールデンウイークの休みの間、東京にいた弟も帰省していた。家族で食事後、実家の居間で、懐かしいテレビ番組の特集を見ていた。見ていたのは、弟と私の妻(米国人)に息子(日米のハーフ)と私だった。白黒の漫画ポパイが映し出された画面を見て、私が弟に、「子供の頃、お母さんが、ポパイの様に強くなると言うので、我慢して嫌いなほうれん草を食べていたよな、、、」と話しかけると、弟は「あんなの頻気で信じていたのは兄貴だけだよ。」と言い返した。それは、36歳になりかけていた私には大ショックだった。3歳年下の弟は、母の言っていたポパイの話が嘘だと理解していたのに、私は本気で信じていた。


実は、私が幼い頃、私の悪行に怒った母が、私は橋の下で拾って来た子だと言ったことがあった。その後、ウルトラ警備隊に入りたいという私の考えが理解できない両親を目にして、本気で、養子なのかと思っていた時期があった。


その話を、英語で妻と息子(そのころ13歳)に話すと、二人は爆笑していた。やはり、物理や数学はできるが、私は社会常識に乏しいと、再確認したと言っていた。息子もその傾向ありで、妻は、日本でいう「天然」に近いところがあった。こんな三人の家族が、日本で暮らしていて、面白い出来事がないはずはなかった。

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