ご主人様の言うとおりに



「ガンガツ山のヌタナさんおしりを

触って喧嘩して〜」

大男が僕を膝枕しながら、歌っている

おでこをさすっているが、頼んでいない

「な、なんて呼べはいいのかなあんた」

「ご主人様の呼びたい名前でいいですよ」

「じゃあ……ミサで」

「りょーかい」


…何で僕は森の奥地で大男に膝枕されてん

だっけ?思っていた冒険と全く違うんだけど


「なあ、ミサ」

「何でしょうか、ご主人様」

「良いのか?僕になんか捕まって」

「捕まえられたものは仕方ないですよ〜」


下から見ても、その顔の美しさは変わらなかった。整えられた睫毛に風で揺れるふさふさとした銀髪、澄んだ碧眼、どれも俺には無いものだった


「で、何でお前みたいな奴が森を歩いていたんだよ」

「気まぐれですよ、それは」

「むむ……」


考えれば考える程にミサが森を歩いていた理由は分からなかった。ミサは顔からして数十年は旅をしている冒険者である。しかも、実力は折り紙付きだろう


「そう言えば僕達はもう主従関係だったよな」

「ええ」

「だったら僕の命令を聞いてくれるのかい?」

「もちろんですとも、誰かを殺せと言えば

殺しますし、街を滅ぼせと言えば滅ぼしちゃいますよん」

「ひっ……」


その言い方は軽かったが、目つきからして冗談では無いことは明らかに分かった


「試してみますか?」

「そうだなぁ」


むくっと僕は起き上がり、膝に付いた土を払った。同じようにミサも立ち上がり、身体を

伸ばす


「じゃあさ、この森に一直線の道を作って……とかどうかな?」

僕は森の一部をてきとうに指さした


「了解しました!ちょっとお待ちを」

そう言って、ミサは右と左の手のひらを

それぞれ外側に向けて、手の甲をくっつけた


それをぱっと離すと……爆発音である


「出来ました!!どうですかご主人様!」

「は、ははは……」


無邪気に笑う目の前に道は確かに出来ていた

人、二人分ぐらいの狭い道ではあったが


「あなたは……本当に何者なんだ?」

「ナイショです。行きましょご主人様!」


スキップをしつつ、出来たばかりの道を行く

彼を見ながら、僕はとんでも無い奴を捕獲してしまったなと冷や汗をかくばかりだった


「脱獄しておんぶしてま〜たあ〜した〜」


しかし、道を作ったはいいけどここに生息してた生物はどうなったんだろう。まさか


《ガブッ》



「んぎゃあああぁあああああっっ!!!」

「ご、ご主人様ぁああ!!!」


今度は右腕を噛まれた僕である



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飼い主またはご主人様 だらく@らくだ @ujtjtmjmjmdt828

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