第4話 愛のかたち

 三日後、私は朝の支度をしていた。空には青空が広がっていた。風邪も収まり気分は良かった。


 いえ、訂正、かすみを放置した事を後悔していた。とにかく、スマホだ。勇気を出して電源を入れる。何件かメッセージが入っていた。


 やはり、距離を置くのが突然過ぎた、また、風邪と重なったのもかすみを苦しめたらしい。


 これはダメかもしれない。


 スマホの電源を切っていたので完全に逃げる形になった。私は重い足で登校する。


 一時間の通学路がキツク感じる。完全に鈍ってしまった。正確にはかすみと会おうのが怖いのもある。高校に着くと私は駐輪場から校舎に向かう。待っていたのは、佐藤、鈴木、田中の三人組であった。


「部長は何しているのですか」

「かすみさんが可愛そうです」

「部長、目が死んでいます」


 だから、一度に言うな。


 で、要約すると。この佐藤、鈴木、田中の三人はかすみの味方らしい。


「解決するから。ここを通してくれ」


 私は強引に三人の壁の隙間から教室に向かう。


 佐藤、鈴木、田中の三人から離れると昇降口にたどり着く。


 うん?


 靴入れに手紙が入っている。かすみからだ。それはシンプルな便せんに綺麗な字で書かれていた。早速、読んでみると。


『私を愛しているなら放課後屋上に来て』


 はーぁ……。


 大きなため息が出る。手紙か重いな。スマホの電源を切っていたからな。手紙を使ったのであろう。


『愛しているなら』か……あの甘いキスを思い出すと心が満たされる。きっとこれが恋と言うモノだろう。


 い、行くか。私は覚悟を決めた。


 しかし、本当に行っていいのであろか?女子同士の恋愛は遺伝子の箱舟が転覆している。


 でも、この世界にはガールズラブなど確実にある事柄である。


 私は一限の授業をふけて木の下のベンチに座り木漏れ日の光を浴びて考え込む。


 あああああ、かすみに会いたい。


 考えれば考えるほど、かすみを求めていた。そして時間はあっというまに過ぎて放課後になる。


 私は屋上にいた。しかし、誰もいない……。


 うん?屋上の端にスマホが落ちている。


!!!!!!!!!!!!!


 まさか、フェンスを乗り越えて自殺したのか?私は急いでスマホの側に近づく。


『ピピピピ』


 そのスマホに着信がある。これは電話にでろとのことか?私はスマホに手に取り確認すると、このスマホに掛けた先は公衆電話であった。


 少し怖いが電話にでる。


『ハロー、かすみちゃんだよ』


 良かった、生きていたのか。話によると、かすみも私が来るか怖かった為にこの様な形になったとか。


 確かに屋上から学校の公衆電話が見える。その後、避けていたのが嘘の様に話が弾む。


『ねえ、公衆電話まで来て……』


 私はスマホで話ながら公衆電話に向かう。公衆電話の近くまでたどり着くと電話が切れてかすみが現れる。


「麗葉、愛しているわ」

「私も……」


 そうこれが最後の恋であるかの如くキスをするのであった。

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百合の花よりも可憐な日常の 霜花 桔梗 @myosotis2

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