リダツ霊障相談事務所〜その憑きモノ、解決しましょうか?〜

かふぇおれ

第一障 廃墟とイケメンと化け物と

一話 それ、憑かれてますね。

(えぇ…本当にここ?どう見ても廃墟なんだけど…) 廃墟のような建物の前に立って一条 玲奈(いちじょう れな)は思う。(あんなことなきゃ、来なくて済んだのになぁ。)玲奈は、困っていた。一ヶ月ほど前からだ。時折変な笑い声がしたり、物の位置が変わっていたりする。それだけではない。夜中にふと起きると、自分の上に恐ろしい姿をしたナニかがいるのだ。お陰様でここ一ヶ月眠れていない。極めつけには藁にも縋る思いで見つけた場所も廃墟同然。「えーい!押しちゃえ!」そう言いながら玲奈は、『リダツ霊障相談事務所』と書かれた板の横のインターホンを鳴らした。 ピンホーン。 きれいな音がした。その後中からドタドタと足音がし、 ガチャ。 と扉が開いた。「はぁ~い。」中から男が出てきた。年齢は玲奈と同じ20代前後、髪で目元までかくれており、くせ毛なのか毛先がボサボサだ。目はきれいな黒をしており、白のフードパーカーの上から黒ジャケットを着ている。下はスーツのズボンのようなものを履いている。男は玲奈を見て、「あ!お客様でしたか!」と言い、「さぁ、中へどうぞ。」と事務所内へ案内した。事務所内は小綺麗で、外見とは全く違っていた。「さぁさ、そこへ座って、あぁ、自己紹介が遅れました。僕の名前は東 達也。(ひがし たつや)。ここの相談役兼所長です。」「あぁ…はい…。」少し怪しい。玲奈はそう思った。一人で全部をこなしているなんて、到底信じられないからだ。そんな思いも知らずに東は、「さっそく、聞かせて貰いましょうか、貴方の悩みを。」と言った。「あ、はい。」玲奈のここ一ヶ月の悩みを聞いた東は言った。

「貴方、憑かれてますね。」

「…え?」

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